福家警部補の追及 (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025441

作品紹介・あらすじ

狩秋人は未踏峰チャムガランガへの挑戦を控え、準備に余念がない。勇名を馳せた登山家の父・義之がついに制覇できなかった山である。義之は息子に夢を託して引退、この期に及んで登山隊の後援をやめると言った会社重役を殺害する(「未完の頂上」)。動物をこよなく愛する佐々千尋はペットショップの経営者。血の繋がらない弟は悪徳ブリーダーで、千尋の店が建っている敷地を売ろうとする。そもそも動物虐待の悪行に怒り心頭だった千尋は、弟を亡き者に……(「幸福の代償」)。『福家警部補の挨拶』に始まる、倒叙形式の本格ミステリ第四集。

感想・レビュー・書評

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  • 安定の倒述もの。
    手がかりや犯人のミスから追い詰めていくのが、ゾワゾワする。
    息子に夢を託すクライマーの話と動物と自分の居場所を守るために殺人を犯す女性の話。

    犯人像がなんか身勝手で物語として、刺さるものがないのと、福家警部補をスーパーマンに描き過ぎでは?というのがやや不満。犬が苦手らしいけど。

  • 福家警部補シリーズ第4作。
    中編2つ。
    「未完の頂上ピーク」…元登山家は、未踏峰への夢を息子に託して準備していた。しかし、会社重役がスポンサーをやめると言う。登山家は重役を殺害、彼が山で滑落したように見せかける。

    「幸福の代償」…動物を愛する千尋は、悪徳ブリーダー義理の弟、その恋人を殺害する。恋人が弟を殺害し、それを苦にして自殺したようにみせかけるためだ。

    第4作目だからか、ちょっと中だるみの様子。テンポがだらーとしていた感じ。福家のキャラもよくわからなかった。ロッククライミングの選手としてスカウトされるくらいの三十路?
     ただ、山の描写のところは面白かった。

  • 日本で一番好きなサスペンス・シリーズ。

    刑事コロンボは見たことないけど、古畑任三郎をイメージすればわかりやすいかも。

    相変わらず福家警部補は魅力的だけど、なんか超人キャラに変わりつつあるのでは?

    しかし、本作は犯人側にあまり魅力を感じなかったから、読了感は少し下がった。

  • 一度読みだすと止まらない。
    ところで福家っていつからこんなフィジカルのスーパーウーマンになったんだっけ?

  • 福家警部補シリーズ第4弾。
    福家警部補にも苦手な分野が発覚。

    苦手な分野を見せることで人間ぽさを表現したかったのかなと感じますけど必要なかったのでは?とも思います。

  • 「未完の頂上」は電書で読了済(http://bookmeter.com/cmt/36668760)もう一編は「幸せの代償」。いつも通り倒叙で丁寧に犯人の気持ちの変化を追っています。そして、事情聴取先の人に最後に一声かけることで相手に気持ちの変化を与えるところも同じ。(途中で須藤さんを発見♪)今回は中編であることで犯人側の精神的な厳しさがいつもよりさらに伝わってくる気がしました。ただ、今回2編とも犯人の追い詰め方が好きではないです。それだけ犯人の方が周到で仕方がないということなんでしょうが…。

    2014/03/24 kobo未完の頂上
    犯人が事件を起こすまでの心情、冷静に処置しながらも時々起る予期せぬ出来事。どこから福家警部補が切り込んでいくのだろうと事件の描写の時点から細かく追いながら読み進めました。相変わらずの聞き込み先で与える小さなハッピーが素敵です。ただ、今回は犯人に全く同情できない上にもしかしてこっちから切り込むとしたら嫌だな…と思っていた方向そのままの追い詰め方で好みではありませんでした。親という立場上考えてしまうこともありました。(kindle連載版ですがkoboアプリで読みました。他の電子書籍ストアでも読めるようです。)

  • テレビドラマ化もされた福家警部補シリーズの4作目。「刑事コロンボ」と同様の倒叙スタイル(冒頭に犯行の場面あり)で書かれている。未踏峰への挑戦という夢を息子に託す男が,資金援助を打ち切ると言い出した会社社長を殺害する「未完の頂上」と,悪徳ペットブリーダーである義弟を殺してまでも,虐待されている動物を守ろうとする「幸福の代償」の,従来より長めの2作品。福家の「追及」の最後の手際は,何と言うかギリギリの線だ。そして私は,檀れいよりむしろ永作博美派である。

  • 福家警部補シリーズ第四集。
    「未完の頂上」と「幸福の代償」は、どちらも長めの中編で読み応え抜群。

    倒叙形式の本格ミステリを久しぶりに堪能。
    このシリーズ、テレビドラマから入ったからか、福家警部補の人物像は、壇れいさんになってしまう。年齢的にちと行き過ぎだけど、ま、良しとするか。。。

  • 約3年半振りに読んだ第4作目。久々に読んでもテレビドラマの檀れいさんのイメージが残っている。この2作のスペシャルドラマ化があってもよさそう。倒叙ものはどうも犯人側に気持ちが入って苦手なんだけどなあ・・・

  • 面白かった~・・・。
    この本もまた年末ぐらいから借りては(読めずに)返し、また借りては返しを繰り返して、ようやく読めた。
    こうやって粘って借り続ける本(迷惑ですやんね・・・)を読了したときは大概思うけど、
    読んでよかった・・・。

    今回は中編くらいの長さやったのもよかった。
    山の話はまったく共感できない犯人、犬の話は逆に同情したくなる犯人からの出だしやったけど、ここまで深く書き込まれると読んでるうちにまた違った印象を持つ。

    作中の人物に自分を重ねて読むわけではないのに、その行動を細かく書かれるせいか、妙に移入しちゃうんだよな。

    あとは、モブ的存在の「証言するだけのその他のキャラ」が福家警部補と絡むとその後の人生がちょっと変わっていく様子なのも、いい。
    そこここでちっさいドラマが生まれております。

    あと、福家警部補まさかの犬ね。
    何でもできる人やのに犬が苦手っていうのも面白かったわ。
    福家警部補の主観が語られないというのがこのシリーズの特徴って二作目の解説で書かれていたけど、それやのに福家警部補が可愛らしくも見えてくるからすごい。

    一度くらい福家警部補が負けるところを見てみたいけれど、それはあれか。シリーズの終わりを意味するんかな。笑


    退路を断つってことは、強要するのと同じなのだとか。
    なるほど、そうかもしれない。
    ほんで、今年の私のこの苦しい情況は、退路を断たれた上での話なんかな? と、一瞬思って、いやいや、私自身が選んだことなんだよね。

    そう思うほうが、少しでも前に進めるやろ。

    著者は山にも詳しい様子。
    山関係の小説もいくつか書いてはるね。なんかし、他タイトルも徐々にせめていこう。
    とりあえず「オチケン」を再読するところから始めようかな。


    ■■■■


    ■ゴルフレンジ


    ■トラバース

    登山用語。山の斜面,がれ場や岩壁などで,直登・直降を避けて横切って進むこと。微妙なバランスが必要で,とくにテラス(岩棚)のない岩壁などでは危険。


    ■披瀝

    [名](スル)心の中を包み隠さずに打ち明けること。


    ■鞍部

    山の尾根のくぼんだ所。


    ■代紋

    やくざの一家を表す紋章。


    (2017.03.18)

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著者プロフィール

大倉崇裕(おおくら たかひろ)
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年、「三人目の幽霊」で第四回創元推理短編賞佳作を受賞。98年、「ツール&ストール」で第二十回小説推理新人賞を受賞。2001年、『三人目の幽霊』でデビュー。代表作である白戸修シリーズ、福家警部補シリーズ、警視庁いきもの係シリーズは、いずれのシリーズもTVドラマ化されている。

「2022年 『殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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