史上最大のボロ儲け ジョン・ポールソンはいかにしてウォール街を出し抜いたか

  • CCCメディアハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484101187

作品紹介・あらすじ

サブプライムローンの破綻を予測し、一世一代の取引に打って出た男がいる。彼はなぜバブルを見抜くことができたのか。ウォール街の歴史を塗り替えた男の舞台裏を、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のトップライターが見事に描き切った、迫真のドキュメンタリー。

感想・レビュー・書評

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  • サブプライム証券のデフォルトに端を発した金融危機では、リーマンブラザーズ、ベアースターンズ、メリルリンチ等の大手金融機関が倒産・救済に追い込まれた。いずれもかつては、サブプライム証券の組成・販売で多額の利益を享受していた金融機関である。
    その混乱の最中、莫大な利益を上げウォール街の注目を一身に集めた男がいる。ジョン・ポールソン。本書はポールソンがいかにして一介のヘッジファンドマネジャーから、そのような成果・名声を得るに至ったかを丹念に叙述する。

    本書の魅力の1つは、難解な金融用語を避け広範な読者にアピールする文章であることに加え、登場する人物のほとんどに生い立ちからのエピソードを付け、各人物毎のドラマを多層的に記述してあることだ。そのため、金融にさほど興味のない人でも小説のように楽しめる内容になっているように思われる。
    一方、金融に興味のある人にとっても、いかにして住宅バブル崩壊への賭けが奏功したかについて、具体的な記述がされており、大いに参考になるだろう。取引内容は興を削ぐためここでは触れないが、ローリスク・ハイリターンな投資戦略は読んでいていい刺激になった。
    最後に、ポールソンのファンドが投資アイデアを実現するまでに多くの時間・労力を要したことに触れておく。ポールソンのアイデアは優れたものだったが、当時の世間常識や住宅市場への楽観と真っ向から対立したものであったため、当初ファンドに思うように資金が集まらなかったのである。先が見えても、それだけではうまくいかない運用ビジネスの実態がわかり、非常に読み応えがあった。

  • あの100年に一度といわれた経済危機リーマンショックの裏側で、一世一代の取引で大儲けした男たちの物語。金融や投資の知識がなくても、のめり込んで読んでしまう。

  • "The Greatest Trade Ever" by Gregory Zuckerman

    According to news reports John Paulson lost $1 billion on the gold crash in April 2013.

    Rich List of Alpha

  • ジョン・ポールソン。彼は思い上がったウォール街の金融家たちの失敗を尻目にサブプライムローンの破綻を予測し、一世一代の取引によって、1年で150億ドルという巨万の富を手にした。本書はその記録です。

    僕がこの本を読むきっかけになったのは、ニューズウィークの日本語版で多くの誌面を割いて、この本の特集が組まれてあって、これはぜひ読みたいなと思い、先日手に入れて読んでいました。中身の難しさと、自分の金融に関する知識がまださび付いていないことを確認できただけでも、読んでよかったと思います。ただ、この本を読みこなすには、基本的な金融に関する知識がないと骨が折れるということは明記しておきます。

    しかしサブプライム・ローン破綻の経済危機のダメージから、いまだ回復していない世界経済を見るうえには、それをチャンス捉え、1年間で150億ドルを稼ぎ出したといわれるジョン・ポールソンの記録を読んでおくことは決して損にならないと確信しております。彼がすごいところは、単に取引を成功させたというだけではなく、不動産投資やCDSなどのデリバティブ商品にに全く縁のなかった無名の投資家が、金融史上最大の取引を成功させたのだ、というところにあります。くわしい話は本書を参照してほしいのですが、右肩上がりで活況を催しているときに
    「これは異常だ」
    と気づいて、その読みがもし違っていれば、破産は確実ともいえる天文学的な負債を抱えなかればならない。そのリスクとプレッシャーに向き合う姿というのは、常人には計り知れない物があるのだろうなと感じました。

    そして、この本にはポールソンだけではなく、先日ここでも紹介した「世紀の空売り」にも出てきたマイケル・バーリなども出てきて、『おっ』なんて思いながら僕は楽しく読み進めることができました。本書の後半になってサブプライムローンやCDSが破綻して、彼の懐に巨額の利益が転がり込んできたときの描写を読んでいたときはジョージ・ソロスがイングランド銀行を破綻させたとき以上の取引規模だったという話を聞いて、やっぱり彼のとったリスクはすさまじいものがあったんだと、表紙に写っているスーツ姿で穏やかな彼の姿のどこにそんなタフさがあるのだろうと、思いながら、今、この記事を書いております。もし、あのさなかにすさまじい儲けをたたき出した人がいて、その一人がどういう風にしてリスクをとり、そして決断を下したのか?それを知りたい方は、ぜひ一読をしていただけるとうれしいなと思っています。

  • 魅惑的なタイトルに惹かれます。
    文章もうまくて面白い。
    2007年にサブプライムローンの下落に賭けた戦略で成功を収め、150億ドルの利益を上げたポールソン&カンパニーを中心に、サブプライムローンに係る逆張り取引で利益を上げた逐一を追ったドキュメントです。

    ブログでの紹介:
    http://money-learn.seesaa.net/article/174811147.html

  • 2007年~2008年のリーマンショックで多くの投資銀行・ヘッジファンド・投資家が損失を被ったけれど、逆バリで莫大な利益を稼ぎ出した人達も一定数存在した。この本では、ジョン・ポールソンを中心に複数の勝者にスポットライトを当てている。マイケル・バリーもその一人。
     タイトルが「ボロ儲け」なので、彼らがいかに軽々と巨額の利益得たのか、という内容だと思って読み始めたけれど、実体は真逆だった。「住宅バブルの崩壊」にかけるという行為は、当時の投資環境にあった空気とは対する逆張り。故に、周囲からの反対や自信内部の葛藤を押し切ってポジションを構築・維持する必要があった。メンタル面がひたすら強靱でないと、「自分が間違っていた」とポジション解消だろう。市場が変化して利益が出始めたとしても、「やれやれ売り」ではなく十分に利益を伸ばす為には、投資方針を肯定し続ける必要がある。それを可能にしたのは、徹底的な市場調査のデータが示していた市場見通し、長期投資が可能な評価体系、それにしがみつくだけのそれぞれの個人的な理由。

     既に15年以上前の金融事故だけれど、米国が世界の金融市場を牛耳る構図や、投資銀行・ヘッジファンド・保険会社などの投資主体の影響力が高いことは変わっていないし、むしろより強化されているとも言える。四半期ベースの評価を重視する点も同じだろう。であれば、マクロ環境に対して1年以上の時間をかけて結果を求める投資スタイルは、今後も有効のはず。
     市場価値をもつ商品の評価額変更には、実際の価値変化から一定の時差が生じる。不動産と周辺商品はその傾向が強いようだ。足下では中国不動産大手のデフォルトをきっかけした中国不動産の低迷と、在宅ワーク進展による米国商業不動産価格下落が始まっている。特に米国商業不動産はそれを投資対象にしていた銀行が、評価替えにより巨額の貸倒引当金を計上して利益が圧迫されるケースが続いている。金融当局は2007ー2008年と同じように「市場全体に波及する見込みはない」と言ってはいるものの、実際のところどこまでが本当なんだ?
     

  • キャッチーなタイトルから、読みやすい本であると思ってしまうが、確かに初回(今回は再読)よりも格段にこのからくりについての前知識も増えてそれが読んでいて登場人物それぞれの葛藤が目に取れるようにわかり面白かった。だが読み進む速度が遅く感じられた。総ページ数400にもなるから当然だと思いたいが、これを翻訳したの労力に驚きもある。

  • 儲からないポジションを持ち続けるのはさぞかしタフな日々だったと思うけど、それが報われる日も来るんだなぁと思わせてくれた本。

  • 損した人も得した人も公平に書いている(ように少なくとも素人には見える)本。世界が違いすぎて、世の広さを知ることができたという意味で有意義な読書体験だった。

  • 一章で読むのをやめた。
    やはり本人が書いた自伝のほうがいいなあ。

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著者プロフィール

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の特別ライター。ノンフィクション作家。
著書に『史上最大のボロ儲け──ジョン・ポールソンはいかにしてウォール街を出し抜いたか』(邦訳 CCCメディアハウス)、『最も賢い億万長者──数学者シモンズはいかにしてマーケットを解読したか』(上下巻、邦訳 ダイヤモンド社)など。前記2冊はいずれもベストセラーとなった。
経済・金融ジャーナリストの最高の栄誉とされるジェラルド・ローブ賞を3度受賞。
本書の原著は、フィナンシャル・タイムズ紙、エコノミスト誌、フォーブス誌の3紙誌によって“年間ベストブック”に選出された。
妻と2人の息子とともにニュージャージー州に在住。

「2022年 『シェール革命 ──夢想家と呼ばれた企業家たちは いかにして地政学的変化を引き起こしたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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