シチュエーションパズルの攻防: 珊瑚朗先生無頼控 (創元クライム・クラブ)
- 東京創元社 (2008年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488025274
感想・レビュー・書評
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人が死なないミステリ短編集。
いちばんの謎は結局人間そのものなんです。「犯人と動機ってのは表裏一体」だし。
最初の「クロロホルムの厩火事」を読んだ感じだと、微妙かなあと思ったものの、表題作と「ダブルヘッダーの伝説」は楽しく読めました。
「クリスマスカードの舞台裏」を経て書き下ろしまで読み終わると、小僧の成長が感じられて微笑ましいです。
文壇バーは、私の行ってみたいところベスト5に入ります。
文壇バーに出入りするためのペンネームを考えるのが最近のブーム。
★
「誰が言ったか忘れたが――セルバンテスの昔から、小説ってのは物語の再生産を繰り返してるだけだって説がある」
「再生産、ですか」
「ああ、神話の昔から星の数ほどの物語がある中で、まるっきり新しい作品なんてそうそうかけるもんじゃない。安楽椅子どころか、小説ってジャンル事体が既成の形式を踏襲しているんだからな」
「そう言われればそうですが」
「だがな、だからこそ俺たちにはその形式ってやつに立ち向かう楽しみが残されてるんだ。その枠組み自体をどう捉えて何をおさめるか、あるいは枠ごと壊してやろうかってな」
「言ってみれば」甲町さんはグラスを干した。「小説っていう形式に挑むドン・キホーテってわけですね」 -
文壇バーでバイトする大学生が、
そこに通う小説家の推理に触れることで成長していく物語。
最後の書下ろしがちょっと半端な印象。
シリーズ化されるなら、長編も読みたいな。
【図書館・初読・7/12読了】