- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480434579
感想・レビュー・書評
-
「信子」が女版「坊っちゃん」なら、本作は少年期版「坊っちゃん」と言える。婆やとの絆を描く設定が非常に酷似していて、ただ、読むとちゃんと獅子文六らしさ全開の展開。
漱石好き、中でも坊っちゃん好き、なおかつ獅子文六好き、の私には堪らない作品だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
積ん読だったのをやっと読む。
獅子文六を読んだのははじめて。久生十蘭などと同時代の作家なんだな。名前しか知らなかったけど、明るくて読みやすくて、シニカルなユーモアがあって良い作品だった。
昭和初期の文章が面白くて好きだ。
ストーリーは単純明快。
お民婆やとの関係に泣けた。坊ちゃんとキヨみたい。
息子を愛せない(義理の)母親、という作中の話にガンガン反応してしまった。余談。。。
感化院に行くまでが長い。もうちょっとスピーディな展開にしてもいいかも。 -
他の獅子文六作品ほどは楽しめず。あまり風刺が効いているとも思えず、登場人物達も半端な感じ。悪戯者の弟に手を焼いて疎ましく思うのは分かるにしても、兄姉はただの意地悪な性格の悪い人間にしか見えず、母親も妾腹の子供を育ててきたのは立派だけど愛情があるという訳でもなく、父親は子供に対する愛情はあるようだけど、そもそもが自分の行いに端を発しているのに真摯に省みる様子もない。その辺は戦前の家父長制や社会意識などによるものなのだろうか。彼らの顛末もうやむやな感じ。主人公と婆やの絆をこそ単純に楽しむべきか。
-
「悦ちゃん」の少年版。何があってもくじけない12才の昌二郎君。登場人物の中でどうしても感情移入してしまったのは婆やのお民さんでした。
-
テンポが良くて、キャラクターが一人一人生き生きしていて、さくっと読めた。獅子文六は女心を書かせても、親心を書かせても、子ども心を書かせても、どれもこれもしみる〜。読後はほっこり爽やか。