- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017156
感想・レビュー・書評
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将来を嘱望され、単身渡ったニューヨーク。医学を学ぶはずが、予期せぬ事件に巻き込まれ、失意の底に沈んでしまった原之井修。そんな彼を救ったのは、10年後に会おうと約束した高校時代の友人ヤオの言葉。原之井は、重たい心を抱え、久々に日本の地を踏むのだが…。
約束の場所にヤオは現れず、代わりに現れた彼女の夫と名乗る男性が妻は3年前に失踪したと告げる。ヤオの行方を捜すため、原之井は、高校時代のクラスメイト巡矢(めぐりや)に連絡を取る。
両親を亡くし、かつての男爵家、財閥だった五条辻家の跡取り息子となった小学生のユーリこと裕理(ひろまさ)。大きなお屋敷に、現当主である祖父と、祖父の弟家族、妹家族と同居している。一見和やかに見えながらも、遺産相続をめぐってそれぞれが思いをめぐらす日々。そんな中、祖父が裕理の母の亡霊を見たと大騒ぎ、やがてその騒動は監視カメラを設置するまでに発展して…。
別々に進行される2つの物語が1つになるとき、思いもよらぬ真相が…
読後感ですがひゃあ~~~~~~~!と思うくらい、すっきりおもしろかったです。全く別のテイストの2つの物語が交互に進行していくスタイル。それぞれが、おもしろいのでついついページが進みます。そして…なるほどこういうことかと進んで行くのですが…
後半わかってくる意外な真実。伏線の回収が説明っぽくなくてすごくいいし、ラストもピリッとして、しっくりきます。文句なしの★5つ。楽しめました
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十年後、もしきみが自力で人生を建てなおしていたら、これを渡そう。
高校のとき、<委員長>というあだ名で呼ばれ、優等生として過ごしていた日々。恋をしていた。相手は典型的な不良少女だった。その彼女に約束した。彼女が自力で人生を建てなおし、まっとうな暮らしを送っていたら……
それから十年。ニューヨークへの留学中にある事件に巻き込まれて、辛く苦しい日々を過ごしていた主人公は、そのころに交わした約束を思い出し、帰国する。約束の相手と会うために。
読みやすく、続きが気になってどんどん読んでしまう展開が、途中まですごく面白かった……んですが、後半に進むにつれてだんだん、セリフが台本みたいになっていって、展開自体はおもしろいのに、それぞれの登場人物が重い過去を背負っている、その厚みというかリアリティがあまり感じられなかったです。残念。
筋書きがすごくいいだけに、心情描写をもう一歩踏み込んであれば、もっとずっと感動できただろうなあと思えて、すごくもったいない感じがします。自分の感情移入能力の低さに問題があるのかもしれないですが……(汗)
しかしストーリーは面白かったので、懲りずにそのうち別の作品に手を出してみたいです。 -
多感な時期に読んだので、読後べちょべちょに泣いて暫く何も手に付かなかったことを覚えています。しかし心は満たされて、人の温かさが沁みて、もう一度最初から読みたくなりました。一度目では気付かなかった表現に「やられた!」となりながらも、二回目もべちょべちょに泣きました。
二人の全く違う人生を歩んだ主人公たちが、一つの線に重なる瞬間は特にゾクゾクしました! -
ザ、小路幸也。
小説には、あんまりリアリティって必要要素じゃあないのだな、自分にとって。
リアルのなかに物語を作りあげる人もいて、それはそれで良いですが。
小路幸也は虚構の世界と、その中で完結した物語を紡ぐ。だからこそ現実離れした徹底的につよくてやさしい、暖かいひとを描けるのだろう。
現実にはいないのだ、こんな人たち。
でもだからこそ、良いなぁ。 -
★3.5
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ちょっとファンタジー要素のあるミステリだな、と思って読んでたら最終的にすごくラブストーリーになってびっくり。えっ…巡矢…ええっ…。素晴らしいと思います。
てっきりそのままさようならだと思っていたので、最後の一言がどういうことなのか気になってしょうがない。
と思っていたら続編があるらしい…読みたい…。 -
2014.3.31読了
小路さんらしいいい話だった。ラストのネタバレはもっと丁寧に書いて欲しかったけど、まとめ方はすっきりするし、あったかくなる。
ヤオと委員長と巡矢のつながりはステキ。まさかの大元が委員長だとは、予想外で良かった。 -
素直に面白く読めました。本来はゴーストの関わる手合いの物は読まないのだが、最後のどんでん返しでやられた感じです。それだけ小路さんの物語作りが見事で、少しも本格探偵小説の質を貶めていない傑作です。
情味溢れるストーリー展開が魅力満載で、後味の良い作品です。 -
オーソドックスなミステリーかと思っていたら、オチにビックリ。先に読んでしまった2作目を読み直すかも。記述スタイルは2作目と同様、各登場人物の主観視点。悪くない。
が、ストーリーのディテールが甘く、著者の世界観が押し付け気味に感じた。