おまじない (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
3.35
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本棚登録 : 1300
レビュー : 161
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804778

感想・レビュー・書評

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  • 何気無い一言を言われただけで、世界がひっくり返るほど救われることがある。
    他の人には全く効かない、自分だけの魔法の言葉だ。
    気持ちが不安定で落ち着かない時、自分を卑下してつい気持ちと裏腹なことをしてしまっても、自分を認めてくれる言葉を貰うと涙が出るほど嬉しくなる。
    「あなたは悪くないんです」
    「あなたがいてくれて本当に楽しい」

    短編の主人公達と一緒に、読んでいる私も優しい魔法の言葉に何度も救われた。
    「おまじないなんやから。自分が幸せになる解釈をしたらええのや」
    西さんの関西弁は私にいつも元気をくれる。
    そしていつも思うけれど、西さんの描く独特の色彩の絵も本当に素敵だ。

  • 今のお前を変えろ、と言われたら悲しくなるけど、西加奈子はたぶん、私が私のままでいることを肯定してくれる。変わらないまま、幸せになることを許してくれる。
    この本に関して言えば、全ての女がどこかで抱えているであろう傷に触れてくるのだろうし、それに気づかされもする。けれど、決してそれを責めたりしない。
    どうぞ安心して読んでください。

  • 今日も加奈子ちゃんはさわやかにバットを振り切ってるなあと思いました。ボールを見ないで青空を見ながら思いっきりフルスイング。結果ボールにジャストミート。そんな感じがしました。読者の感想を気にしながらチマチマ書いているんじゃなくて、しかも独りよがりな独善性もなく、ひたすら「どうよ?おもろいやろ?」と笑顔でスコンスコンとミートしてくる。ホント素敵な話書くなあ。
    4話目迄は完全に心鷲掴みにされました。頑固じじいがいつまで経っても頑固じじいのままでいてくれる素晴らしさ「いちご」。パーフェクトで隙がないおじいいちゃまの内面に触れて、聖人君子でいる事の大変さと、色々な事を面白がる事の大切さに気付く「孫係」が特に好き。「ドラゴンスープレックス」もいいですね。題名からして力強いけれど、そこはかとなく、人間観察眼のやさしさが感じられます。

    現地をきっちり描写したのかな?と思われる「オーロラ」「ドブロブニク」で自分的にはブレーキ掛かったような気がする。個人的好みとしては勢いで書いたようなパワーあふれる西加奈子が好きです。

  • 8人の女性を題材とした短編。一つの言葉で救われる。少女であったり妊娠した人であったり、キャバ嬢だったり、どこにでもいそうであり、誰もが悩みを抱えるであろう、物語の中ではそんな投げかけられる一言で、彼女たちは救われていく。短編だけれども、どれものめり込んだ。おばあちゃんとか外国人とかとっても西さん風。おばあちゃんが出てくる「ドラゴン・スープレックス」とおじいさんとのやりとりの「孫係」面白かったな。「マタニティ」は彼のこと、子供のこと、自分のこと、そして弱いということ、心をしっかり捉えよく書けている。何度も読み直したい本。

  • 20180201リクエスト
    「燃やす」
    かたちがないものは、燃やすことができない。本当に燃やしたいものを燃やすことができなくてすみません

    「孫係」
    係だと思ったら、なんだって出来るんです

  • あねご、孫係のお話が好き。

  • 大好きな西さんの小説!
    短編集なのが歯がゆい。一つ一つが長編にも大河にもなりうるほどの質。なのに短編、これは計算なのか?!

    もの足りなさ120%の読み応えでせつない思いを抱いたまま、「うん、これで良し」と納得させられた読者は幸せ者。

    この後、おすすめした人にぜひぜひ感想を伺いたいものですわ。

  • 器量も感性も様々な悩める女性たち。そんな彼女らが主人公ではあるけれど、彼女らに救いの「おまじない」をかけるのは素朴で朴訥な男たちだ。用務員のおじさん、いちご農家の浮きちゃん、ママのパパのおじいちゃま、みすぼらしい芸人のモリさん、アラスカの老人トラッカー、かつてのスターサッカー選手から覚醒剤で落ちるところまで落ちた若鷺、フィンランドのバーで映画のチケットを売りつけてきた初老の男、そして博識ながら老母のすねかじりおっさん。悩める女性たちに深く介入するわけではなく、自らも決して生き上手ではないけれど、彼らの意表を突くひと言が彼女らを救う。弱った人の心を癒すのは、ときに弱い心の持ち主だったりする。

  • 大人になって、大丈夫なふりをしていても、
    ちゃんと自分の人生のページをめくったら、傷ついてきたことはたくさんある――。
    それでも、誰かの何気ないひとことで、世界は救われる。
    悩んだり傷ついたり、生きづらさを抱えながらも生きていくすべての人の背中をそっと押す、キラメキの8編。

    「あなたを救ってくれる言葉が、この世界にありますように」――西加奈子

    【収録作品】
    1 燃やす
    2 いちご
    3 孫係
    4 あねご
    5 オーロラ
    6 マタニティ
    7 ドブロブニク
    8 ドラゴン・スープレックス

    -----------------------------------

    短編集なのでサラリと読めた。途中、角田光代さんの作品とと似たような感覚にもなったけど、人が思っていることの描写はさすがで、破天荒なキャラもうまくまとまってしまう感じが良かった。漁港の肉子ちゃんみたいな長編がまた読みたい。

  • うれしいことも、悲しいことも、辛いことも、なんにもないよりはあったほうがいい。それがきっと彩りになるから。
    そうでも思わないと、あまりにも悲しいことがあると何もかも嫌になってしまうもんなぁ。

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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