- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488011116
作品紹介・あらすじ
ピラネージは海に囲まれた神殿を思わせる、巨大な建造物の中で孤独に暮らしていた。他にこの世界にいるのは、たまに話をする学者だけ。だが、ある日見知らぬ老人に出会ったことから、彼は自分が何者で、なぜこの奇妙な世界にいるのかを疑問に思い、失われた記憶を探り始める。数々の賞を総なめにした『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』の著者が、異世界とは何か、人はなぜ異世界に惹かれるのかという根源的な謎に挑む傑作。
感想・レビュー・書評
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彫像が立ち並ぶ広間がいくつも連なる館に、生きている人間は「僕」と「もうひとり」だけ。
何の疑問もなく毎日を過ごしていたところ、ある老人との出会いから、その世界について、自分自身について探り始める。
彼の行動範囲は館の中だけなので、日記の記述や「もうひとり」との会話で物語が進んでいく。
最初は何のことだか分からないまま、手探りで読み進めていくのが面白い。物理的な動きは少ないけれど、不思議な空間や「僕」の思考に引き込まれた。
たくさんの彫像や、そこを棲み処にしている鳥たち、広間を襲う潮。どれもが幻想的で、別世界が目の前に広がる。
訳者あとがきにもあるように、子どもの頃ナルニア国ものがたりが好きだった私も例外ではなく、この別世界に惹かれた。
大人になっても、違う世界への扉がどこかにあると思いたいのだ。ないと思ってはいるけれど。 -
これはいったいどういう場所なのだろう。まず思ったのはそんな疑問だ。数字や方角を付けて呼ばれる広間や玄関。さまざまな像のある城のような迷宮のような不思議な建物。しかもここには潮が満ちてくるのだ。
ここに住む〈僕〉こと〈ピラネージ〉とはいったい何者なのか。〈もうひとり〉とは、〈十六人目〉とは? 〈僕〉の日記という形で綴られる物語は進むにつれ、謎が謎を呼び、しだいにどこかミステリー小説のような様相を帯びてくる。
フォントの使い分けられたページも凝っていて実によい。奇想にあふれた素晴らしい本。今年一番の収穫かもしれない。一読の価値あり。
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あらすじが辻褄合わない、作者の容量オーバー、もろもろの事情でそんなつもりはなかったのに、SFやらファンタジーというジャンルにせざるを得ない物語がここ20年ばかり溢れかえっているが、この作品は久々に純粋のファンタジー作品と言えるのではないでしょうか。そういう意味では手に取れた喜びなどはあるのでしょうが、だから面白かったのかと言われますと、どうでしょう。自分の頭の容量が足りませんでした。
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特殊な設定のファンタジー。設定に馴染むと面白いと感じられる。状況が分かってから結末までが少々冗長に感じるが、主人公の暮らす美しい広大な館に惹きつけられ、子供の頃の世界の捉え方を思い出すようなノスタルジアに満ちた作品。学者の世界の光と闇を少々大袈裟に詩的に描いた作品でもある。
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最後に現代世界に戻ってくるのが予想外だった。
キッタリーは主人公に会う日以外は現実世界にいたからいつもパリッとしたスーツやら着ていたということか。 -
波音が聞こえてくるような、
不思議な本
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