ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか

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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484121116

作品紹介・あらすじ

先延ばし研究10年超の世界的権威が、人類永遠の課題をユーモアたっぷりに解き明かす!先延ばしするかしないかを決める「心の方程式」を初公開!方程式から導いた、克服のための13の行動プラン。

感想・レビュー・書評

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  • 「先延ばしグセ」について、科学的に丁寧に考察した本であり、読み物としても、とても面白かったです。
    とても参考になりました。ぜひぜひ読んでみて下さい。

  • 自分自身、昔から先延ばしの傾向はあったのだけれど、最近とみに先延ばしでそれなりに痛い目にあっているので、タイトルに惹かれて購入。

    先延ばしと言えばエインズリーの『誘惑される意志』で語られた双曲曲線の理論が有名だが、基本的には先延ばしの原因の説明は本書でも同じだ。直前にすぐに得られる報酬(ゲームなど)があるとそちらを選択して、期限が先にあるものにはとりかからない。先にある大きな報酬や問題は、容易に小さいがすぐ目の前にある報酬のために先送りされてしまうことが示される。

    本書では、先延ばし克服の行動プランが13個も提案される。小さなゴールに分割する、先にコミットメントする、失敗を想像する、など。すべてその理屈は理解できるし、そうすべきであることはわかっているのだが、やはりどれも実行は容易ではないなと思う。そういえば、このレビューもすぐ書けばよいのだけれど、先延ばしにして記憶が曖昧になって、内容も薄くなっている。それが、生物として組み込まれたものだと言われると、ますます克服への意欲が遠のくのだけれど。先延ばしはいいことない、先にやると実際には多くの報酬がもらえる、ということだけ覚えておくことにしよう。早起きは三文の得、をことわざとして覚えておくのと同じ程度かもしれないけれど。

    • きのPさん
      先延ばし…ついやってしまいますよね
      先延ばし…ついやってしまいますよね
      2021/04/01
    • 澤田拓也さん
      きのPさん
      本当にそうなんですよね。今も先延ばしているレビューが溜まっていってます...。
      きのPさん
      本当にそうなんですよね。今も先延ばしているレビューが溜まっていってます...。
      2021/04/02
  • ヒトがなぜ先延ばしをしてしまうのか、さらにどうすれば先延ばしをやめることが出来るのか、科学的な根拠に基づいて書かれた本である。
    個人的に面白い、使えると思ったのは以下の3点。

    ①先延ばし方程式
    モチベーション=期待×価値/(衝動性×遅れ)
    筆者はモチベーションを上記の式で定義しており、確かにギリギリになって強制的にモチベが上がるのはこの式に則っているのかと納得した。
    説明文の中でも、「我々が物事を先延ばしにするのは、現在を具体的に考え、将来を抽象的に考えるからである」という記述には特に感心した。

    ②脳内コントラスティング法
    脳のミラーニューロンという神経細胞の働きを利用した先延ばし改善方法。
    まず、実現したい状態を具体的に思い浮かべる。次に理想と現在の自分を対比させる。これによって単に楽観主義を生み出すのではなく、やる気を高めることができる。
    前者だけをイメージすると逆効果を生むらしく、気を付けようと戒められた。

    ③超短期のミニゴール
    ゴールを具体的に定めること、それに向かうために必要な行動を例えば10分行うこと。
    超短期で少しやってみるだけで、精神的に大きかったハードルはいとも簡単に取り除けることを知った。少しやってみるだけでその後思っていたよりも長く続けられることは多い。

    この本を読んでから実際、運動、英語学習、読書を毎日少しだけでも続けられているので、万人にオススメしたい良書であると思う。
    唯一悪いところをあげるとすれば、先延ばし界隈の現状、先延ばしを行うことによる弊害の部分の文章ボリュームが少し大きすぎたことぐらいか。

  •  グズクズ、モジモジ、ウーン、ウーンと物事を先延ばしにする人がたくさんいる。著者は、先延ばしをライフワークにしているなかなか面白い人だ。




     英語で「先延ばし」は、procrastinationという。著者は、語源に触れている。もともと、「前へ、優先させて」を意味するラテン語のproと、「明日の」を意味するラテン語crastinusからできている。今と違って、「慎重であること」といったように、「先延ばし」の意味はなかった。今の「先延ばし」の意味が登場したのは、16世紀。




     本書の最初の方に、自己診断テスト1と2が用意されている。まあ、後でいいか思わずに早速やってみた。著者によると平均レベルの先延ばし癖の持ち主だった。買ってからすぐにテストしたのだから、先延ばしレベルが高いわけがない。





     先延ばしを改善するには、日頃の行動を振り返って考えて見る必要がある。そこから、先延ばしをどうやって減らしていくかが重要だ。先延ばしは人生にはつきものだけにイカになくすか。しかし、先延ばしの起源は、9000年前にさかのぼると著者は述べている。それだけ昔から先延ばしは問題になっているわけだ。民主党だけではなかったのか。フムフム。




     脳には、辺縁系と前頭前野と呼ばれる部位がある。著者によると、辺縁系は、脳の「野獣」の部分に相当して、本能に関わる反応をする。一方で、前頭前野は、遂行(=エグゼクティブ)機能を担っていると説明している。辺縁系は、「ワイルド」だけに反応が、前頭前野より早く、「先延ばし」にしたいという怠け心が優先される。辺縁系と前頭前野の使い方には注意する必要がある。辺縁系に左右されると、怠け心一色になってしまう。怖いなあ。




     先延ばし克服の行動プランが紹介されている。これを是非読んだもらいたい人たちがいる。それは、無駄を削りもしないで、税金を上げたり、電気料金を上げている政府や東京電力の関係者によく読んでもらいたい。聞く耳なんて持っていないか。国民は、税金や使用料を払うだけの金づるという程度の認識だと想像がつく。




     著者のウエブサイト

     

     www.procrastinatinus.com (英語)

  • 編集中
    本書を読んで一番大きかった知識はモチベーションと先延ばしの関係とモチベーションは下記の方程式で考えられるということでした。

    ▪️方程式
    モチベーション=(期待×価値)÷(衝動性×遅れ)
    ※あくまでざっくりとした感覚を出す計算式
    期待:課題を成し遂げた場合にご褒美を得られる確実性
    価値:ご褒美の大きさ
    衝動性:ご褒美が手に入る時期の遅れに対する忍耐心
    遅れ(時間):ご褒美が手に入る時期の遅れ

    先延ばしのタイプ別での対策13個は他の著書でも見る対策であったので、効力も折り紙付きと感じました。13個の対策を下記にメモ

    ▪️どうせ失敗すると決めつけるタイプ(学習性無力感)
    ①成功の螺旋階段(スモールステップで自信をつける)
    ②鼓舞される物語・仲間(自信をわかせる仲間や物語の活用)
    ③脳内コントラスティング法(楽観的な未来の想像と現在の自分との対比)
    ④失敗を計算に入れる
    ⑤先延ばし癖を自覚する

    ▪️課題が退屈でたまらないタイプ
    ⑥ゲーム感覚・目的意識(課題の見方や難易度を変えて楽しめるようにする)
    ⑦エネルギー戦略(自分のエネルギーの貯蔵、使い所、回復所を賢く使う)
    ⑧生産的な先延ばし(別のものをやることで違うタスクを進める置き換え)
    ⑨ご褒美効果(自己評価、セルフコンパッション、ご褒美による賄賂)
    ⑩情熱を燃やせる仕事(楽しい、技術が活かせる仕事の選別、嫌ではない仕事の選別)

    ▪️目の前の誘惑に勝てないタイプ
    11.プレコミットメント戦略(誘惑が起こる前の行動への対策)
    12.注意コントロール戦略(誘惑の対象を連想させるきっかけのイメージを悪くする、きっかけを取り除く、望ましい行動の背中を押すきっかけと差し替える)
    13.ゴールを設定する(モチベーションが緩まない適度なゴールを細かく設定する)

  • 人間が後回しにするメカニズムをある数式で表すことで、どの要素で後回しにしているのか。を自覚して対処できるようになる本。自分が先延ばしにする1番の敵は衝動性にあった。この衝動性がどこから来るものなのかは自己内省が必要だが、先延ばしにするときとそうでないときで、理解することができるようになったのはよかった。

  • 著者はカナダ・カルガリー大学の教授で、先延ばしとモチベーションの研究をライフワークにしてきた心理学者。先延ばしをテーマに博士号を取り、その後も先延ばしの研究をつづけてきた斯界の第一人者である。

    本書は、そんな著者がこれまでの研究成果を一般向けにまとめたものだ。
    先延ばしの歴史、原因と類型の分析、経済に与えている負の影響の分析など、興味深い“先延ばし学”が次々と開陳される。

    そのうえで、後半では先延ばしを克服するための13のプランが紹介されている。
    つまり、本書は先延ばしをテーマにした科学ノンフィクションであると同時に、先延ばし克服に役立つ実用書でもあるのだ。

    先延ばし克服に役立つと称する類書はこれまでにも少なくなかったが、本書はそれらとは格と信憑性が違う。心理学や脳科学、行動経済学などの最新成果を駆使した、「データによって科学的に実証された」アドバイスばかりが並んでいるのだから。

    次のような一節がある。

    《先延ばし癖と無縁の職種は考えづらいが、この悪癖がことのほかひどいのは物書き業かもしれない》

    この言葉どおり、本書は物書きのため、なかんずく私のためにあるような本といえよう(笑)。

    これまでのライター生活で、まったく先延ばしをせず原稿を書きつづけてこられたとしたら、少なく見積もっても現状の10倍以上の仕事ができたにちがいない(私だけではなく、多くのフリー物書きがそんなふうに思うはず)。

    先延ばし癖克服は物書きの永遠の課題であり、ゆえに私もこれまで何冊もの類書に手を伸ばしてきた。その中で、本書は内容の充実度がダントツだと思う。

    どこかで聞いたようなアドバイス(つまり類書に書いてあったこと)もないではないが、多くは納得のいくものであり、しかも実行がたやすいものだ。

    最近、本書のような「先延ばし克服術」本の翻訳刊行が相次いでいる。その理由も、本書を読めばわかる。人々の先延ばし傾向は、近年とみに強まっているのだ。

    「誘惑が近くにあると、先延ばしが非常に助長されやすい」ものだが、現代はネットやオンラインゲーム、SNSなど、仕事の先延ばしを助長する誘惑に満ちた時代だ。ゆえに、デスクワークに就いている人にとっては、ネット時代以前よりもはるかに先延ばし癖が重症化しやすいのである。

    その他、肝に銘じようと思った一節を引用する。

    《仕事を先延ばしにする人が最もよく口にする言い訳は、「追い込まれたほうがいいアイデアが浮かぶんですよ」というものだ。そう感じる理由は、非常にはっきりしている。締め切り直前にならないと仕事に手をつけないとすれば、もっぱら締め切り直前にアイデアが生まれるのも当たり前のことだ。
     しかし、土壇場で生まれるアイデアは、早い段階から取りかかる場合より質も量も劣る》

    《先延ばし人間は、そうでない人たちより貧しく、不健康なだけでなく、不幸せに感じている。その一因は、先延ばし行為に付随するストレスと後ろめたさにある》

  • 先延ばしすることの害悪とその克服方法をここまでロジカルにしてくれた書籍はなかったと思う。

  • 読みやすい。先延ばしに関する歴史なエピソードは知らなかった。
    長いかと思ったが、後半はかなり脚注パートが占める。

  • まずまず参考になる。
    具体的な対策が13例示されている。

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