この春、とうに死んでるあなたを探して (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 313
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804792

感想・レビュー・書評

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  • たぶん二年以上の積み本
    最近出た文庫本の書き下ろし短編あるってのが気になって急いで読了
    文庫本も買おう
    表紙のが気に入って誰が描いたか調べた 表紙イラストは暮さん、pixivコミックやBL誌で活躍されてるらしい
    付録ペーパー?は「スイカ」矢口の小日向の出会いの転校初日を担任教師視点ストーリー

  • 生活感のない部屋に憧れる。物が少なくてすっきりとしていて家具とかラグの色が統一されているような、そんないい感じのシンプルな部屋。
    でもたぶんそれは無理だと思う。なぜならごちゃつかせている色んなものが自分の生活であり、人生だから。

    『矢口弼は38歳、元税理士。離婚を経験して仕事にも疲れた矢口は、中学時代を過ごした南森町にひとりきりで戻る。新しい住まいは、かつての同級生・小日向の営む喫茶店「レインフォレスト」の上階。外見は変わっても中身は子どものままに騒々しい小日向に矢口は面食らいながらも、少しずつ雨森町になじんでいく。
    そんなふたりにもたらされる恩師の死をめぐる謎。
    先生の死は事故なのか?あるいは、生徒からのいじめを苦にした自殺?23年前の真実を求めて、矢口と小日向は元クラスメイトを訪ねるが―。失くしたものも、ふたりでなら見つけられる。
    喪失を抱えた者たちの人生を全力で肯定する物語。』
    筑摩書房 この春、とうに死んでるあなたを探して
    紹介ページ

    榎田ユウリ先生の本はBLの榎田尤利名義でいくつか作品を読んだことがあった。
    でも一般文芸は初めてでどんな感じの本なんだろうと気になって図書館で借りてみた。
    矢口と小日向は38歳のアラフォーで立派な大人なのだけど、中学生のころの担任について調べるためにかつてのクラスメイトの元を訪れて話を聞く。
    それによって思春期特有の友達とのじめっとした距離感とか、内にこもった鬱屈した感情が見えてくる。
    それでもそれがあまり嫌な味つけに感じないのは、あくまでも主人公や登場人物がすっかり大人になった地点からそれを語っているからだと思う。
    全体を通して情景の描写も含みつつも文章のリズム感がよくて引き込まれた。
    こういう文章が書けるようになりたい~!文章が上手い~!

    矢口の家へ訪れたときにあまりにも家具や日用品が少ないことに対して小日向と矢口のやりとりが特に好き。

    『「時代は断捨離なんだよ。ものが少ないほうが、生活がスッキリしていていい」
    「スッキリさせんな。人生はもっとゴタツとしてるもんだ」
    「人生じゃなくて生活の話だろ」
    「生活が続いたもんが人生だろうが」』

    そう、ごちゃごちゃしている生活が続いているのが人生なんだよなあ。
    自分がわりと理屈をつけて色んな事物をすっきりとカテゴライズしたがるタイプ、どちらかというと白黒思考ではっきりさせたがりの部分があるので、このやり取りは刺さった。
    小日向みたいな性格に憧れる。私は圧倒的に矢口タイプなのだ。
    ごちゃごちゃさせたままにするということは、ちゃんとそのごちゃごちゃに向き合うことを考えてないとできない。
    向き合うことを怖がって切り捨ててしまえば楽だから。

    いまちょうど自分の部屋を見回してみて、たしかにスッキリしているとは言えない。
    整理整頓苦手だし!
    PCまわりもペンやらメモやら本やらがあるし、好きなキャラの小さいアクリルスタンドまで置いてある。
    本棚も色んな種類が並んでいてコミックスもある。
    でもこのごちゃごちゃ感がとても好きだしリラックスできる。
    自分の部屋だなあと思う。
    だから多少の部屋のごちゃごちゃはいいかなーなんて、ね。

  • 会話のテンポや内容にぐんぐん引き込まれた。
    他の作品も読んでみたい。

    脱字が少し残念。

  • 文庫化

  • 表紙と榎田ユウリさんでBL要素強めかな…と思っていたらそこまでじゃなかった。

    話が動き出すまではノロノロ読んでたけど、途中からは一気読み。
    この読みやすくてテンポが良い軽めの文章の中に、心の奥の方に隠してある他人には見せたくない生傷的なものが感じられて、良く考えたら結構痛い。

    はぁー。ユキが魅力的。流石榎田さん。
    こういう、一見子供っぽいけど本能的に人の本質見抜けて優しく出来る人って実はめちゃくちゃ大人だと思うわ。

    ただ、誤字脱字が多すぎて気になってしまった。
    赤入れたい。←偉そう

  • 中学生ぶりに再開した同級生と、担任の死の真相を探していく…ということで、ミステリーがメインかと思いきや、謎解き自体はとてもアッサリ。
    謎解きを通して出てくる、良くも悪くも"青春"なエピソードが、少しずつ2人の関係性を明確にしていく。賢くて真面目で理論的な矢口と、軽くてチャラくて感覚的なユキ。マイナスとマイナスをかけるとプラスになるんだって、そんな話が文中にもあるが、まさにそんな2人の関係が、重いテーマも読みやすくしてくれる。この2人がこの先も前向きに生きてくれることが、楽しみである。

  • 三十路のおじさんたちのお話なのにわちゃわちゃ楽しかった。
    相変わらず登場する女性陣たちはたくましい。
    これからどんな生活が始まるのか、番外編とか読んでみたい。

    榎田さんの作品はやっぱり読みやすくてステキだー!

  • しっかり伏線に引っかかり、読後ほっこりしました。
    表紙ほどBL感なし。

  • カバー裏に気付かないところだった。何気なくめくってよかった。

  • 先生は事故で死んだのか、それとも自殺だったのか。その謎を追いかけるうちに自分自身と向き合わざるをえなくなる。
    こういう話によくある謎を暴いていいのか、みたいな葛藤はなく、むしろ逃げてはダメだとか目をそらすなとか「別れた妻」に言われているのが新鮮。でも、結局それも自分との対話というのが切ない。

    小日向が「自殺はぜったいダメ!」っていうのと、矢口の「そんなこと言っても誰も止められない」というのと。
    「ひとがひとり死ぬと、周りの人間もすこしずつ死ぬ。」って何かの本で誰かが言っていたし、本当にそのとおりだと思う。
    それが自殺となると、なんで、どうして、どうすれば、でも追求してもほんとうのことはわからない。だから、「ぜったいダメ!」ってシンプルに言ってしまいたいけど、なかなか言えない。だから、それを言えてしまう小日向が矢口には必要なのだ。こういうひとには、かなわない。ズルいしぜんぜん理にかなってないんだけど、もうそういう存在だから仕方ない。矢口も、それを求めてこの町に戻ってきたのだろう。

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著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

榎田ユウリの作品

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