四角形の歴史 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 216
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480437952

作品紹介・あらすじ

犬は風景を見るのだろうか? 四角い画面。四角いファインダー。その四角形はどこからやってきたのだろう? 文明論的考察。解説 ヨシタケシンスケ

感想・レビュー・書評

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  • 家にあった本。著者をトマソンなどで知りある意味お騒がせ芸術家のように捉えていたが、晩年は哲学的な物の見方をこんな穏やかで静かに伝えていたのに驚いた。凝り固まった頭と気持ちをほぐす読書に。ヨシタケシンスケさんの解説も良い。

    • akikobbさん
      おはようございます。
      面白そうですね。最近身の回りであった「スマホで写真を撮る時、横にしたいか縦にしたいか」談義で、テレビ世代とスマホ世代で...
      おはようございます。
      面白そうですね。最近身の回りであった「スマホで写真を撮る時、横にしたいか縦にしたいか」談義で、テレビ世代とスマホ世代で感覚が違うのでは…みたいな話になりましたが、どちらにせよ肉眼で見たまんまの風景は四角くはないんですよね。
      読んでみたくなりました。
      2023/04/01
    • 111108さん
      akikobbさんコメントありがとうございます。
      「スマホの写真、縦で撮るか横で撮るか」問題、面白いですね!テレビ世代とスマホ世代の差なんで...
      akikobbさんコメントありがとうございます。
      「スマホの写真、縦で撮るか横で撮るか」問題、面白いですね!テレビ世代とスマホ世代の差なんでしょうか?カメラで撮る時も人物は縦に風景は横にしがちかな?とか、いろいろ考えられますね。
      この本はいい感じに抜けた感の絵と言葉でそんな風に考える楽しみを思い出させてくれますよ♪
      2023/04/01
  • 画家、作家の赤瀬川原平さんが、風景を見るということについて、風景を認識するきっかけとなった四角形の枠と余白について、さらには四角形の生まれた歴史について、絵と言葉で書き連ねる。

    鉛筆書きの肩の力の抜けた柔らかな絵の余白に、独り言のような言葉が配される。赤瀬川原平さんの頭の中を覗き見ながら一緒に考えていくような不思議な感覚だ。
    特に意識せず眺めていた風景だが、見る対象物の周辺を四角いフレームに切り取り、余白が生まれて初めて認識されたのだ、という考えには目から鱗が落ちた。

    ちなみに、本書を読むために初めて図書館の電子書籍サービスを利用したのだが、パソコンの画面上でページが一枚一枚送られていくのがまるで紙芝居のようだった。他の本についてはわからないが、少なくともこの本に関しては小さい文庫で読むより電子書籍で読む方が良さを味わえるような気がする。

    • 111108さん
      この本が「紙芝居のよう」に読めたのは電子書籍の良さですね。文庫本で持ってますが、真ん中の辺りの絵が見づらいなとか、コンパクトで迫力に欠けるな...
      この本が「紙芝居のよう」に読めたのは電子書籍の良さですね。文庫本で持ってますが、真ん中の辺りの絵が見づらいなとか、コンパクトで迫力に欠けるなぁと思ってました。機会あれば読んでみます。
      2024/01/28
    • b-matatabiさん
      111108さん、こんにちは。電子書籍よりも紙でしょう、と思っていましたが、電子書籍の良さを発揮する本もあるのですね。
      ぜひ、この本を電子書...
      111108さん、こんにちは。電子書籍よりも紙でしょう、と思っていましたが、電子書籍の良さを発揮する本もあるのですね。
      ぜひ、この本を電子書籍でも読んでみてください。
      2024/01/28
  •  表紙にもなっている、コーヒーカップと雨の日の窓(兼風景画)の絵のページが好きだな。絵自体もいいし、章の切れ目になっていて、雨の音が聞こえてくるような余韻がいい。ヨシタケさんの解説によれば、こういう間の取り方が絵本としてとても上手いらしい。
     四角形はどこから生まれたのだろう。この本は、その問いに対して答えを出したり、実証的な推論をしたりはしないが、想像力豊かに思索する楽しさを教えてくれる。

  • ちくま文庫。だけど、絵本。

    四角形は、どうして生まれたのか。

    犬の目と、人の目を比べながら、描かれたものから見てきたものを辿っていく。
    物体そのものから、キャンバスという枠のある空間へ変わっていく。
    そこで、私もふと、窓を思い浮かべた。

    「余白」という「無意味を眺めること」は気持ちいい。……その言葉に、今あくせく意味を求めて働いている自分が、ふと緩んだ。嬉しかった。

    枠を外してみること、もう一度四角形の外側で息をしてみることは、意味を知っているからこそ無意味の尊さを感じることと、似ているのかもしれない。

  • お札もノートもスマホも、気づけばどれも四角形。身の回りに存在するこれら「人間が使うのに合理的な形」のものは、けれど赤瀬川さんがおっしゃるように、自然界には存在しない形だ。

    人間はどのようにして四角形を生み出したのか、四角形というフレームがあることで、世界はどんなふうに見えるのか。素朴なイラストとシンプルな言葉でわたしたちの視界をクリアーに(あるいはもっとぼんやり広大に)してくれる一冊。

  • 絵のルーツ、風景画のルーツ、四角形のルーツを探っていくうちに、キャンバスの余白→人生の余白へと。
    肩の力を抜いてくれるいい作品。
    ヨシタケシンスケが好きな人はきっと好き。
    赤瀬川さんといえば、亡くなったあと、ニラハウスはどうなったのだろう。

  • 四角形の始まりなど考えたこともなかった。
    言われてみると、なるほどと思った。
    意外と簡単な事で全て繋がっているのかもしれない
    この本も「ではないだろうか」と言っているように、そうやって考えることが
    無意味な余白を眺めることなのかもしれない

  • 大人向けの絵本。
    色んな事の起源を考えるのが楽しくなってきそう。

  • 2022.08.30~08.31

    小学生の時、担任の先生が算数の時間に、「点がいくつも集まって線ができる。そして、その線がいくつも集まって、くっついて四角形ができる」と話していた。
    確かに、そうだな、と思っていたが、その歴史については考えたこともなかった。
    考えさせられることがさらっと表現されていることに、凄さを感じた。素晴らしい本です。読めて良かった。

  • 四角形が如何にして生じてきたのか、純粋な疑問をどんどん深掘りしていく形で進んでいく絵本。疑問を追求していくということへの構えを示しながら、こうした推論や歴史の追い方を、絵と文章を駆使して平易に伝えられるのは稀有なことだと思う。

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著者プロフィール

赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)
1937年横浜生まれ。画家。作家。路上観察学会会員。武蔵野美術学校中退。前衛芸術家、千円札事件被告、イラストレーターなどを経て、1981年『父が消えた』(尾辻(★正字)克彦の筆名で発表)で第84回芥川賞を受賞。著書に『自分の謎(★正字)』『四角形の歴史』『新解さんの謎(★謎)』『超芸術トマソン』『ゼロ発信』『老人力』『赤瀬川原平の日本美術観察隊』『名画読本〈日本画編〉どう味わうか』。また、山下裕二氏との共著に『日本美術応援団』『日本美術観光団』『京都、オトナの修学旅行』などがある。2014年逝去。

「2022年 『ふしぎなお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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