記憶の切繪図: 七十五年の回想

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 44
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480860699

作品紹介・あらすじ

数学者Goro Shimuraの幼年時代、プリンストン、そして「あの予想」。

感想・レビュー・書評

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  • 数学にはまるで疎いのだけど、氏の名前は知っていたので立ち読みでぱらーっと読んだらなんだかそんなに堅苦しくなかったので購入。とても面白かった。
    押し付けがましくなく無駄なく綴られていく文章がとても読みやすかった。『これについては後で書く』という言い回しが非常にたくさん出てきて、それは文章としてはちょっと読みづらくもあるのだけれど、結果としてとても理路整然としており、まるで数学の証明のようだ、と思う。
    氏の若い頃、戦時中の経験について述べた辺りを、丁度自分はお盆の時期に読んでいた。天皇の戦争責任とか原爆の使用についての氏の意見も書かれており、そこには非常にフラットというか、冷静な言葉が並んでいた。だからなんだというわけでもないけれど、それは何となく印象に残った。
    人生経験を通して得た物事(教育とか人間とか社会)に対する認識、そういうものを感じ取れる箇所が個人的には面白かったです。

  •  
    ── 志村 五郎《記憶の切繪図 ~ 七十五年の回想 20080625 筑摩書房》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/
     志村 五郎   数学 19300223 静岡 東京        /プリンストン大学名誉教授
     
    …… 志村五郎は、丸山の漢学や音楽に関する会話や著作を「一知半解」
    であることを記述をあげて指摘するほか、特に朝鮮戦争に関して丸山に
    とって都合が悪い史実(北朝鮮側から開戦)を40年以上にわたり「不可
    知論」で誤魔化し続けた事実を指摘し、そこに丸山のジャーナリスト的
    な資質の根本的な限界を見出した(Wikipedia)
     
     丸山 眞男 政治学 19140322 大阪 東京 19960815 82 /東京大学名誉教授
     司馬 遼太郎 作家 19230807 大阪   19960212 72 /籍=福田 定一/学徒出陣
    ── 《戦後史証言プロジェクト 日本人は何をめざしてきたのか
    知の巨人たち/第3回 20141227 24:15-25:45 第4回 25:45-27:15 NHKe》
    https://twitter.com/awalibrary/status/548887665903296512
     
     司馬は、中学では算数が零点で落第したが、ほんとは(母の実家のあ
    る田舎で)韓国の出土品を発掘したり、《考古学講座》を熟読したため
    か。のちに、上田 正昭と交わり、日韓文化の共通点を論じ合った。
     
    (20141228)
     

  • 数学者のその当時考えたこと、感じたことを知るのは面白いかもしれません。

    理数理 シムラ||3||2 11633104

  • 志村五郎先生は、世界に通用する数学者。
    自分の意思を強く持ち、それを貫く人ではないかと思われる。
    名だたる数学者を小人と言い切っている。
    実力があるからこそ言えることだと思う。

  • フェルマー予想の話で必ず出てくる谷山=志村予想だが、その名前の提供者が著者。数学の話を期待して読むと肩透かしを食うかも。もちろん数学者の自伝なので、数学も出てくるのだが、はじめにに書いてあるように、数式を読み飛ばしても十分意味は通じる。それよりも記憶の中にある戦前の東京が、生き生き描かれているほうがこちらの記憶に残った。「私」と言う一人称で書かれているが、「余」と言ったほうがいいかもと言うくらい先生な感じの文体も印象的。最後に「gently」はどう訳せばいいのだろう?

  • フェルマー最終定理解決に直接的貢献した谷山志村予想の志村先生が著した自伝。
    歯に衣着せぬ言い様(他の学者、日本政府および天皇批判等も含む)から、自信と真っ直ぐな人間性が感じられる。
    もちろん共感できる部分、共感できない部分ともにあるが、「日本人はマネは得意だが、一から作るのは苦手というのは間違っている。ましてや日本人自身がそう認めてしまってはいかん。西洋人もずいぶん真似をするが、彼らはそれを自分でやったかのような顔をするところがある。」というのには、なるほど!と感じた。西洋人に対する引け目というのを感じてしまう私にとっては非常に心にささる言葉だった。

    全然関係ないけど、古代エジプトのパピルスを苦労して解読したら、書かれていたのは「最近の若いモンはなっとらん」だったというジョークは私も大好きです。

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著者プロフィール

志村 五郎(しむら・ごろう) 1930年静岡生れ、東京育ち。1952年東京大学理学部数学科卒業。東京大学助教授、大阪大学教授。プリンストン高等研究所を経て、1964年プリンストン大学教授。同大学名誉教授。アーベル多様体の虚数乗法論の高次元化、アーベル多様体のモジュライ理論とモジュライに対応するCM体上のアーベル拡大を記述する保型関数を構成し、志村多様体論を展開。アメリカ数学会コール賞(数論部門)、アメリカ数学会スティール賞(生涯の業績部門)、朝日賞、藤原化学財団藤原賞他受賞。2019年逝去。

「2021年 『記憶の切繪図 七十五年の回想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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