- Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480688248
感想・レビュー・書評
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ギャンブル学で有名(?)な犯罪学者・谷岡一郎先生による「刑法入門」。
ただし、内容は刑法だけでなく刑事訴訟法(刑事裁判)や刑事政策・犯罪学など刑事法全体について扱っている。一般にわかりやすくするために「刑法入門」としたものと思われるが、正確には刑事法入門に相当する。
著者の専門である犯罪学のエッセンスがふんだんに盛り込まれており、大学で刑法を学んだ人も十分楽しめる内容となっている。もちろん、刑事法について知りたい人にもオススメ。
加えて、死刑存廃論や性犯罪者の監視の是非、厳罰化など、ニュースや討論番組などでよく取り扱われる問題についても触れられており、その点でも山口厚『刑法入門』(岩波新書)より取っつき安いだろう。
一点だけ、88頁の図で「上訴」となっているのは上告の誤り。(上訴とは不利な判決等を受けた者が上級裁判所にその取消・変更を求めること。大雑把に言うと「上訴=控訴&上告」となる)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
谷岡先生が好きで読み始めた一冊
非常に取り掛かりやすく、読みやすかった
刑法とは何か・犯罪とは何かがわかりやすくまとめられている
少しでも犯罪や犯罪学に興味があるなら、読んで損はないと思う -
ざっと読んだ。
・厳罰化を考える際に必要な区別として、定義の変更なのか、運用・適用の次元なのか、実態なのかといった観点
・刑罰の確実性を上昇させるためには、取締りを厳格にする、刑罰の執行を厳格にするといったことが重要であるという指摘
(例)ランダムでいいので摘発を実行する、ペナルティを科すときはきちんと執行する
・刑法の思想において重要なのは「すべての対象者に対して公平であらねばならないこと」
以下、キーワードというかメモというか...
・起訴便宜主義
・罪刑法定主義
・公法と私法
・適正手続(デュー・プロセス)
・犯罪成立要件 → ①構成要件妥当性、②違法性、③有責性
・犯罪の大多数は財産犯
・認知件数が増えた場合でも犯罪が増えたとは限らない。常識として、犯罪というものは、特に理由がない限り、急に増えたり減ったりしていない
・暗数
・刑法とは、犯罪行為を定義し、それぞれの刑罰などを定める法律のこと。一般的に①法益保護機能と②人権保障機能がある。
・刑事裁判とは、一義的には、検察側から出された証拠、およびその収集方法をチェックし、ファウルなしに犯罪行為を100%証明できたかを裁判官が判断する場
・挙証責任
・国親思想
・全送致主義
・応報と教育 -
今年最初の新書お勉強。刑法は市民のために書かれたものではないということを初めて知った。まああたりまえと言えばそうだけれど。
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刑法理念の核をかなりカバー&激ビギナー向けで読みやすい
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刑法だけでなく、法学、犯罪学、刑事訴訟などのエッセンスを盛り込んだ本。法律に来れまで触れてない人にもふんわりとわかる様な内容に。他方、深くないのが残念なので、詳しく知りたい人は本書をキッカケにして専門書を。
2012年1月6日読了 2012•1冊目 -
谷岡さんはすごーく昔、『ギャンブル・フィーヴァー』という本を読んでいて、同じ著者なんだと思い、ちょっとびっくり。
刑法学者というより、社会学者だよね。谷岡さんは。
この本は、今の日本の刑法をめぐる現状と厳罰化や死刑廃止・存置を含む議論にツッコミをいれる、という内容です。
読んでいて面白いのですが、ツッコミ具合がフラッシュ・アイデアに近い部分で終わっており、もっとがっちり学びたいなぁというのが、今の感想。刑法そのものをもっと知らなくては批判も当たっているのか、判断できませんから。
その上で、興味深かった箇所。
・子どもに厳しい家庭、甘い家庭では、犯罪発生率に違いはない。教育方針が定まらない家庭がやばい。
・刑罰強化より、取り締まり強化の方が実効性が高い。
・警察がパチンコをギャンブルと認めないロジックの浅はかさ。
・司法システムの維持・保証に関する刑罰は、より厳格であるべき。 -
初心者のひとにわかりやすく書いているようにおもえる。読みやすい
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請求記号:326タ
資料番号:020206819
装丁:クラフト・エヴィング商會