ミシシッピがくれたもの (創元ブックランド)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 34
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488019433

感想・レビュー・書評

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  • 一気読みしてしまいました!読み出したら止まりません。
    感想は…今の世に生きる私には、計り知れない重苦しい歴史の流れのなかで、強く、儚く生きていた人々の悲しみが伝わって来て、揺さぶられました。

    実際の歴史とその土地を元にストーリーが展開される為、当時は本当にこの様な人生があり、痛みを抱えながら生きた人が沢山いたのではないかと思うと心苦しくも感じました。
    ずしりと重いお話ですが、本としてそんなに長くもないし、文章も読みやすく、とても胸に迫るものがあります。
    ぜひ読んでもらいたいです!

  • 15歳の僕は、初めて父の故郷を訪れた。
    医者である父は多忙なため、なかなか旅行ができないのだ。
    しかし世界的な戦争にアメリカが参戦する直前の1916年の夏、ミシシッピ川を見下ろす丘の上にある家に、祖父母と大おじ・大おばを訪ねる旅に、僕たちは出た。

    最初と最後が僕のパート。
    その間のほとんどの部分は、祖母(ティリー)の語る彼女の少女時代の話。
    南北戦争の時、ミシシッピ川は南軍と北軍の間に位置していた。
    奴隷制に反対したイリノイ州と賛成したミズーリ州の間を流れるミシシッピ川。

    そこにミシシッピをさかのぼってニューオーリンズから避難してきた少女が来た。
    豪華なドレスに身を包み、たくさんの荷物をお付きの黒人の少女に持たせたデルフィーンは、船が出ないのでセントルイスの親せきの家に行くことができず、ティリーの家に厄介になることになった。

    戦争の足音は日々大きくなり、ティリーの双子の兄・ノアも戦地へと出発する。
    負傷したノアの看病をするためにティリーとデルフィーンは野営地へ向かうが、そこで見た一般歩兵たちの過酷な環境。
    まじかに見る戦争の現実。

    デルフィーンが抱えていた秘密。
    アメリカという国でフランス人が、スペイン人が、そしてアメリカ人が黒人にしてきたこと。
    奴隷制と自由黒人。

    200ページ強の児童文学なのに、中身の濃さが半端ない。

    最後まで読めば、祖父母と大おじ・大おばがなぜ同居しているか、父はなぜこのタイミングで故郷を訪ねたのかがわかる。
    そして自分の体に流れている「血」の重さを感じることになる。

    ずっしりとした読み応え満点の児童書。

  • ここにレビューを書きました。

    http://blog.goo.ne.jp/luar_28/e/ca66251f6cc22c097794cb8122bc2413

  • この物語は、リチャード・ペックの前二作『シカゴよりこわい町』、『シカゴより好きな町』でも触れられていた「南北戦争」について、リンカーンゆかりの地で生まれた著者が、より深く、直接見聞きした人々の記憶を小説化したものだ。 まず、最初の語り手となるのはセントルイスに住む15歳の私(ハワード・ハッチングズ)で、1916年のある夏の日に、医師である父に連れられて双子の弟たちとT型フォードに乗って、ピクニック気分でミシシッピ川の向こう岸にある父の故郷、イリノイ州グランドタワーを訪れる第1章から始まる。父は生まれ育ちについてそれまで多くを語ってこなかっただけに、私にとっては興味深い訪問だった。そして、その実家には祖父母以外に、なぜか大おじ・大おばの4人が一緒に住んでいた、、、、 第2章からは、私の祖母のティリーが語り手となって、祖母が15歳だった日々、南北戦争の記憶が一家の歴史として次々と語られ、家族の運命を翻弄することになる戦争の真実が描かれる。そして、最終章に至って語り手が「私」に戻る時、すべての真相が明らかにな。冒頭の第1章を再読すれば、まさに著者にしてやられた気分。 前二作が愉快なユーモアにあふれたヤング・アダルト向け作品だっただけに、シリアスなこの作品はギャップが大きい。しかし、ミステリアスな若い南部娘についての謎ときや、一家を襲う運命の皮肉さは読み応え十分。 原題名は『The River Between Us』で、邦題名よりそのままの題名の方が色々な意味でこの小説を象徴している気がする。

  • (「BOOK」データベースより)
    15歳のとき初めて父の故郷を訪れた。ミシシッピ川を見下ろす岩だらけの丘にある歴史と謎の重さが宿る家に祖父母と大おじ・大おばの4人が住んでいる。祖母がわたしに少女時代の思い出を語りかける。そしてわたしは、南北戦争にまつわる思いもかけぬ事実を知ることになった―。秘められた歴史を題材に、アメリカの深部に迫った感動の物語。

  • ペックの「シカゴよりこわい町」「好きな町」がとても好きで、そんな感じのユーモラスな古きよきアメリカの話なのかと思っていた。
    時はアメリカの南北戦争の頃。同じアメリカでも南部と北部の違い、そして多数の人種が混在している「アメリカ」という国の複雑さを改めて知ることとなった。
    オープニング、「わたし」が父の実家に帰省し、祖父母と大おじ・大おばの歴史と謎の重さを少しずつ知ることとなる。祖母=ティリー一家が少女時代にニューオーリンズから迎え入れることとなったデルフィーンとカリンダという少女。裕福な家のデルフィーン、彼女の召使?奴隷?か素性のわからないカリンダ。彼女らの出現でティリー一家は大きく変わる。
    その一方で激化する南北情勢。デルフィーンに惹かれつつも、ティリーの双子の片割れノアは戦争に行き、彼を救おうと向かった戦地でティリーとデルフィーンは何とも酷い現状を目の当たりにする。そして、少しずつ明らかになるデルフィーンの秘密。ここからの思いがけなく何度もある種明かし、その都度度肝を抜かれ、言葉にはならない感情の揺れに自分でもどうしたら言いかわからなかった。
    辛い場面もいくつもあったけど、読み終えて、最終的には心が温かいものに満たされた。最後の最後までどんでん返しがあったのには驚いたけど、ある意味それは素敵なサプライズだったのだ。
    まだまだ、私には知らないアメリカの顔がある。それは私だけではなく、もっとたくさんの人に知って欲しいことである。アメリカの歴史という縦軸、家族の絆という横軸。紡がれるこの物語は、決して堅苦しく重苦しいだけじゃなく、また感傷的になりすぎることなく、だけどしっかりと心に刻まれる。
    出会って本当によかったと思える一冊、ひとりでも多くの人に手に取ってもらいたい。

  • 15歳のとき初めて父の故郷を訪れた。ミシシッピ川を見下ろす岩だらけの丘にある歴史と謎の重さが宿る家に祖父母と大おじ・大おばの4人が住んでいる。祖母がわたしに少女時代の思い出を語りかける。そしてわたしは、南北戦争にまつわる思いもかけぬ事実を知ることになった―。秘められた歴史を題材に、アメリカの深部に迫った感動の物語。

  • 15歳のとき初めて父の故郷を訪れた。ミシシッピ川を見下ろす岩だらけ
    の丘にある歴史と謎の重さが宿る家に祖父母と大おじ・大おばの4人が
    住んでいる。祖母がわたしに少女時代の思い出を語りかける。そして
    わたしは、南北戦争にまつわる思いもかけぬ事実を知ることになった
    ―。秘められた歴史を題材に、アメリカの深部に迫った感動の物語

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