- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488010089
作品紹介・あらすじ
国民的女優ローレルが少女時代に目撃した、母をめぐる恐ろしい出来事。あの50年前の出来事はいったい何だったのか? 母の過去にはいったい何が隠されているのか?
感想・レビュー・書評
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「リヴァトン館」「忘れられた花園」の作者ケイト・モートンの4作目。(邦訳3作目)
期待にたがわず、面白かったです!
2011年、イギリスで国民的女優となっているローレル・ニコルソン。
母ドロシーが入院したため、急ぎ故郷に帰って来ます。3人の妹達も相次いで集まって来ました。末の弟のジェリーは天才的な学者で、なかなか連絡が取れないが。
意識もうろうとしている母が漏らした言葉、見つかった若い頃の写真から、母が母になる前のことを何も知らなかったと気づく。
ローレルは、少女時代に起きた事件のことが気になって仕方なくなる‥
ローレルが16歳のとき、家を訪れた見知らぬ男性を母が刺した事件を、離れたところから目撃したのだ。
正当防衛が認められ、事件扱いにもならなかったのだが。
ローレルには、不審に思った点もあったのだ。
絵のように美しい農園の家<グリーンエイカーズ>を一目で気に入った両親。
綺麗で陽気で、子供達を楽しませながら育てた母。
そんな母に、どんな秘密があったのか‥
1937年、まだ少女のドロシーが家族と行った海辺で、ハンサムなジミーと密かにデートする。
ドロシーは人目を引く美しさで、演技的センスがあるが、堅苦しい両親に躾けられて、ほとんど個性を生かすことが出来ない。
恋人との結婚を無邪気に夢見、ごっこ遊びに気を紛らわしていたが‥
1941年、ロンドンに出てメイドとして働くドロシーは、女主人に気に入られていた。
戦時中のこと、国防婦人会の奉仕の仕事で、隣家の若い夫人ヴィヴィアンと知り合う。ヴィヴィアンは裕福な作家の妻だった。
ロンドンは空襲も多く、世間はざわついていた。
駆け出しカメラマンのジミーと付き合っているのだが、双方とも変わりつつある‥
少しずつ過去を掘り下げていくローレルとジェリー。
過去の出来事が交錯し、じわじわと薄紙を剥ぐように、何か大変なことが起きたのが見えてきます。
幸せなシーンがとても切ない。
危なっかしい若いドロシーが妙に魅力的で、いきいきしています。
いつ道を踏み外すかという感じなので、ハラハラしますけど。
上巻では欠けたピースがあるので、真相にはたどり着けませんが、ばらばらなシーンの魅力で持たせます。
いくつかの矛盾点がどうなるのか‥
下巻最後の4分の1で怒涛の解決☆
ネタバレは出来ませんが~後味はよかったですよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「忘れられた花園」を読んだ時の衝撃は何度も思い出す。新作も、目の前にありありと浮かぶ風景描写と、丹念に作り込まれているストーリーに引き込まれ先が知りたくてなかなか休憩できず!
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下巻にまとめて
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各誌で早くから絶賛されていたので愉しみにしていたが、期待にたがわぬ出来。おそらく読者は、この前にどんな小説世界に触れていたとしても、読み始めればたちどころに引き込まれてしまうだろう。物語の中心には、くよくよせず前向きで、情熱とエネルギーに満ちた母がいる。人を不快にするというよりは愉快にさせる彼女は、周りの登場人物だけでなく読者をも引きつけてやまない魅力がある。他にも、老いた父が廊下で途方に暮れる様子や、流す涙の乾きの早さについての感慨など、細部もたまらくいい。解き明かされる秘密は、運命の苛酷さをも示す。
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時代の交錯が、前作よりわかりやすい。
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前作『忘れられた花園』の紹介文に「かつて『秘密の花園』を読み、『嵐が丘』を読み『レベッカ』を読んで、胸を躍らせたあなたに……。」とあった。『レベッカ』が好きなので興味を持っていたところ、ちょうど新作が出たのでこちらを先に。50年前に母親の凶事を偶然目撃してしまい、以来ずっと口を閉ざしていたローレルが、母親の死期を予感して事件の真相を探っていく物語。上巻ではまだパズルの半分もピースが揃っていない。
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今のところではあるが、
秘密を抱えている母ドリーことドロシーも、秘密を明かそうとしている娘ローレルも苦手なタイプだ。
ドリーに至っては嫌悪感すら感じる。ただ、不思議なことに母親としてのドリーはどちらかと言うと好きである。
ドリーの秘密はぼんやりと影が現れてきた感じだが、この物語の着地点がまったくわからない。
登場人物に魅力を感じられないが、ストーリーは魅力的でどのようなラストに辿り着くのかとても気になる。
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上巻の終わりは、あれ、筋解っちゃった?みたいな残念感少しと、でホントはどうなの。というところ。
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物語の幕開けの舞台は、イギリスのサフォーク。人里離れた田舎にある一軒家に、仲の良い家族が暮らしている。
近くの小川でピクニックを楽しんでいる最中、ケーキナイフを取りに帰った母親が、家を訪ねてきた見知らぬ男をそのナイフで刺し殺すのを、長女のローレルは目撃してしまう。
事件は通り魔に襲われた彼女の正当防衛として片づけられるが、その後ローレルは母親の残された時間が少ないと知った今、事件の真相を知りたいと思った。母親はなぜその男を殺したのか。その男は母のことをドロシーと読んでいた。通り魔でなかったことを知っているのは自分だけ。
時代はローレルの娘時代、そしてベテランの女優となった現在、ローレルの母ドロシーの娘時代と目まぐるしく変わるが、混乱することもなくとても読みやすい。訳がいいんだと思う。
中盤まではなかなか進みが遅かったが、物語の土台が出来上がった後半、一気に加速していく。
上巻はちょうどいいところで終わってしまったので、下巻を読み始めるのが待ち遠しい。
久しぶりに読む海外の小説独特の雰囲気が心地よいと感じた。