イヴの乳: 動物行動学から見た子育ての進化と変遷

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  • 東京書籍
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487800544

感想・レビュー・書評

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  • 様々な動物の繁殖行動についての解説から、人間社会で見られる様々な形式の家族や事件についての解説まで。
    生態学的に無意味だけどなぜか頻繁に見られる現象や行動、が人間に多いのはなんだか面白いなと思う。もしかしたら実は他の動物にもそういう現象や行動はあるのでは、と思ったけど、どうなんだろうな。

  •  子育てをするのは人間だけではない。昆虫、鳥類、ほ乳類の子育て・家族形成について興味深いトピックを紹介していく、楽しい読み物。ライオンやチンパンジーはなぜ子どもを殺すのか、子育てに協力的な雄と非協力な雄の違いはどこにあるか? いろんな事例をとりあげつつ、最終章で著者は、人間の家族・子育て戦略について、今までの事例を振り返りながらアドバイス。それ単独で読むとなんだかおやじっちいアドバイスではあるのだが、さんざん動物の事例を見ているので、なかなかにやりとさせられる。(そのまんま話すと、フェミ系な人からは受けが悪いかも、要注意)

     一例として「おしどり夫婦」は、妻の浮気をおそれるあまり、ストーカーと化した雄の哀れな姿だった、というのがおもしろかった。なんせ一夫一妻制の鳥類でも、じつは夫以外の精子による卵が半分がたあるのだとか。そりゃ疑心暗鬼にもなるというもんだ。
     雄は、生まれてくる子が自分の遺伝子を引いているかどうか、わからない。それを確実にするには、雌がたった1度でも浮気でもしないようにストーキングするしかない。雄は雌の不貞をなによりもおそれる。
     一方雌は、自分が産む子に自分の遺伝子が入っているのはわかっている。だから、雌が本当におそれるのは、雄の浮気ではなく、雄が経済的・時間的資源を浮気相手のほうへ振り向け、本来自分が得るはずの利益が得られないことのほうだ。
     なんだか、人間にも当てはまるような気がしてくるでしょ?

     語り口も平易で、誤解を恐れず単純化しようという度胸が買える。利己的遺伝子説について少し解説が多いほうがよりわかりやすくなるのでは、とも思うが、そんなん気にしなくても面白くよめるだろう。
     教訓としてもエロ話(?)としても「使える」例が多いという点で、いい点をつけたくなってしまう本。

  • 動物学的視点から、いろんな動物の後に人間を見てるから、
    「人間の女は」みたいな突き放した感じに、かえって冷静さを感じる。
    継子虐待や性暴力まで、動物学的にバサリと切ってあって面白い。

    人間も、動物だからね…。

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著者プロフィール

小原嘉明

1942年福島県生まれ.東京農工大学農学部卒業.同大学教授等を経て,東京農工大学名誉教授.現在,尚絅学院大学客員研究員.この間,1997~2005年の9年間,ケンブリッジ大学にてMajerus M. E. N.教授と共同研究.理学博士.専攻・動物行動学

「2021年 『本能―遺伝子に刻まれた驚異の知恵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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