- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488018153
感想・レビュー・書評
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6つの短編から成るオムニバス小説である。テーマはゲーム。それも、囲碁・将棋・麻雀などのクラッシックゲーム。しかし、そこに描かれているのは、人間の内省的な世界である。それもすさんだような荒野。何かが狂っている。その辺がどうもテイストに合わない。読んでいてグロテスクさが鼻につきすぎて苦しかった。もう少し読みやすい描き方ができなかったのか?少し残念。そのことで星マイナス1個で、星三つ。
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知略戦略人生そのもの
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囲碁や将棋、麻雀など、盤上で行われる勝負をテーマにした短編6編を収めたオムニバス。小さな四角い盤面のゲームを通して、人間の精神が極限まで研ぎ澄まされ、いつしか現実世界から遊離していく。
四肢を失った若き女性棋士が、囲碁盤を感覚器の延長として認識しながら勝ち進んでいく表題作など、グロテスク寸前の作風はあまり好みではないが、これまで読んだことのない異色作ばかりだった。 -
「人間の王」が好き
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不思議と引き込まれる文章。囲碁や将棋といったボードゲーム(といっていいのかな?)の短編集。特に囲碁は、人物設定からしてぐいぐい来た感じ。いいと思います!
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内容としては結構地味ではあるものの、結構読み応えがあるように思いました。史実的な書き方をしている章とかもあってどこまで真実でどこまでがフィクションなのか混乱さえさせられるのは文章にのめり込まされている証拠かと。
個人的にはチェッカーと古代チェスを題材にした話が気に入りました。普段何気なくやっているゲームにこういう背景が・・とか考え出すと面白い。。。 -
碁や将棋を題材にした短編集。
物語の時代は様々だがゲームを超えたゲームという
主題があった。
抽象的でとっつきにくい印象だが、物語の幅の広さはすごい。
ラーフラの話は気に入った。 -
第147回直木賞の候補に選ばれたことにより、本書の事をお知りになられた方も多いかと思いますが、私もその一人。
あらすじを読んで興味を抱いたので読んでみました。
本書は6つの短編からなる短編集で、テーマは「ゲーム」
ゲームと言ってもテレビゲームではなく、囲碁、将棋、チェッカー(この様に説明するとお怒りの方もおられるかもしれませんが、簡単に言えばチェスの簡易版みたいなものです)、麻雀です。
これらのゲームにおいて、極めて異質な才能を発揮した天才(奇才と言うべき?)の姿が、彼らを取材するジャーナリストの視線を通して描かれており、描写対象が異質と言うこともあってか、全編にわたって若干観念的なストーリーとなっています。
尋常ならざる自らの感覚に正面から向き合い、極みを目指すが、道中ばにして挫折していく登場人物達。
挫折者、敗者として世に知られている彼らは本当はどの様な存在だったのか?
これを調べるジャーナリストの"背中"からストーリーを追うに連れ、太陽に近づきすぎて墜落したイカロスの事を連想しました。
イカロスが墜落したのは限界を越えた高みまで登り詰めたから、と考えれば本書の”天才”たちの”崩壊”は、彼らが自らの限界に挑み、それを越えたからではないか。
著者は、自らの"感覚"を頼りに、限界に挑む人の苦悩を描きたかったのか知れません。
尚、本書は著者のデビュー作という事もあってか、読んでいて粗さを感じる事もありましたが、(内容はともかく)文章自体は全般的に平易なものですので読みやすい感じです。
興味をお持ちになられれば、頭への刺激として一読されては如何でしょうか。 -
限られた盤上に人知の及ばない世界を感じる。そういうのが面白い。勝負事を描くと付きまとう哀しみと、えぐい描写が残念。