問う方法・考える方法 ――「探究型の学習」のために (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480683953

作品紹介・あらすじ

私たちは人生の中で出会う様々な課題を、見つけ、調べて、解決することが求められる時代に生きている。新学習指導要領の重要キーワード「探究」のためのテキスト。

感想・レビュー・書評

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  • VUCAの時代を生きていく私たちは、生涯、知的に探究を続けていくことが大事になってきている。だからこそ、何をどのような価値や方向性に基づいて学び、それを何に活かそうとしていくかという「学びの履歴」が「学歴」として問われていく時代になるのだ。そんな中、学校教育で大事にすべきことは何なのか、どうしたら著者の考えを実践におとしこめるのかをぐるぐる考えながら読んだ。

    少なくとも、「学校」という狭い世界に閉じないこと、そして、「対話」によって、集団(共同体)を作ることを通して、さまざまな他者とつながっていけるようにすること、その中で、どうよい関係を築いていけるか、その価値や意義を学べる場所としてあることが求められていることがわかる。

    そのためにも「探究」は「探究の共同体」をつくり、グループでおこなうことの重要さが説かれていた。たしかに、社会生活は、ほとんどが共同作業。個人でのパフォーマンスだけでうまくいくこと、発展することは少ない。それよりも、自分の持ち味や役割を見つけること、自分にない他者の良さを活かせるようになることのほうが、より良いものに辿り着く可能性が増える。でも、そのためには、「学ぶ意欲と動機をずっと持ち続けられる」人を育てることが必要不可欠だ。そして、それがいちばん難しい。

    問いや仮説を何度も立て直し、実証を繰り返すことが、探究型の学習のメリット、たしかにそのとおり。でも、それは、その失敗の連続でも、それがプラスになることを経験的に知っているから耐えられる?続けられる?ことだ。それをまだ知らない人たちにどうそのモチベーションを保たせ続けられるかは考えどころ。こう考えてしまうところが探究型の学習の意味をわかりきれないからなのかもしれないと思いつつ…。

    探究と教科教育をどう結び付けられるか、現実の社会・世界と教科教育をどうつなげられるか。教科教育に探究の要素をどう有機的に取り入れられるか…まだまだわからない。けれど、まずは、「質問する力」をつけることがとっかかりになりそうな気がした。

    そして、よい議論をするために必要な3つの思考の仕方の中で出てきた「ケアする思考」という視点がとても重要になってくるなぁと心に留めておきたい。「これから考えていこうとする対象やテーマや問いを大切に想い、それをめぐる考えや発送を育てていこうとする態度」「探究に対して責任を持ち、それを発展させていこうとする慈しむ態度」のこと。

    ここ数年、手元に置いておきたい1冊となりそう。

  • 高校教育では、総合的な学習の時間が総合的な探究の時間に変わる。探究的な学習を進めるに当たって、哲学対話のやり方、文献の探し方、プレゼンテーションの仕方、レポートの書き方を詳しく説明している。小学校の総合的な学習の時間にも役立つ。

  • このような状況下で、中身を見ずに購入したのだけど。『問う方法•考える方法』というタイトルに見合った内容なのかなー。ちょっとモゴモゴ。

    前半はわかりやすく「探究」の目的や、子どもたちに身につけて欲しい力について書かれている。
    教科横断をしながら、自分や自分を取り巻く社会のことを、当事者として考えていくためには。

    気になるのは、後半が文献収集やプレゼンテーションの仕方にボリュームが割かれているところ。
    でも、この部分はこの本でなくとも載っている。
    個人的には、もっと「問い」や「考えること」の面白さ、在り方の部分に踏み込んで欲しかった。

  • 貸出状況はこちらから確認してください↓
    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00301218

  • 「私たちは自分の人生の中で出会うさまざまな課題を、見つけ、調べて、解決することが求められる時代に生きている。日常の関心を一歩前に進め、「対話」を通じて学びを広げよう。生徒と教師に向けた「探究型の学習」のためのテキスト。」

    目次
    第1章 「探究」とは何か
    第2章 探究的な学びとは何か
    第3章 探究型の授業と哲学対話
    第4章 文献収集と読み解き方
    第5章 プレゼンテーションの仕方
    第6章 レポートの書き方

    著者等紹介
    河野哲也[コウノテツヤ]
    1963年生まれ。立教大学文学部教育学科教授。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(哲学)。専門は哲学、倫理学、教育哲学。NPO法人「こども哲学・おとな哲学アーダコーダ」副代表理事。総合的な学習/探究の時間や道徳科教育の指導も行っている

  • 探索学習の教室を想定した本であると思うが、「探索的に学ぶとはどういうことか」、探索的かつ論理的思考のプロセスをとことん丁寧にかみ砕いて書かれており、実務家としても学ぶことが多かった。数多く出ている研究や論文の入門書より優れて分かりやすく、たとえば社会人でこれから大学院入学を検討している人にも「研究とは」の初歩を知るに十分な内容であると思う。

  • 高校の総合的な探究の時間向けの教科書となる本であるが、大学生でも通用し、かえって大学1年生向けの教科書として優れているのかもしれない。
     議論の仕方だけでなく、論文の書き方まで懇切丁寧に書かれているので、卒論執筆にも役立つのかもしれない。

  • 最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00598209

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著者プロフィール

立教大学文学部教授。NPO法人 アーダコーダ副理事。
専門は、心の哲学・現象学・倫理学・応用倫理学。社会が内包する問題に哲学的見地から切り込む。
著書に『メルロ=ポンティの意味論』(2000年)、『道徳を問いなおす』(2011年)、『境界の現象学』(2014年)こども哲学についての著者に、『「こども哲学」で対話力と思考力を育てる』河出書房新社、『じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン』 河出書房新社、『問う方法・考える方法 「探究型の学習」のために』ちくまプリマー新書、『対話ではじめるこどもの哲学 道徳ってなに?』全4巻 童心社、共著『子どもの哲学 考えることをはじめた君へ』 毎日新聞出版など多数。

「2023年 『こどもたちが考え、話し合うための絵本ガイドブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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