どうして男はそうなんだろうか会議 ――いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと (単行本)
- 筑摩書房 (2022年8月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480864796
作品紹介・あらすじ
非モテの苦しみ、マウント合戦、マチズモ、男同士のケアの不在……。どうして男はそうなんだろう? 6人のゲストと語り合って見えてきた、男の今とこれから。
感想・レビュー・書評
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非モテ、マチズム、ホモソ、男らしさ、、、男を縛るキーワードの数々。
男はつらいよ、という言葉の裏に男の優位性を前提としたエクスキューズが見え隠れする。
またフェミニズムの本か!って?
でも、ここで語り合っている人たちは一人が女性なだけで、あとは全て男性。そして、男を擁護わけでなく、また強く非難するわけでもなく、慎重に、そして時に大胆に、男という存在を解体していく。
目から鱗の対談集。
タイトルから気軽に読めそうと思って借りてみたら、ガチで考えさせられる、内省と自戒の波が押し寄せる内容でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分は男性だが、男性とのコミュニケーションのときにホモソーシャル的なやり取りにうんざりすることが多いと感じていた。だが、同時に自分のなかに時折マチズモめいたものが頭をもたげる瞬間も感じるときもある。
以前読んだグレイソン・ペリーの『男らしさの終焉』を読んだときは自分ごとに感じつつも著者がイギリス人で、これは自分も同意するなと思う部分もあれば、これは日本では感じないかも、という部分があって、日本人男性向けの”(有害な)男らしさ” についての本があったらなー、なんて思っていた。
本著はまさにその日本人の男性向けに男性視点から書かれた著作(聞き手は女性である)で、自分もよく見たり聞いたり、体験する話が多かった。
ここに記されている話題自体は比較的よく目にする耳にする話ではあるのだが、それでも意識的にならないと変わらない。自分も反省する部分や、改善していきたい、アップデートしたいと感じる部分が出てきた。 -
・自分の感情や体験を言語化することに慣れていない男性が多い
・そもそも男性同士の友人間コミュニケーションでも自分に関することの話は少ない。いじる/いじられる、片方が優位に立つコミュニケーションが多い
・加害は日常と地続き。暴力というほどではないが抑圧され支配されていた日常の経験から地続きにある。自分が抑圧される側だったときは嫌だと感じているはずなのに再生産してしまう
・ケアは(資本主義からみて)生産的ではない、というのは間違い。人間という資本のケアであり究極的に生産的と言い切ってくれるのは気持ちよかった。その通りと感じた。
・非モテ=未達感。本来は女と付き合って一人前、仕事して一人前、という理想に囚われているがそれに到達していない自分の足りてない感
・マジョリティは何かの原因を自分以外に押し付けることかできる特権
★時間がなく急いで読んでしまったが良い本だった。女性の私が感じる疑問は澁谷さんが代弁してくれるのがわかりやすく、理解が進みやすかった。
自分の男友達を思い浮かべてもそのとおりだなーと思い当たることが多い。
構造としての男中心社会は間違いなくありそれは崩していくべきと思ったが、構造の課題が見えているからと言って男はこう!原因はこれ!と決めつけることなく個人を見ていくことが大切と感じた -
第1章 「男子バキバキ脳」からの脱却
第2章 「非モテ」の諸相と、「これから」のこと
第3章 男性性と暴力―コミュニケーションに潜む加害と被害の両面から考える
第4章 男性が乱用しがちな「構造的な優位」とは?
第5章 「誰でも差別し得る」という出発点
第6章 すぐそこにあるマチズモ―あの手この手で「マッチョ連合」を突き崩せ! -
やーなんか、軽い気持ちで手に取った本だったのだけれども、なかなかに衝撃的だった。特に、西井さんとの対談で、男性自身が自分のもつ性欲や身体的特徴を汚らしいと思っている人がいるというところに、激しいシンパシーを覚えた。そういう考え方をする人がいるんだなーとちょっと安心。生きづらさとまで言ってしまうと大げさだけれども、なんとなく引っかかるものがあって、どうにかしたいのだけれどもどうしたもんか見当がつかないというそんな心持ち。
男性は男性の意見しか聞かないというのも耳がいたい。男性がきちんとフェミニズムを理解して(単なるヒステリーなんて誰が言った!)いかないと、男性自身も苦しくなってしまうと思う。早くみんなで男から降りたいものです。 -
この本を読もうと思いそうな男の人が周りに見当たらない。笑
自分は女だから、そうなのか〜とよく分からない部分もあったけど、兎に角突き詰めまくっていてよかった。何よりこの本を読んで良かったのは、ケアとかサポートが資本主義の中だと軽んじられてしまう(=生産的でないとされる)ことへの反論の箇所を読めたこと。同じ考え方で、私よりクリアにそのことを書き表してくれている人の表現を見てスッキリ。激しく同意です。 -
面白い研究。
「自分は相手のことを完全には分かっていない」と意識し続けることで、弱い存在を意のままに扱わない、相手を支配できるけど支配しない。相手とのパワーの非対称性を支配.従属の関係に転嫁させないようなあり方、ケアリング・マスキュリニティの獲得。
「相手にとって1番良い事は何か、私が最もよく分かっている」と言う自覚は相手への支配に他ならない。なぜなら「相手の全てをわかっている」と言うのは、相手の人格を掌握すると言うことであり、相手の何もかもを手中に収めることだから。自分が考える「相手にとっての最善」を疑わず、相手の生活を好きにコントロールしてしまう。そういうことを強い側は弱い側にしばしばやってしまう。
自分が優位に立ってしまう事は構造上自分の意思ではどうにもできない問題かもしれないが、その構造を利用するかしないかは自分の意思で選択できる。上司から、部下への抑圧的な言動は、立場上、部下が口答えすることが難しいからこそハラスメントになる。「立場上相手は口答えしにくいだろうから、こちらも言いすぎないようにしよう。」とシフトする。
実のところ全然変わっていないせいの不動平等への意義申し立てを批判をイクメンなどの「ハイブリットな男性性」は躱してしまう。「新しい現象」にばかり目を向けることで、実は変わっていない不平等が等閑視される可能性がないかは常に意識したい。
「差別論」佐藤裕
「差別は大抵悪意のない人がする」キム・ジヘ
近代という時代はどんな人であれ、等しく人権を持っているという約束のもとに成り立っている。こうした考えがあるから、先人は差別や格差を無くそうと努力してきた。
人権を大切にしないことを容認するということは自分も大切にされない立場になる可能性も出て来るからみたいなことが書いてあったと思うんだけど、どこだったかな? -
・同じ著者の本をよく読んでいるせいか、また聞いた、みたいな事例や話が良く出てきてしまっている。
・ただ、それでも良いとも思っている。自分は物覚えが良くないと思っているので、体に覚え込ませるつもりで読もうと思っている。
・身に覚えのある話や考えが多くあり、うわ〜…と声が出てしまう事もしばしばだ。
・同時に新しい世界の成り立ちのとば口に居る様でちょっとワクワクしている感じもある。(楽観的?不謹慎?)