日本語で読むということ (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 85
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480438010

作品紹介・あらすじ

なぜ『日本語が亡びるとき』は書かれることになったのか? そんな関心と興味にもおのずから応える、折にふれて書き綴られたエッセイ&批評文集。

感想・レビュー・書評

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  •  『續明暗』を書いた人として水村氏の名前は知っていたが、実際にその文章を読んだのは、『日本語が亡びるとき』が唯一だった。
     そのエッセイ&批評が文庫化された機会に、本書を手に取ってみた。

     親の仕事の関係で12歳で渡米、著者はアメリカに目をつむり、ひたすら日本に目を向けたと述懐する。長い海外生活から日本に戻り、〈日本語〉で文章を書き始めた著者が『續明暗』を、さらには『日本語が亡びるとき』を書くことになったことも、本書に収められた文章を読んで、何となく納得できた気がする。

  • 『日本語が亡びるとき』の著者のエッセイ集。
    著作についてのコメントや、批評も入っている。

    タイトルにちなんで、という感想にはならなかった。けれど、幾つか、印象に残った言葉がある。

    『銀の匙』について書かれた中にある、「美しい」ことと「美しく生きる」ことの差。
    表面と内面の差とは言い切れない、自明ではない価値の比喩、と述べる。

    坂口安吾とタウトについて書かれた中にある、日本人は日本を「発見」せずにすまされるのだろうかという言葉。
    私たちにとってのルーツは、今や「役に立つ」か「役に立たない」かで片付けられようとしている、そんな気がする。

    漱石の『明暗』にある、牛になる事を二回取り上げているのも印象的だった。
    牛は超然して押して行く。何を押すか。

    人間を押すのです。

    文士を押すのではありません。

  • エッジが立った文章で心地よい。気持ち良く読める。ただ、内容が自分の目線の射程に依るものが大部分なので、何らかの示唆を得るというものではない。水村は、わざとそういうエッセーを書いて「女流」というブランディングをしているのだろうか。

  • 【書誌情報】
    『日本語で読むということ』
    著者:水村 美苗
    カバーデザイン:堀口豊太
    シリーズ:ちくま文庫
    880円(税込)
    Cコード:0195
    整理番号:み-25-5
    刊行日: 2022/02/09
    判型:文庫判
    ページ数:304
    ISBN:978-4-480-43801-0
    JANコード:9784480438010

    なぜ『日本語が亡びるとき』は書かれることになったのか? そんな関心と興味にもおのずから応える、折にふれて書き綴られたエッセイ&批評文集。
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480438010/

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著者プロフィール

水村美苗(みずむら・みなえ)
東京生まれ。12歳で渡米。イェール大学卒、仏文専攻。同大学院修了後、帰国。のち、プリンストン大学などで日本近代文学を教える。1990年『續明暗』を刊行し芸術選奨新人賞、95年に『私小説from left to right』で野間文芸新人賞、2002年『本格小説』で読売文学賞、08年『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』で小林秀雄賞、12年『母の遺産―新聞小説』で大佛次郎賞を受賞。

「2022年 『日本語で書くということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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