開化鐵道探偵 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.24
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017941

作品紹介・あらすじ

明治12年。鉄道局技手見習の小野寺乙松は、局長・井上勝の命を受け、元・八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。「京都・大津間で鉄道建設の最中だが、逢坂山トンネルの工事現場で不可解な事故が多発している。それを調査する探偵として雇いたい」という依頼のためだった。井上の熱意にほだされ、草壁は引き受けることに。逢坂山へ向かった小野寺たちだが、現場の最寄り駅で乗客が不審死を遂げた報告を受ける。死者は工事関係者だった! 現場では、鉄道工事関係者と、鉄道開発により失業した船運送業者・馬子らの対立が深まる中、更に事件が……。〈八丁堀のおゆう〉シリーズの新鋭が描く、本格鉄道ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の鉄道が開通して7年、日本人だけの力で鉄道を作るべく、京都-大津間の鉄道開通を目指す鉄道局長、井上勝。
    逢坂山トンネルを堀削中の現場で次々と起こる事故に、旧八丁堀同心の草壁は捜査に駆り出されるが、その矢先、出入の商人がトンネル現場からの帰路、列車から転落死する。

    技手見習いの小野寺の視点で物語がすすむ。
    草壁は淡々と事件を追い、時々ふらりといなくなる。どんどん事件は起こるのに、あまり緊迫感がない。
    黒幕もだけど、それに踊らされた犯人にも違和感。
    ただ、日本人だけで鉄道を作ろうとしたという、鉄道建設の話は面白い。
    銀山で働く坑夫達の過酷さとか、職人の手際とか。
    今と違ってほぼ手作業だし!

  • 12/21/2018 読了。

    図書館から。

    初著者作品。
    もうカートライトさんが印象強くて…、
    美味しいとこ持ってくんだもの。

  • 日本人による鉄道工事が行われ始めた文明開化の時代、京都~大津間の逢坂山でのトンネル工事で妨害事件と殺人事件が起こる。

    元八丁堀同心の草壁がさながらホームズ役で、鉄道局技手見習の小野寺が相棒のワトソン役といったところか。ホームズの草壁がなかなか手の内を明かさないのがヤキモキするが、事件の謎解き部分は筋道立っていて分かり易かったし、さすが現役鉄道マンの著者だけに、鉄道知識や歴史背景もふんだんに盛り込まれていて、興味深く読めた。このコンビでシリーズ化をお願いしたいところ。

  • 明治時代の鉄道ミステリー。一見難しそうな印象を受けますが、著者が現役鉄道マンというだけあって説明が分かり易いですし、当時の社会情勢を事件の背景に据えた深みのある物語で没入感があります。
    ミステリーとしてみると意外性や真新しさはありませんが、犯人を導き出す過程が論理的で良く出来た作品だと思います。

  • ミステリーとしては無難な感じですが、登場人物に嫌味が無く、文章も読みやすかったです。時代設定がとても好みなので続編が出たら嬉しい

  • 鉄道ファンではないけど、十分楽しめた。先人の頑張りに感銘を受けた。

  • 藤田伝三郎つながりから。
    どこまでが史実か確認したい程鉄道に興味はないが、明治維新から11年、初のトンネル掘りに関わった人達の苦労や葛藤や熱意は伝わってきた。ま、ミステリーとしては可もなく不可もなくかな。
    直接関係ないけど、生野銀山って、めっちゃ観光化を進めてます。ギンギラアイドルとかいるし(笑)

  • なんだか、こういう素朴なミステリーって良いですね。

  • 久しぶりに面白い活字のミステリーを読んだ。
    明治の、鉄道をしき、国を豊かにする、という使命と浪漫と夢があった時代に、トンネル掘りの人足たちが事故にあい……という時代鉄道本格ミステリーです。
    (^∀^)
    長いこと鉄道会社ではたらいていたそうで、めちゃ詳しいのと、とにかく文章がうまい。
    すんなり読めてしまう。
    そうして、そうか、そういう夢を描いていた時代と人々があったんだなぁ、ということを初めて意識しました。
    知識としては知ってたけど、そういう人々の努力の上に今の私達の暮らしも成り立ってるんだということを忘れちゃいかんと思いましたよ。

    2022/04/13 更新

  • 明治十二年晩夏。鉄道局技手見習の小野寺乙松は、局長・井上勝の命を受け、元八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。「京都-大津間で鉄道を建設中だが、その逢坂山トンネルの工事現場で不審な事件が続発している。それを調査する探偵として雇いたい」という井上の依頼を伝え、面談の約束を取りつけるためだった。井上の熱意にほだされ、草壁は引き受けることに。逢坂山へ向かった小野寺たちだったが、現場に到着早々、仮開業間もない最寄り駅から京都に向かった乗客が、転落死を遂げたという報告を受ける。死者は工事関係者だった! 現場では、鉄道工事関係者と、鉄道開発により失業した運送業者ら鉄道反対派との対立が深まるばかり。そんな中、更に事件が……。
    (2017年)
    — 目次 —
    第一章 最後の八丁堀
    第二章 逢坂山
    第三章 十四尺の洞門
    第四章 鉄道嫌い
    第五章 火薬樽
    第六章 一触即発
    第七章 特別臨時急行
    第八章 大物登場
    第九章 発破用意
    第十章 トンネルを守れ
    第十一章 一枚の切符
    第十二章 ただ鐵の道を行く
    あとがき

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著者プロフィール

一九六〇年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒業。第十三回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉となった、『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』で二〇一五年デビュー。同作はシリーズ化され、人気を博す。一八年、『阪堺電車177号の追憶』で第六回大阪ほんま本大賞受賞。他に『開化鐵道探偵』『軍艦探偵』『江戸の闇風』『途中下車はできません』『鷹の城』など著書多数。

「2023年 『江戸美人捕物帳 入舟長屋のおみわ 隣人の陰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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