本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784484982151
感想・レビュー・書評
-
秦豊吉、ペンネームは丸木砂土。本書は彼の初の評伝だとある。
必要があって昭和戦前期の雑誌を調べていたとき、時々目にした名前。
いかにも怪しげなこのペンネームで記憶に残っていたのだが、詳しく知ることもなかった。この本も出た頃に買ったっきり、今まで積読状態だったのだ。
当時の出版バブルの中で濫出した有象無象の書き手の一人だと思っていたのは、認識が甘かった。
おそろしく博識で、器の大きな人物だということがわかった。
日本のミュージカル史の中では、創生期の立役者、間違いなく最重要人物であろうに、この本が出るまできちんとまとめられたことがないという事実にびっくり。
三菱商事の商社マンでありながら、翻訳家、文筆業者として活躍した前半生、小林一三の知遇を受け東宝劇場支配人への転身からがむしゃらに宝塚とは違うレビュー、ミュージカルを立ち上げようとした後半生。
戦争があったから、というだけではない、人生の触れ幅の大きさにただ驚くばかりだった。
筆者もこの人物の韜晦癖はしばしば指摘していたが、それ以上に恐ろしく多面的で、その全貌はなかなかつかみきれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示