- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480438096
作品紹介・あらすじ
神話と現実をたゆたう「コロヌスからの道」、同性愛を扱った「アーサー・スナッチフォールド」など、不朽の名作短編を六作収録。(井上義夫)
感想・レビュー・書評
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2022年11月22日読了。英国の小説家フォースターの短編小説集。『ハワーズ・エンド』など作品名しか聞いたことがなかったが、英国の上流階級出身だが自身のホモセクシュアルな傾向に悩んだ(当時は重罪)という複雑な人物が作品に奥行きを与えているのか、繊細でクラシック(100年以上前の作品だから当然だが)な味わいがあり楽しめた。階級の違い・男女の違い・現実と幻想の違いなど、異世界・異文化に接したとき自分はそれをどう理解するか、また相手にどう理解してもらえることを期待するか、は時代が進みインターネットによりフラット化した社会においても変わらない人間の悩みだよなあ…。
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希臘か伊までゆかないと地霊に魅入られないのかな。理性の国からすると狂気と破滅は"地中海にお任せ"マターなのか。
「偽善を許せないのは偽善者だけ」。やっぱり好きだな、フォースター。アーサー・スナッチフォールド→モーリス、永遠なる瞬間→ハワーズ・エンド、と、通じるものが垣間見えて愉しい。 -
主語が入れ代わったり、比喩が多かったり、説明なくどんどん登場人物が出てきたり、なかなか読むのが大変でした。
異世界的な浮遊感のある自然描写が独特。
よくわからないまま通りすぎるんですが、読んだ前と後では何かが決定的に変わっている。
そんな不思議な世界観をもつ作品が多かったです。 -
「モーリス」「ハワーズ・エンド」等で知られる作家さんの短編集。「アーサー・スナッチフォールド」のように主題化されてなくても、男性同性愛を示唆しているように思える作が多くて、やはり目を引く。とはいえH・G・ウェルズを意識して書かれたという、ディストピアSFの「機械は止まる」など、異色に思える作も含んでいる。ただ、一読したぐらいではさっぱり意味の取れない話も多いので、解題は欲しかったかな。まあ、ネットで調べればいくらも出てくるのだが。