- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480435286
作品紹介・あらすじ
食に関する常識をくつがえす、愉快な1冊。天ぷらにソースをかけないのは、納豆に砂糖を入れないのは――あなただけかもしれない。解説 小宮山雄飛
感想・レビュー・書評
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野瀬泰申『決定版 天ぷらにソースをかけますか?』ちくま文庫。
食の嗜好に関する地域差を徹底調査したノンフィクション。なかなか興味深い内容で、面白かった。日本は狭い国ながら、食の嗜好に関する地域差が大きく、特に西日本と東日本とでその違いの大きさに驚かされる。
自分は天ぷらに関しては絶対的な天つゆ派であったが、饂飩の丸亀製麺で提供される天ぷらを常備されているウスターソースで食べてからは悪くはないかなと思うようになった。
冷やし中華も冷風麺地域の出身なのでマヨネーズなどトッピングするなど考えもしなかったのだが、マヨネーズが付いてくるコンビニの冷やし中華を食べてからは、これも有りかなと思うようになった。
食に関する情報が地域を超えて伝播するのは良いのだが、反面、地域独自の食文化が破壊されていくようで恐い。新しい食を取り入れれば、一方で消えていく食もあるように思う。
『天ぷらにソースをかけますか?』と『納豆に砂糖を入れますか?』を増補し、合本文庫化。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
食にまつわる様々な地域差を、読者からのアンケートでまとめています。
お汁粉と善哉の違いとか、ほとんど意識していませんでしたが、考えてみれば確かに違うものですね。
その土地では当たり前の食べ物でも、ある土地では全く食べない等、日本も広いなと思わされます。
新聞の特集記事を一冊にまとめたようなので、2、3章を続けて読むとやや疲れる文体だと思いましたが、1日1章なら大丈夫かな。 -
電源周波数50Hzと60Hzの違いだけではない日本の分断線、それは味覚の大地溝帯でもあった?と叫びたくなるような東日本と西日本の味覚の差異をNIKKEI NETというデジタルコミュニティを活用した読者調査と実際に現地を走破するフィールドワークの二本立てで現出化させる快著です。味でなくても松本健の「全国バカ・アホ分布考」とか去年、出た「全国チン・マン分布考」(未読!)とか文化の境界線を徹底的に調査する本はありますが、ほとんど学術的にならずに(ホメ言葉!)ただひたすら日常食の変化の潮目を見つめていく著者の姿勢がユニーク。(ヒマだな、このオッさん…これもホメ言葉!)ぜんざいかお汁粉か?肉まんか豚まんか?納豆に砂糖を入れるか入れないか?などなど我々の飲み会でも出そうな話を重ねて行き、冷やし中華にマヨネーズを添えるか添えないか?味噌汁に唐辛子をかけるかかけないか?とか、細かな論点にも光を当てています。そこで感じるのは地域差もあるけど家庭料理という存在がもたらしている舌の記憶。もしかしたらこの本は「おかん」「お母さん」が家の味覚を仕切っていた時代のスィートメモリーにもなるかも。それにしても西日本と東日本って違う国みたい、と思いつつ思い出したのが矢作俊彦の「あ・じゃ・ぱん」。第二次世界大戦後、東日本と西日本が半島のように分担された国家になるという小説。味覚については、ファンタジーじゃなくてリアルに違う国なのだ、と思いました。そして、デジタル化、グローバル化されていく我々の毎日の中で、そのリアルはとてつもなく価値があるのだとすれば、味覚の差異は産業化されていくことで、思い出にならずに残っていくのかも…とも考えました。
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「天ぷらにソースをかけますか?」(新潮文庫 2009年刊)と「納豆に砂糖を入れますか?」(新潮文庫 2013年刊)の改訂、合本
ソースで天ぷら
ぜんざいVS.お汁粉
中華まんを考える
たこ焼き・お好み鉄板系
牛対豚の「肉」談戦
お豆について
冷やし中華にマヨネーズ
日本の甘味処
味噌と味噌汁
漬物をどうぞ
カレーライスと生卵
納豆に砂糖
鮭とブリ
東海道における食文化の境界
糸魚川-静岡構造線を行く
著者:野瀬泰申(1951-、久留米市、コラムニスト)
解説:小宮山雄飛(1973-、澁谷区、ミュージシャン) -
父が中国・四国地方、母が北海道出身ですが、私の生まれと育ちは名古屋。食に関しては家庭内では西と北の食文化が、外に出れば愛知のそれに接してきました。それ故か、本書でいろんな読者が語っているようなこだわりが一切ありませんでした。
なので、意見を投稿してきた方々が、自分たちが慣れ親しんだ食文化にとてもこだわりを持っていて、中には離婚の要因になってしまったなんて人もいたことに驚き。
これまであまり気にしていませんでしたが、もし生まれ育った土地の文化に起因する食のこだわりがある人に出会った際は、可能な限り寛容な対応を心がけようと思います(汗)。 -
身近な食材や料理の食べ方について、地域差の凄さよ。これだけ交通機関が発達し、ほぼ日本全国が繋がって暫く経つが、地域に根ざした食文化は、中々、その殻を破らないで、人々の生活に入り込んでいる。食べるという行為の閉鎖性は、逆に豊かな食文化を育んでいるのでは。
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農学部図書館のアルバイト学生の方に図書を推薦いただきました。今回のテーマは「食と科学」です。
☆農学部図書館の所蔵はこちらです☆
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB26442978 -
痛恨の極み。緊急事態宣言で休館になる前にと焦って読んだから?かどうか油染みをつけてしまい。最後まで読む気にならず返却。けれど、題名をはじめ実に興味深い話ばかりだった!ほんとに世の中知らないことばかり。