イギリス社会史 1580-1680 ――経済・社会秩序・文化 (ちくま学芸文庫 ラ-14-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480511423

作品紹介・あらすじ

社会秩序はいつ、どのようにして変わるのか。近世イギリス社会の経験を見事に描き出した社会史の名著。

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イギリスで歴史を学ぶ学生の必読書。個別の事象を丹念に読み解きながら社会全体の流れを描き切る叙述の見事さから、1982年の刊行以来、版を重ねてきた。本書が取り上げるのは、封建領主の弱体化による地主階級の勃興、人口激増による食糧価格の上昇、ピューリタン革命などが起きた激動の100年。この期間に、長きにわたって存在し、変わらないように思われた社会構造も、経済の発展と絡み合いながら姿を変えていった。しかしその変化は明るい方向には進まなかった。イギリス全体は豊かになりつつも、経済的格差と文化的分断は、ますます広がっていく。2003年の原著改訂増補版を文庫化。
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格差社会の原点
イギリスで歴史を学ぶ学生必読の名著を文庫化

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【目次】
二〇〇三年版への序文 
緒言 
序論 
Ⅰ 変わらない構造
第一章 人々の位階
社会序列意識の複層性/富・身分・権力
第二章 地域共同体における社会関係 
ローカリズムと流動性/親族/隣人関係/家父長主義と服従/紛争と共同体
第三章 家族形成
結婚と婚姻の機会/結婚相手の選択/結婚の仲介/縁組の基準/結論
第四章 夫と妻、両親と子供
夫婦関係〈理想/現実〉/子供の誕生と児童期/親子関係

Ⅱ 社会変化の過程 
第五章 人口と資源 
人口拡大/人口の再編成と国内取引き/経済的変化〈機会と制約〉/社会の分極化/危機と回復〈時代ごとの変化〉
第六章 秩序 
中央政府と州の治安判事/法と地域共同体/重罪と軽罪/騒乱と反逆/結論
第七章 教育と信仰 
教育の機会と民衆の読み書き能力/教育と社会変化/宗教と魔術/信仰篤い人と大衆/文化の分化
結論 国家と地域 

訳者あとがき 
原注と参考文献 
二〇〇三年版参考文献
訳注
索引

文庫版訳者あとがき(中野忠)
解説 ますます豊かで不平等な社会(山本浩司)

感想・レビュー・書評

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  • ピューリタン革命などを含むイギリスの激動期の社会構造の変化(と、変わらない部分)についての本。歴史の話ではなく、あくまで人々の生活、文化に的を絞ってこのボリューム。豊かになったイギリスとは一部の上層とそこに接近したミドルクラスであり、より困窮した大勢の貧民が生まれていく。そして村などのコミュニティの祭り等の文化は衰退し、共同体の構造自体が変化する……という様子を丹念に描き出している。
    頻繁に引用される当時の人々の日記や書き物を読むのがたのしい。離婚はほぼあり得なかった時代、素行の悪い妻と激しい夫婦喧嘩を繰り返しながらもなんとか関係を修復するため神に祈り続け、ある日決心してお互いに寛容になることを誓い守り通す男とか、学校にほとんどいけなかった庶民の少年が読み書きを身に着けようと奮闘する話とか。当時の「無知蒙昧の民」たちも、意外と現代に近い家族や友人関係の感覚を持っていて、ジェントルマンたちよりずっと恋愛結婚に近い形で連れ合いを見つけていたというのも意外で面白かった。

  • 京都府立大学附属図書館OPAC↓
    https://opacs.pref.kyoto.lg.jp/opac/volume/1251870?locate=ja&target=l?

  • 233.05||Wr

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著者プロフィール

キース・ライトソン(Keith Wrightson):1948年生まれ。イギリスの歴史学者。セント・アンドルーズ大学、ケンブリッジ大学を経て、現在、イェール大学のランドルフ・W・タウンゼント歴史学教授を務めている。著書に、A Social History of England, 1500-1750, Earthly Necessities: Economic Lives in Early Modern Britain, 1470-1750などがある。

「2022年 『イギリス社会史 1580-1680』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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