書痴まんが (ちくま文庫)

制作 : 山田 英生 
  • 筑摩書房
3.39
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  • (4)
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本棚登録 : 196
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480437969

作品紹介・あらすじ

本をテーマにしたマンガ・アンソロジー。水木しげる、永島慎二、つげ義春から若手の作品まで16作品を収録。本に溺れる、そこにドラマが生まれる。

感想・レビュー・書評

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  • ごめんなさい。本の中身は、ほとんど読んでいません。表紙についてのみ、語らせていただきます♪

    表紙は諸星大二郎「栞と紙魚子シリーズ」の紙魚子さんが、古本屋の店番をしているイラスト(初出・2010大阪古書研究会の合同古書目録「萬巻24号」に描き下ろし)の「部分」です。猫丸さんによると、最近の大阪の天神さんの古本まつりのフライヤーとしても使われているらしい。出来たらAmazonで、鮮明な画像を見ていただきたい。

    背後の背表紙を見ていただきたい。判読できるものだけでも「生首の正しい飼い方」「自殺のススメ」「古本探検」「不思議昆虫図鑑」「珍妙昆虫図鑑」「陳氏菜経」「邪馬台国は火星にあった」「古墳の呪的紋様」「殺伐詩集」「地獄の三時のオチャ」「サイボーグベビーの逆襲」「異聞馬頭教」「根暗なミカン」「魔王瑠死滅の生涯」そして、紙魚子さんが読んでいるのが「怪人猫マント」。

    どうです?
    いずれも、「あってもよさそうな本」と思いませんか。ブクログで検索したらいずれも、「この世に無い本」でした。「古本探検」などは「関西古本探検」はあったんだけど、この書名は一応ありません。ホントは原画は、もっといろんな背表紙を載せているんですよ。右上に隠れている「室井恭蘭全集」(1-7巻)などは、室井恭蘭で検索したら、信濃の地方図書館で見つけたという情報まである(猫丸さんに教えて頂いた)のですが、良く調べると、とんでもないことになっています。右下に隠れている「虹色の逃走」などは、このアンソロジーに載っている諸星大二郎「殺人者の蔵書印」で詳細に語られています。是非お読みください。「殺伐詩集」「陳氏菜経」などは、紙魚子さんの他の短編で出てきます。

    背表紙だけで、いろんな妄想がムクムクと湧いてきます。

    「根暗なミカン」には、背表紙に可愛いイラストまで付いています。根暗だけど、かなり凶暴そうです。当然、ときは正月なのでしょう。美味しいミカンほど幸せだった時はまた短くて、ちょっと腐ったミカンと一緒にされるとオミクロン株と見紛う様なスピードで影響されてしまう。その危機を脱した根暗なミカンの運命や如何に‥‥という内容なのかもしれません。

    「サイボーグベビーの逆襲」たるや、ボス・ベイビーならぬサイボーグベビーですか!もうはちゃめちゃで楽しそうです。

    「邪馬台国は火星にあった」全然不思議じゃない。「邪馬台国比定地」で検索してみてください。もう無数にありますから。みんなオラが村にとか思っている様です。エジプトもあります。それなら、タイムパラドックスやら使って火星にあってもおかしくない。

    「古墳の呪的紋様」これはね、考古学を少し齧ったモンならば「装飾古墳」のことだな、とピンときます。でも「装飾古墳の世界をさぐる」(大塚初重・祥伝社)ぐらいの普及本がせいぜいのところで、アレを最初から「呪的紋様」だとするのは諸星大二郎ぐらいなモノです。大塚初重先生の書物を紐解くと「朝鮮半島から幾何学紋様は来たのだろう」とか、「星とか太陽とか鏡を意味しているのだろう」とか、つまらないことしか書いていません。まあ、諸星先生の解釈は名作「暗黒神話」をお読みください。

    今回の本屋アンソロジー。前回は古い短編が主でしたが、今回は2010年代の短編も相当採用されています。未だ読んでないけど、面白そうです。

    • ざざあるいは電気羊さん
      レビュー読んでこの本読みたい!と思いました。
      紙魚子さんが店番してる本屋さんの品揃え、相当なものですね^^
      レビュー読んでこの本読みたい!と思いました。
      紙魚子さんが店番してる本屋さんの品揃え、相当なものですね^^
      2022/04/16
    • kuma0504さん
      ざざあるいは電気羊さん、
      この本を読んでみたい、とのこと、ありがとうございます♪
      と、同時に戸惑っています(^_^;)。
      よく読んだらわかる...
      ざざあるいは電気羊さん、
      この本を読んでみたい、とのこと、ありがとうございます♪
      と、同時に戸惑っています(^_^;)。
      よく読んだらわかるように、今回は特別に本の内容はほとんど紹介していないからです。実は、買っていなくて、「立ち読み」で数篇読んだだけです(^_^;)。
      言いたいのは、是非とも本屋さんで本書を手に取って、表紙を愛でて頂きたいと思います。その上で立ち読みして良かったらお読みください♪
      2022/04/16
  • 広辞苑第6版によると、「書痴」とは『本ばかり読んでいる者をののしっていう語』と出ている。本書に収められている16の作品、どれも本を題材にしている。面白く感じたのは、山川直人・コマツシンヤ・永島慎二・つげ義春の作品だった。

  • 書痴まんが|漂流図書室 | 吉田あや|note
    https://note.com/aya_book_box/n/n4d3940fe641e

    筑摩書房 書痴まんが / 山田 英生 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480437969/

    収録作品
    「愛書狂」辰巳ヨシヒロ
    「きょうのひと」西村ツチカ
    「古い本」山川直人
    「新宿泥棒神田日記」うらたじゅん
    「俺様!」こうの史代
    「屋上読書魅惑の書店街船の図書館」コマツシンヤ
    「ほんのささやかな」森泉岳土
    「買って巻物の怪」水木しげる
    「殺人者の蔵書印」諸星大二郎
    「鏡」石原はるひこ
    「八百屋」大橋裕之
    「男と女」黒田硫黄
    「雨とポプラレター」山本おさむ
    「劇画バカたち!! 第1話」松本正彦
    「ぼくの手塚治虫先生」永島慎二
    「蒸発」つげ義春

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      本や本屋題材 「おかしなこと」選集 [評]石山府子(古本とビール・アダノンキ 店主)
      <書評>書痴まんが:北海道新聞 どうしん電子版
      htt...
      本や本屋題材 「おかしなこと」選集 [評]石山府子(古本とビール・アダノンキ 店主)
      <書評>書痴まんが:北海道新聞 どうしん電子版
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/650685?rct=s_books
      2022/03/06
    • kuma0504さん
      猫丸さん、ありがとうございます。
      ガチの書評でしたね。
      猫丸さん、ありがとうございます。
      ガチの書評でしたね。
      2022/03/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      にゃ~
      kuma0504さん
      にゃ~
      2022/03/06
  • 紙魚子が装丁だったので、愛故の装丁買い。
    そして、
    そう、私は書痴である(自覚あり)
    あんまり世間には聡くないが、他の書痴仲間よりはマシな気がする。
    というか、かなりマシだと思う(失礼)。
    言い換えると、世馴れていると思ってはいる(主観)
    そう、読んだことをある程度は実生活にフィードバックしてると思うんだが。
    まあ、どうやろねぇ、、。
    けっこうどうでも良い事ではあるが
    ぶっちゃけ、ただ読みたいだけ、
    もしくは、
    物理的に存在する書籍を保有したいという欲がある。

    読んだことがある作品も、お初の作品も、楽しく読んだ。
    ただ、自分の心をほじくられるような、というか、
    ちょっと、いらんところに刺さってくる感はある(笑)
    で、水木先生やつげ先生のような大御所はおいといて、
    初見(多分)で、結構面白かったのが、
    「古い本」「魅惑の書店街」「ほんのささやかな」
    黒田硫黄の「男と女」も面白かった。

  • 山田英生・編『書痴まんが』ちくま文庫。

    本をテーマにした16作品を収録したマンガ・アンソロジー。マニアックな作品が並ぶ。中でも、森泉岳士『ほんのささやかな』、水木しげる『巻物の怪』、諸星大二郎『殺人者の蔵書印』、大橋裕之『八百屋』が面白かった。

    辰巳ヨシヒロ『愛書狂』。古書を偏愛する古書店の店主の物語。フローベルの『愛書狂』が原作。原作があるだけにストーリーはしっかりしている。★★★★

    西村ツチカ『きょうのひと』。頼りない弱々しい線で描かれたイラストのような漫画。歯車のように働き、仕事に忙殺される女性の楽しみは束の間の時間の読書。好みではない。★★

    山川直人『古い本』。『珈琲奇譚』というタイトルの若者のアパートに突然現れ、何かと生活の世話を焼くお婆さん。ほのぼのとした短編。★★★

    うらたじゅん『新宿泥棒神田日記』。高校1年の男子が初めて東京見物に行き、怪しげな男に騙され、本泥棒の片棒を担がせられる。昔、読んだことがある。★★★

    こうの史代『俺様!』。俺様という名の本屋店員の恋の行方は。★★

    コマツシンヤ『屋上読書 魅惑の書店街 船の図書館』。絵本のようなファンタジックな連作短編。★★★★

    森泉岳士『ほんのささやかな』。古本の間に挟まっていた葉書が紡ぐ物語。なかなか良い。★★★★★

    水木しげる『巻物の怪』。締切で行き詰まった漫画家が古い神社で手に入れた巻物に描かれたいたのは様々な妖怪。その巻物をヒントに漫画を描くとこれが大ヒット。意表を突くオチが面白い。★★★★★

    諸星大二郎『殺人者の蔵書印』。古本屋に持ち込まれた1冊の本を巡るホラーサスペンス。面白い。★★★★★

    石原はるひこ『鏡』。古本屋で手に入れた『悪魔』というタイトルの本。書かれていた悪魔を呼び出す法を実践すると。★★★★

    大橋裕之『八百屋』。無人野菜販売所で売られていた手作りの漫画本『野菜の拳』にハマってしまった男の子。味のあるヘタ絵が良い。★★★★★

    黒田硫黄『男と女』。古本屋で変な偶然から知り合った男女。男にはトンデモない秘密があった。★★★★

    山本おさむ『雨とポプラレター』。少女漫画にハマった二人が貸本屋で働いた悪事とは。★★

    松本正彦『劇画バカたち!』。劇画創造に賭ける若き漫画家たちを描いたノンフィクション風漫画。★★★

    永島慎二『ぼくの手塚治虫先生』。著者と若き漫画家仲間と手塚治虫とのエピソードを描いたノンフィクション。★★★★

    つげ義春『蒸発』。無能の人、古書店の店主が貸してくれた本。何故か店主は無用なる物への擬態を続ける。★★★★

    本体価格780円
    ★★★★

  • 1 愛書狂
    「愛書狂」 辰巳ヨシヒロ ギュスターヴ・フローベール
    「きょうのひと」 西村ツチカ ★
    「古い本」 山川直人

    2 本が運ぶ
    「新宿泥棒神田日記」 うらたじゅん ★
    「俺様!」 こうの史代
    「屋上読書 魅惑の書店街 船の図書館」 「午后のあくび」より コマツシンヤ ★
    「ほんのささやかな」 シリーズ「諸島物語」より 森泉岳土

    3 奇書と事件
    「巻物の怪」 水木しげる
    「殺人者の蔵書印」 「栞と紙魚子」シリーズより 諸星大二郎
    「鏡」 「悪魔の招待席」より 石原はるひこ
    「八百屋」 「シティライツ」より 大橋裕之
    「男と女」 黒田硫黄 ★

    4 漫画愛
    「雨とポプラレター」 「ペンだこパラダイス」より 山本おさむ
    「劇画バカたち!! 第1話」 松本正彦
    「ぼくの手塚治虫先生」 永島慎二

    おわりに
    「蒸発」 「無能の人」より つげ義春 ★

    編者解説 山田英生

  • 沢山の本にまつわる物語が詰まっていて、夢のよう。 全て漫画なのも、いい。

  • 本をめぐる怪奇譚や奇妙なファンタジーを収録。『ビブリオ漫画文庫』に続く第二弾アンソロジーです。書痴なら「分かる、分かる」と納得してしまうシーンが幾度も出てきて面白い。仕事の休憩に本を読み漁る話、西村ツチカ「きょうのひと」水木しげる「巻物の怪」が特にお気に入り。

  •  本をめぐるアンソロジーなのですが、中身をほとんど見ずに、表紙の諸星大二郎の絵に惹かれて買ってしまいました。いわゆるジャケ買いというやつです。が、どの短篇も個性的で、自分としては多くの収穫がありました。おどろおどろしいものも好きですが、実はかわいいものも好きなので、例えばコマツシンヤさんの作品世界と出逢えてよかったな、と思っています。私もけっこう紙の本を溺愛しているので、こういうアンソロジーが出るのはとても嬉しいです。

  •  まんがファンというレベルでは到底ないので、初めて読む作家さんも半分くらい。

     辰巳ヨシヒロ「愛書狂」は、フローベールの同名作を日本を舞台にしてマンガ化したものだが、好きが高じて常軌を逸するに至る恐ろしさを描いた、『書痴まんが』の冒頭を飾るにふさわしい一編。

     時間に追われる日常と読書への没入との差異を細いタッチで描いた西村ツチカ「きょうのひと」、本とのふれあいの楽しさをメルヘンチックに描いたコマツシンヤ「屋上読書 魅惑の書店街 船の図書館」、SF的な急な展開について行くのが大変だった黒田硫黄「男と女」には、"本"が単なる舞台道具以上の存在として描かれていて、印象深かった。

     貸本屋時代から漫画の成長期に向かう時代を背景とした松本正彦「劇画バカたち‼︎」や永島慎二「ぼくの手塚治虫先生」、貸本屋の客である子どもの心情に焦点を当てて描いた山本おさむ「雨とポプラレターペン」などは、当時の時代状況を知る上でも興味深い。

     最後を締めるのは、つげ義春「蒸発」。若い時分に本作を読んだ時にはあまり感心しなかったのだが、今回改めて読んで、幕末の俳人井月の人生を題材に取りながら、無為な生活を敢えて送る古書店主山井の生き方を描くその描き方に、しみじみとしてしまった。
     

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