高峰秀子の捨てられない荷物 (ちくま文庫 さ 45-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480434623

作品紹介・あらすじ

養母との壮絶な確執、夫の松山善三との穏やかな生活、人間嫌いを自認する高峰秀子が胸襟を開いて打ち明けた。潔さと本物の優しさに溢れる傑作評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 「敵」、養母のことは、本当に読みながらゾッとした。

    その中でも、美学を胸のうちに培い、人として
    成長を続け、深い愛情を持つ一人の女性として
    人生を全うされた高峰秀子さん。

    女性としてだけでなく、人として、
    多くの学ぶべきことがある。

    夫君、松山善三さんの解説は、
    その人となりが感じられる暖かくて深い
    美しい文章だった。

  • 斎藤明美さんの文章から、愛情と幸せがこれでもかっというほど伝わってきて、なんだかその場を共有させてもらっているようで、そんな経験をさせてくれる本って本当に尊いなぁと思いました。

    いくつも名言が出てきて、ラインマーカーを引きたいくらい。

    ちなみに、後書きまで圧巻です。
    斎藤さんの軽快な文章、高峰さんの独特のユーモア・テンポ・高速な頭の回転を思わせる文章、皆川さんの文章綺麗すぎる!、松山さんのお人柄の分かる丁寧で深甚な文章(心震える)、そして最後はまた斎藤さんのめちゃくちゃ心に染みるラブレター。

    フルコースご馳走様でした!!って感じです。

  •  楠木建先生が薦めていた高峰秀子「わたしの渡世日記」と併せて薦めていた著書。確かに面白かった。

     だが、高峰秀子の異能は、ただ漠然と人の悲しみや苦しみを捉えるのではなく、その人ごとに”痛み”の種類を見分けることにある。それも瞬時に。種類を見分けるということは原因を解き明かすことであり、それは即ち、治療法を知ることに繋がる。だから、その人が一番欲しているもの、最もその欠損の跡に嵌まるパーツを、彼女は人に与えるということになる。だから人は喜ぶ。「高峰さんが好き」という。

     だが私は、この志げをめぐる長い”物語”を繙くうちに、思った。彼女は、ある意味で”普通の女”だったのかもしれないと。普通の人間が誰しも体内に持っている”悪腫”が、何か後天的な要因をきっかけに、活性化し肥大する。そしてやがては、宿主である人間の肉体を蝕み、遂には生命をも奪ってしまう。その意味では、我々全員が”志げ”になる要因を持っている。ただ違いは、その「何か後天的な要因」の有無、多少だけはないのか。
     それが”金”である。

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著者プロフィール

斎藤 明美(さいとう・あけみ):作家。1956年高知県生れ。津田塾大学卒業。高校教師、テレビ構成作家を経て「週刊文春」の記者を20年務める。1999年、初の小説「青々と」で第10回日本海文学大賞奨励賞を受賞。2009年、松山善三・高峰秀子夫妻の養女となる。

「2024年 『高峰秀子 夫婦の流儀 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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