- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784487794126
作品紹介・あらすじ
残酷な儀式の殺人者か、それとも哲学者・予言者・裁判官など賢者なのか?「白衣に黄金の鍵を持つ祭司」として知られるドルイド像の原型、ケルト世界における彼らの役割と儀礼、ケルト人の自然観や哲学などを解き明かし、ルネサンス期以降のドルイド復興から、今日のドルイド教団の活動まで、体系的に紹介した画期的研究書の完訳。
感想・レビュー・書評
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「ドルイド」。この正体不明の人物像を、いかに明確に定義できるか。この書の目的はこれであったのだろうか。読み進めていくうちに、どうにも気に掛かる文末表現がある。「…かもしれない」「…のだろうか?」これらは学術的に価値のある文章なら許される表現ではない。にも関わらずそれを多用せねばならないのは、偏にドルイドに関する資料の少なさにある。
なにしろ彼らにかんする記述は前1世紀から後1世紀の間にローマ人たちが残したものしかない。それと、遺跡から発掘される遺物たちである。彼らは文字を持たなかったというから、これらを想像で繋いで彼らの有り様を浮かび上がらせることしかできないのだ。
結局、「ガリア戦記」や「歴史」など、数少ない資料を何度も引用し、推論を展開するしかなかったのだろう。
興味深いのは白人世界におけるドルイドの復権の下りである。
ルネサンス以降、自然を愛する超人的存在としてドルイドを捉える動きが活発化し、現在では各国に「ドルイド教」なるものがいくつも活動しているという。
本来のドルイドが持っていた非人道的な部分―人身御供や生け贄など―には目をつむり、自然崇拝と環境保護(!こんなことドルイドが考えただろうか?)に重点を置く、ある種のカルト集団である。
彼らはまるで映画の中から抜け出たようなドルイド的衣装に身を包み、怪しげな呪術や儀式を執り行うという。
日本人が陰陽師やアイヌ民族などに抱く、郷愁にも似た憧憬の現れだろうか。 -
1105963720 /162.3 /G82 / 府図 B開 一般