- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488023553
作品紹介・あらすじ
描くことに没頭し燃え尽きるように自殺した画家、東条寺桂。『殉教』『車輪』-二枚の絵は、桂の人生を揺さぶったドラマを語るのか…。劃期的な、余りに劃期的な、図像学ミステリの誘惑。第九回鮎川哲也賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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図像学をテーマにしたミステリー作品。狂ったように絵を描く主人公の裏側にあるどんよりとした人生が、暗く、冷たく、ときに生暖かく描かれていてその世界観にのめり込んでしまう。
密室事件と絵画にこだわりすぎているところが話を中弛みさせてしまっていて残念だが、人物の関わり方や話の構成は素晴らしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少し前から読んでみたかった飛鳥部勝則作品。図書館利用。予想以上に読みやすかった。
作者自身の絵が冒頭に掲載されているのは斬新。トリックは正直うーん、という感じではある。 -
150817読了。図書館借り。
返却期限が近いために東京まで持って行ったが、帰りの新幹線待ちから一気に読んでしまった。
変な人がたくさん出てくるけど、それがまた古き良きミステリっぽくてよい。
仕掛けもだいたんでデビュー作とは思えない強かさ。 -
不思議な魅力を持つ作品
トリック的にはイマイチだが
ストーリー性はある
この作者の他の作品を読んでみるか
4.2点 -
本文図版/阿部勝則
装幀/西山孝司+柳川貴代(Fragment) -
図書館にてタイトル借り。
絵画ミステリー?みたいな。
ちょっとラスト切ない…。 -
絵画にあまり造詣深くなく、密室・本格ミステリーとして読んだ方は恐らく今ひとつ物足りない推理小説、と思われると思いますが、
イコノロジーに興味を持っている私は抜群に面白かったです。
特に、学芸員の矢部が絵画に隠された意味を図像解釈学で読み解こうとする辺りはテンポもよくて、わかりやすく、とても面白いです。
選評でも触れられている通り、刑事が出てきた辺りは中弛みしてしまいますが、最後まで読むと大胆な伏線が引かれていたことに気が付かされてちょっぴり悔しい思いをしました。
本格モノを読むと犯人やトリックに目星が付いてしまうことが多いのですが、
この作品にはよい意味でも悪い意味でも騙されました。
人物描写もねちっこくなくて、会話の流れもなんだか好ましく、とても読みやすかったです。
この作品を読んで、イコノロジーに興味を持たれた方は、ぜひとも若桑みどりさんの著書を読むことをお勧めします。
「殉教カテリナ車輪」の作中でも書かれているとおり、絵画はミステリーですので。 -
1997年から、過去に遡って話が展開していく。
その割に古い感じがする文章。
古くさいのに、軽さがある。
ねらってなのか、作者の個性なのかは、この本しか読んでいないのでわからない。
挿絵に入っている、ミステリーにかかわってくる絵を、作者が描いているというのが驚き。
絵画の謎ときから、一人の画家の晩年に起きた事件を探っていく。
図像学(イコノグラフィー)とか、作中にいろいろ解説があるので、わからなくてもすんなり読める。
手に取った感じや、読み始めの印象より、ずっと入り込みやすく、するっと読めた。 -
装丁とタイトルの美しいこと!
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謎だらけだった2枚の絵が、殺人事件を介して意味を得るところは鮮やか。