段取り力

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480816290

作品紹介・あらすじ

できないのは、あなたの能力のせいではなかった!「物事がうまくいかないのは、段取りが悪いからだ」と考えることで、対処法が違ってくる。自分に合った段取りのスタイルを見つけて、すべての活動に当てはめていけば、仕事も家事もいきなりうまくいく。

感想・レビュー・書評

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  • 1.著者;明治大学教授。教育学者であり著作家。「身体感覚を取り戻す」で新潮学芸賞受賞、「声に出したい読みたい日本語」は250万部超えの売上で、毎日出版文化賞特別賞受賞。教育・コミュニケーション・ビジネス関係書籍を多数執筆。テレビ出演も多く、誠実な人柄で好評を博しています。“大学の授業と学生指導”に加え、書籍執筆・テレビ出演・講演会と超人的に良質な仕事をこなすマルチ人間。
    2.本書;“段取り力(マニュアルを作る能力)”に関し、精神論やノウハウ本ではなく、有益な具体例(トヨタ生産方式・建築家の安藤忠雄氏・・等)を豊富に取上げ、その手法を紹介。「第一章;生産性の高いプロの段取り力~第五章;段取り力の鍛え方」までの五章立て。「段取り力の鍛え方」では、ヴィジョンと素材を結ぶ回路を作る、優先順位で組み替えていく・・・と、分り易く解説。
    3.個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、私の感想と共に記述);
    (1)第一章中の『2.建築家、安藤忠雄に見るクリエイティブな段取り力』より、「自分が段取りを組むためには、一度でも現場に行って調べることが大切だ。一見効率が悪いように見えるが、自分が調べたかった以上の事に気付いたり、それ以上の文脈をとらえることが出来る。それは段取りを組むとき、大きなプラスになるだろう。・・・現場を見て、経験を積み重ねる事によって、自分の中にチェック項目を増やしていくことだ」
    ●感想⇒トヨタ生産方式の中に、“現地現物主義”という考え方があります。現場に行って、自分の眼で確かめるという事です。人に聞いた、書類で読んだ、という事だけでは、事実に基く行動を出来ません。一例をあげると、ある現場で、作業者を変えたら、不良品が出て減らないというのです。その原因は、次の人の作業不慣れと報告があり、上司が現場を確認しました。しばらく作業を見て、作業者が小柄で背伸びして部品を取りつけていました。やりにくい作業だったのです。早速作業台を調整して、作業して貰いました。不良品は格段に減少したそうです。この成功要因は2つだと思います。1つは、問題を現地確認した点、もう1つは、確認した上司の経験レベルです。百聞は一見に如かずという現地現物の観察は必須ですが、加えて「経験」という判断のモノサシがあってこそ十分と言えるでしょう。
    (2)第二章中の『2.スティーブキングの“刑務所のリタ・ヘイワ―ス”に見る長大な段取り力』より、「ヴィジョンを明確にして逆算し、やるべきことを進めるのは事を成し遂げる為の鉄則・・・何の為に何をやる、というのは根本的な段取り力だ。それがないと、努力しても的外れになってしまうし、努力が無駄になる」
    ●感想⇒“段取り”とは、目指す将来の姿と現状の差を埋めていく手順です。この手順をいかに論理的・合理的・簡潔に進めるかがポイントです。将来目標(ヴィジョン)を高く持ち、現状を正しく認識して、そのギャップを埋める行動をしていくのです。そして、手順の節々で、何のためにやっているのかを自問自答し、必要に応じて修正しつつ、目標達成するのです。著者の言う通り、何の為にという強い目的意識がなければ、徒労に終わるでしょう。普段からのあるべき姿の鋭い考察が人間を成長させるのかも知れませんね。
    (3)第三章中の『2.書く段取り力』より、「私は世の中の情報は全て3色に分かれると思っている。・・・大工道具を作っているメーカーの人に聞いたことがある。大抵の製品はSMLの3種類を作っておけば大丈夫なのだそうです。1種類・2種類だけでは少な過ぎて苦情が来るし、4種類・5種類に増やしていくと、メーカー側が大変になってしまう」
    ●感想⇒私は重点指向という考え方が好きです。物事の重点は、多くても10点程度までだと思います。何かをまとめるのに、20点も30点も言ったり、書いたりは論外です。難しいかもしれませんが、重点となる5点程度に集約する事が良いと思います。人に自分の意見を聞いてもらうにしても、ストレスなしに受止められるのは5点位が限度でしょう。私は、この点を意識してブグログレビューを書いています。蛇足です。3という数字は分かり易いと勝手に思っています。独断と偏見にご容赦を。
    4.まとめ;斎藤氏は、「特別な天才を除けば、人間にそれ程大きな才能や能力に差はない。段取りの巧拙があるだけだ」と言っています。「段取りが悪かったから上手くいかないんだ」と考えれば対処法が違ってくる。だから、「段取り力を鍛えるべきだ」として、具体的な段取り力の鍛え方にも言及しています。確かに、氏の言うように、物事を論理的かつ合理的に進めれば良い結果になるかもしれません。しかし、私は効率だけを求める人生はつまらないと思っています。時には、行当たりばったりの旅をするように、自由気ままにスローな時間を過ごすことも大切と考えます。山あり谷ありのメリハリのある人生って憧れますよね。最後になりますが、斎藤さんの書籍は、論理が明快で分かり易い文章なので、気に入っています。大学教授にありがちな、外国本を直訳したような本に比べるまでもありません。川端康成氏が言っていました。「文章の第一条件は、簡潔で平明という事であり、如何なる美文も、人の理解を妨げたなら、卑俗な拙文にも劣るかもしれない」と・・・。(以上)

  • 何事もそうだが、一つ道をつけるところまで到達するのが大変だ。そこまでが仕込みの段階で、あとは一度道がついたところを増幅していけばいい。道がないところに道を開くという質的変化を起こすまでが大変だが、しかしその質的変化も実は量的な蓄積の結果である。(p.75)

    オリンピックは実に「段取り力」が問われるスポーツだと言える。毎日試合がある野球のようなスポーツにも「段取り力」は必要だが、4年後に勝つための「段取り力」はもっとすごい。(p.89)

    質の違う活動をしっかりと振り分けることができるのが段取りである。同じような活動は一つの活動としてみなす。するとどこかで質が変わるわけだが、その変わるポイントを見抜く力が「段取り力」だ。「区切り」が段取りの鍵である。(p.146)

    段取りとは、一度決めてしまうと自分の外側にあって、自分の力を引き出す働きをしてくれるものである。(p.188)

    根気良く続けて量を蓄積しブレイクスルーする人は、根気がいい性格だったと言うよりは、むしろ見通しのよさに支えられていると言ってもいいだろう。(p.198)

  • 4-480-81629-1
    C0095¥1200E.

    段取り力 
    「うまくいく人」はここが違う
    2003年11月10日 第1刷発行
    2003年12月5日 第3刷発行

    著者:斎藤 孝(さいとう たかし)
    発行所:株式会社筑摩書房

    書架整理のために手にしました。

    帯には 「できないのはあなたの能力のせいではなかった!」
    なんてあるけど、署名が無いから誰が帯書きをしたかは不明だけど、段取りだって能力の一つじゃん。

    書架整理のため手にしました。(台に使ってたw)
    読むために残しておいたわけではないけれど、ずいぶんな本のような気がする。


    段取りができないのは、子どもの頃、家事の手伝いをしてないから。本人の責任ではないけれど、社会に出て、「こいつ採ったの誰?」って人間になりやすい気がするわ。

    これを読んで、段取りができなかった人ができるようになるとは思えない。分かりづらいだけなのか?
    できる人の例を列挙されても、それでわかる人は段取りのできる人だけだと…。

  • ・自己否定をしてしまうと、つぎのエネルギーがわかないが、自分に力がなかったのではなく段取りが悪かっただけだ。と考えると良い。
    ・区別すべきは働いているかどうかではなく、稼いでいるか。付加価値や利潤を生んでいるかどうか。
    1ヶ月に給料の3倍の利益をあげているか。
    ・今何のためにこれをやっているのを意識して口で言う。意識化する。
    ・質の違う活動をしっかりと振り分けることが出来るのが段取り。区切り、が段取りの鍵。
    ・ミスの波及を限定することができるのも段取り力の効用。
    ・メリハリをつけること。
    ・段取り力で大枠を外さない力と優先順位をつける力が得られる
    ・段取り力によってそれ以上の資質を引き出すことができると考えると、未来に対して希望が持てる。状況が力を引き出しそれが繰り返されていくと、その力が本物になっていく。
    ・根本的な人間力はなかなか変わらないが、段取り力は明らかにちょっとした意識化と練習で伸びる。人生に希望が持て、仕事が楽しくなる。
    ・何かをやるときは、いつも自分がどういう角度で、何に向かうのか意識していることが大切だ。視点や切り口を明確にすると、段取りがシンプルになって労力が削減される。
    ・自分の得意なスタイルで仕事をするのが1番エネルギーを発揮しやすい形だから、バイタリティーが生まれる。

  • 具体的な段取り手法を期待していたが、実際は成功者たちの例を挙げて、「段取り」の観点から見た成功の秘訣を解説した本。読んでてなるほどと思った部分と、それは結果論では?と首を傾げる部分もあったため、星は3で。とりあえず、売らないで本棚には置いておこうかな。

  • 言ってることに異論はないが、諸手を挙げて賛成、という感じでもなければ目から鱗、というわけでもない。分かりやすく書かれているという長所は、口説いという短所でもあると思う。段取りの解釈が深まるというよりは広まるイメージで書かれている。これを読んで新しい段取りが出来るようになったり、より効率よく段取りができるようにしてなれば、もっといいのだろうが。アイデアに対する批判はアイデアで返せ、というのは納得。評論家、批評家になりがちな自分を戒めたい。

  • 自分の「段取り力」の尻尾を掴めたような掴めなかったような…。それって自分の成功体験が少ないからなのかもしれないですね。それかこの本を読むまで、自分の「段取り力」について意識をしていなかっただけなのか…。
    また新しい視線で世界を見つめる事になりそうです。

  • 読んでる途中。
    でも、「あ、そうかも。」と実感できることがいっぱい書いてある。

  • 仕事は段取りが大切である。段取り力のある人間と無い人間との差はとてつもなく大きい。
    この本は段取りの基本的な考え方からコツ、著者の段取りの組み方から、練習法まで網羅されていてとてもためになった。
    結果につなげる段取り力をつけたいビジネスパーソンには、強くお勧めしたい。

  • 段取り力が大事だということは納得。アポロ13やスピードスケートの清水選手の話は非常に面白かった。どのように段取り力を上げていくかについてはもう少し詳しく書いて欲しかった。

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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