秘密 下

  • 東京創元社
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感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010096

作品紹介・あらすじ

ある殺人事件の謎は、第二次大戦下と現在のロンドン、そしてのどかな田舎町に隠されていた。『忘れられた花園』に並ぶ傑作。オーストラリアABIA賞年間最優秀賞受賞!

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです!
    懸命に生きた人の思い、悲劇を悼み包み込むように、優しさが繰り返し揺れるような、切ない後味。

    過去と現在、複数の人の視点で展開する物語。
    お手の物の技ですが、上巻では焦らされて~時にイライラしかけることも‥
    ここへ来て、怒涛の展開に。

    老いた母の若い頃に何があったのか?
    国民的女優となっている長女のローレルと学者になっている末っ子の弟ジェリーが協力し合い、過去を探っていきます。
    登場人物は個性的でにぎやか。さまざまな思惑が飛び交います。
    戦争中に記録が失われていたり、手がかりが尽きたかと思うと、思いがけないところから資料や証言が飛び出すのが面白い。

    ネタバレになってしまうと、これから読む方の面白さが減るので具体的には書けませんが‥
    (書いちゃ駄目ですよ、皆さん! 読む人もレビューは直前には読まないほうがいいと思うけど)
    終盤は癒される展開になっていて、後味がよかったです。

    歴史が好きで、年月がたつ話が好きな私には、ツボでした。
    こういうタイプの小説、なんと分類したらいいんでしょうねえ。
    ミステリ読みにも人気は出ると思いますが。
    ロマンチックなところもあるけど、甘さは濃すぎない。
    ドラマチックな話の好きな女性向け‥
    とだけとも、言い切れないし。
    面白い小説を探している人に☆

  • 情景描写が豊かで、好きな人にはたまらないだろうなぁ。
    過去と現在を行き来することで、たんに謎に迫るだけでなくそれぞれの時代背景も楽しめるのもいい。

    ただ、序盤で”秘密”が何なのか予想がついてしまったため、最後に明かされるまでが長くて長くて。
    下巻の目次を見てしまったのがまずかった(ご丁寧に上巻にも載せてある…)。あれで確信したので。

    ドリーの自己中心的な思考と妄想のおかげで嫌な気持ちになることも多かったけど、最後は想像以上に幸せに終わったのでよかった。

    同作者の『忘れられた花園』も評判がいいようなので読んでみたい。

  • こういうの大好きだ~。「真相」はなんなの?どんな「秘密」が明かされるの?とドキドキして読んでいきたい人は、まったくレビューを読まずに手に取るのがおすすめ。面白いよ~。

    前作「忘れられた花園」と同じく、子どもの頃、外国の物語を息を詰めて読んだあのコーフンを思い出した。こういうのってなかなかないように思う。

    途中で、おや?これはもしかしてアレかな?と見当がついたのだけれど、どこがどうつながるのかなかなかわからず、終盤にきて、なるほどねえと、作者の語りのうまさに納得。このワザはミステリで時々使われるけれど、ここでは無理矢理な感じがなくて、共感を誘う所が秀逸。

    そしてそして、最後の一押しがすごく効いている。お話全体の色合いがサーッと明るんでいくようだ。セピア色の写真に写った人たちみんながしみじみと胸に迫る。良かったです。

  • 1961年の夏。少女だったローレルは母親が訪ねてきた男を殺してしまうところを目撃する。それは両親とローレル3人の秘密。
    やがて時は流れ、女優になったローレルは母親の死に際してその秘密を探り始める。

    母親は生まれた時から母親で、彼女に青春時代があったなどと思いもよらない人は大勢いるであろう。
    だけれども、人間は誰しも生まれて来た時からずっと人生を歩んでいる。皆がその中に秘密を抱えて。
    さて、ローレルの母親の秘密は?
    真相は予想通り。だけどそんなことは瑣末なことで、そこに至るまでの道のりが実に読ませる。
    『リヴァトン館』も『忘れられた花園』もそうだったけど、本当に豊かなキャラクタを描く作家だ。
    最後の一章に溢れる悲しみと嬉しさが混じり合った空気が堪らなく素晴らしい。訳者のあとがきから伺えるラストシーンに対する作家の姿勢が見事に反映されている。

  • 50年前に母に起こった恐ろしい事件の真相を娘が調べていくのだが、最後は二転三転、思いもよらぬ結末に。娘の母に対する愛情が伝わり、清々しい読後感でした。久しぶりに良い外国作品に出会えました。

  • ドロシーへ
    真の友情は闇を照らす一筋の光


    上巻は休み休み読んだけど、下巻は違う意味で何度か中断しながら読みました。
    怒涛のように押し寄せる情報に翻弄され、揺さぶられ、驚かされ、一旦本を閉じて、うーむと考え込むこともしばしば。

    明らかになる事実と、垣間見える真実。
    一番壮絶だったのは、冒頭のシーンが最後にもう一度リプレイされるとき。
    語り手が変わることで、そこに存在するものすべての意味さえ180度変わってしまう。ただただ唖然とするだけだった。

    ミステリという枠を超えて、家族の物語としてもよくできていると思う。
    謎はムキになって解こうとせず、そこはローレルに任せて、読者のわたしたちは、そんな彼女の姿を温かく見守っているほうがいい。
    文句なしの読後感はしばらく心地よく後をひく。

    家族の意味、人との関わり、愛する人への労りの気持ち。
    自分の中の内なる世界、常に隣り合わせる孤独、理不尽な暴力と穢されていく未来。
    それでも人は、運命に負けない強い想いを抱く瞬間があるのだ。
    そして生まれる秘密と、誰かのためにその秘密を守ってゆく人たちのために、わたしは祈りを捧げたいと思う。


  • 久々に面白い本を読んだ。
    最後の最後でくる「あーーっそうだったのか!」という謎解き、過去と現在を行ったり来たり、次々と変わる話し手。野心的でしかし現状ではあまり満たされていない基本的には「善良な」人たち。
    物語を読んだなあと久々に思いました。満足。

  • ラスト、すっかりやられてしまいました!面白かったです!
    死の間際の母の過去を探るという重いテーマですが、主人公や弟のキャラクターの設定も相まって軽やかに読むことができました。

  • 静かに終わるかと思えば、半端ない衝撃(すごくいい意味での)。感動してもたわ。

  • 下巻も胸が苦しくなったけど、面白かった!
    登場人物の性格の違和感もそういうことか!って。
    戦後にみんなどういう気持ちで生きてきたのかと考えると切なくなった。

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著者プロフィール

1976年、南オーストラリア州ベリに三人姉妹の長女として生まれる。クイーンズランド大学で舞台芸術と英文学を修めた。現在は夫と三人の息子とともにロンドン在住。2006年に『リヴァトン館』で作家デビュー
『湖畔荘 下 創元推理文庫』より

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