- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488027674
作品紹介・あらすじ
都会を走る移動図書館「本バスめぐりん」。乗り込むのは六十代後半の新人運転手・テルさんと、図書館司書・ウメちゃんの、年の差四十のでこぼこコンビだ。団地、公園、ビジネス街など巡回先には、利用者とふしぎな謎がめぐりんの到着を待ちかまえていて……。テルさんのとまどいとウメちゃんの元気、そしてたくさんの本を詰め込んで、本バスめぐりんは今日も走る。本屋、出版社などさまざまな「本の現場」を描く著者の次なる現場は、移動図書館! 本を愛するすべての人に贈る、ハートフル・ミステリ。
感想・レビュー・書評
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私は子供の頃本を借りるといったら移動図書館だった。
だから表紙に惹かれて借りてしまった。
この本のめぐりんと同じく2週間に一度の土曜日に、家から徒歩数分の空き地にやってくる。
貸出カードで目一杯借りて次にまた来るのを楽しみにしていた。
子どもの頃だったから外の箱に入っている絵本や紙芝居ばかり借りていて、移動図書館の中には入った記憶はほとんどないのが残念。
しかも今はもう廃止になってしまったし。
また会いたいなぁ、あの移動図書館。
それから…この本を読んでいる最中に一緒に絵本の読み聞かせをしていた方の訃報が舞い込んで。
娘と同級生のお子さんのいるまだお若い方で。
今週はひっそりと涙に明け暮れていました。
そしたらこの本の中にお母さんを亡くしたばかりの中学生の女の子が出てきて。
移動図書館ととある本がお母さんとの思い出で。
それがその子の心を支えていた。
亡くなったあの人のお子さん達も本が支えになってくれるといいな。今はまだ悲しみの真っ只中にいるかもしれないけど、いつかお母さんが大好きだった絵本があの子たちの支えになってくれる日が来る。きっと来る。だってあんなに素敵で朗らかな笑顔の人だったもの。
だけど私も悲しいしさみしいし信じたくない。絵本を開くたびにこれからもずっと思い出すんだろうな。もっと絵本の話を一緒にしたかったよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本絡みのお話が得意な大崎梢さんの作品とあって楽しんで読んだ。
舞台は移動図書館〈めぐりん号〉。三千冊の蔵書をマイクロバスに積み込み、『ステーション』と呼ばれる市内十六ヶ所の訪問先を二週間掛けて巡る。
そこで出会う利用者たちとのあれこれを司書のウメちゃんと運転手のテルさんと他の利用者たちとで解決していく。
「テルさん、ウメちゃん」
大切な写真を挟んだまま本を返却してしまったという利用者からの申し出で、直後にその本を借りた利用者に尋ねると『知らない』と回答するものの様子がおかしい。
私も図書館ハードユーザーなので、図書館で借りた本に前の利用者が挟んだらしいものが出てくることに遭遇することはよくある。大抵レシートか私物の栞で勿論返却する時にその旨申し出る。たまに利用者の貸出票が挟まっていて、似たようなラインナップにニヤリとすることはある。
「気立てがよくて賢くて」
利用者減少に伴い『訪問先の廃止』有力候補となった殿ヶ丘団地。近くに保育園があることから園児たちに利用してもらえば利用者増加に繋がるのでは?と考えたウメちゃんとテルさんだが、その保育園と殿ヶ丘団地には因縁があるようで。
殿ヶ丘団地のような場所は日本の至るところにある。これからも増えていくだろう。この話は上手くまとまったが現実的には難しい。
「ランチタイム・フェイバリット」「道を照らす花」
この二話は利用者のことを他の利用者たちが大切に考えている話。見方によってはお節介になるし、でも特に中学生の女の子のように踏み込まないと心配になる状況もあるし、そのさじ加減が難しい。
『優しく微笑んで、見守るように』でも『あなたの話を聞きたい、という我々の気持ちはわかってほしい』というテルさんのスタンスは共感出来るが、そのスキルを身に付けるのは大変だ。
「降っても晴れても」
テルさんに対する利用者からのクレームの葉書が図書館に届く。内容は自分を蔑ろにして特定の女性ばかり熱心に対応しているというもの。全く心当たりのないテルさんだが。
踏み込み過ぎず、でも気にしているというスタンスが上手く伝わる人ばかりではないだろうと思ったら、何というオチ。しかしテルさんの奥さん、頼りになる。
テルさんはリタイア後の再就職で〈めぐりん号〉の運転手になったが、三千冊もの蔵書を積んで運転するだけでも大変だと思うし、本バスのセッティングから蔵書の場所を覚えたり貸出や返却業務の合間に利用者たちとの交流もする。利用者増加のために様々なイベントもやる。なかなか大変だがやりがいはありそう。悪い人が出てこないのも気持ちいい。
続編もあるので読んでみよう。 -
本好きには大変面白くて興味のある作品でした。
「移動図書館」
実際に見たことがないので、一度出会ってみたいと思いました。
めぐりん号が行く先々のステーションで、やってくる人達と、職員であるテルさんとウメちゃんとのやり取り、またそこで繰り広げられる出来事、とても微笑ましくて楽しかったです。
第2弾の「めぐりんと私」も読みたいです!
めぐりんを巡ってどんな出会いや出来事が起こるんだろう?楽しみです。 -
子供だけで行けるので、近くに本バスが来てくれたら良いかも。
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種川市の移動図書館は、本バス”めぐりん”と呼ばれている。
司書のウメちゃんこと梅園奈緒子、運転手のテルさんこと照岡久志。
2人が巡回する先々でちょっと不思議な出来事が起こり…
本好き夫婦の我が家では、転勤先で図書館のお世話になること度々。
以前、図書館からかなり離れたところに住んでいた時、一度だけ移動図書館を利用したことがある。
しかし、2週間に一度の巡回日に返却しなければならないことはハードルが高すぎた。
そして、バスに積まれている本の中から好みの本を探すのも難しくて。
それっきり移動図書館を利用したことがなかったが…
図書館利用者が減っている昨今、当然ながら移動図書館の利用者も減っている。
だけど、図書館から離れたところに住んでいたり、図書館まで行けない人にとって、移動図書館は大切なものだ。
いつまでもなくてはならないものだと思う!
今度、本バスを見かけたら、のぞいてみたい! -
移動図書館。
本を乗せて走るから「本バス」
愛称は『めぐりん号』
45年のサラリーマン生活を定年退職し、嘱託で働いた後、友の要請で急きょ、移動図書館の運転手を引き継ぐことになった、照岡久志(てるおか ひさし)、65歳、愛称『テルさん』
相棒は、まだまだ駆け出しの司書、ショートカットで元気いっぱい、ともすれば元気余って空回りしてしまう、梅園菜緒子(うめぞの なおこ)、20代半ば、愛称『ウメちゃん』
なかなかの名コンビ。
「販売」の本屋さんと違って、図書館は借りたら必ず返しに来る。
利用者さんも本も、戻って来る。
そして、その本はまた別の人の元へ。
バスも、本も、めぐる。
そんな、「行ったきり」ではない、縁がぐるぐるつながるのが良いのかもしれない。
『テルさん、ウメちゃん』
リピーターは、やはり覚えられてしまいますね…
同じ日に、一番目と三番目のステーションに現れる寺沢さんの悩みと、本の間に大事なものを挟んだまま返却してしまった大島さん。
『気立てがよくて賢くて』
かつて高級住宅街だった殿ケ丘は高齢化が進み、本バスの利用者が減ってきた。
めぐりん号の出発点でもあるステーションなのだが、このままでは巡回が廃止になってしまうかもしれない。
『ランチタイム・フェイバリット』
利用者さん野庭悦司(のば えつし)、20代後半の爽やかイケメン。
ウメちゃんが彼を気にかけているらしいことを、父のような気持ちで、これまた気にかかるテルさん。
野庭さんは、めぐりん号に来て本を借りつつも、別の一点を見つめているような気がして…
『道を照らす花』
団地に引っ越してきてすぐに貸出カードをつくって本を借り始めた、宮本杏奈(みやもと あんな)ちゃん、中二(すごい美少女)は、お母さんがなくなってお父さんと二人暮らしらしい。
彼女の今の心のよりどころは…
『降っても晴れても』
めぐりん号が市民祭りに参加するかもしれない。
そんな時に降ってわいた、「本バスの運転手さんに対するクレーム」の匿名はがき。
真相は?
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会社勤め時代、管理職になってからは若者とはあまり会話しなかった、と、自分のコミュニケーション能力を反省するテルさん。
更に、苦情のハガキで、見られていることに緊張し、背筋をただし…
サラリーマン時代とは違う「人との対応」に自らをシフトしていくのだ。
最近、男性の老後ものをいくつか読んだが、過酷なものが多かった。
この、テルさんみたいに暮らせたらいいのではないかな?
ちょっと、周りが善人ばかり集まり過ぎる感じもするけれど。 -
すごく良かった!!
本好きとしては気になる「移動図書館」が舞台。
利用者さんたちの日常のちょっとした謎を解き明かしていくのが楽しい♪そして老若男女が繰り広げる人間模様も楽しくて心が温まる♪
定年後に移動図書「本バスめぐりん」の運転手になったテルさんがサラリーマン人生との勝手の違いに戸惑い、不慣れながらも頑張る姿に好感が持てる。
奥様の聡子さんも魅力的。
本バスめぐりんを通じて人とのつながりの温かさを感じ、ほっこりします。
心に優しく響いてくる言葉やシーンもたくさん。
本好きにはたまらないシリーズだと思います! -
定年後に移動図書館の運転手になったテルさんと、若くて元気な女性図書館司書のウメちゃんのコンビが各ステーションで起こる謎を解いていく(^-^)どの話も読んだ後ほのぼのとしてしまう(*^^*)「道を照らす花」では、杏奈ちゃんの大ファンになってしまって、うるうるした(;-;)あぁやっぱり本って良いな(*´-`)♪
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こんな形のミステリーもあるんですね。
ほのぼのとした気持ちになりました。
凄く読みやすかったです。 -
移動図書館「本バスめぐりん」が巡る場所での出会いは、
利用者と謎。心温まる話が詰まった、ミステリ短編集。
・テルさん、ウメちゃん・・・返した本に誤って挟んだモノの行方は?
人との出会い、本との出会い。これが新たな出会いの道標へ。
・気立てがよくて賢くて・・・衰退著しい高級住宅街にステーション
撤退の話が。不幸な過去はあれど人は変わる。街を変える。
・ランチタイム・フェイバリット・・・ワーキングエリアの
ステーションでの人間模様。違う業種の人たちの結びつき。
・道を照らす花・・・めぐりんを前に、突然泣き出す少女。何故?
そんなそんな彼女を見守る、団地の住民たちの優しさ。
・降っても晴れても・・・市民祭りにめぐりんが参加!?準備の中、
クレームの葉書が届く。運転手に?誰からか判明するのは人の縁。
めぐりん巡回MAP有り。
ライトな謎解きですが、つい、うるっとしてしまう短編集です。
定年退職後、新人運転手になったテルさんと、
図書館司書のウメちゃんが乗る移動図書館「本バスめぐりん」。
めぐりんが行くステーションに集まる様々な利用者と、謎。
初めての仕事に戸惑う照岡でしたが、かつてのサラリーマン時代の
仕事のスキルを活かし、利用者に寄り添い、謎解きに奔走します。
図書館司書の梅園さんは積極的で、元気いっぱい。
そして、めぐりんが行くステーションで、本と人、人と本が巡る。
人の抱える問題は様々。高齢化、妊娠と出産、一人暮らし、
引っ越し、別離、職場内の人間関係、転職、起業など。
それでも、ステーションではめぐりんを待ちわびる利用者たちが
巡る絆の輪を結ぶ。声をかけ、助け、笑顔を交わす。
最終話で、前4話のその後が盛り込まれて、ホッとしました。
また、移動図書館についてや図書館運営での問題等がさり気なく
書かれているところも、良かったです。
同期の人が移動図書館に従事していたとき、利用者との交流を
楽しんでいたのかなと、想像してしまいました。 -
どうして忘れていたんだろう。
私と図書館の本との出会いは、まさにこのバスの様な
移動図書館だったことを!
毎週金曜日、移動図書館が来るのが楽しみでしょうがなかった頃のことを。
ページをめくりながら、バスの色や借りた本のことなど
ポロポロと思い出がよみがえって来ました。
本を貸し出す側の人たちが、利用者の事をこんなに温かい目でみてくれていたのだとしたら、
毎回大好きな絵本を借りられるのがうれしくてたまらなかった当時の私の事を
見守ってくれていた人もいたのかな。
懐かしくて心がホワンと温かくなる物語でした。 -
移動図書館のお話。
めぐりん見てみたい。そこから紡ぐつながりいいですね。 -
見守る、信じて待つ、に関するテルさんのコメント、しみじみ心に持ちました。
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題名に惹かれて図書館で何気なく借りました。
借りて良かった!!
久しぶりにほっこりする温かいお話に出会えて嬉しいです^_^
人と人を繋ぐ場所って素敵だなぁ。
うちの近所にも移動図書館来て欲しいなぁと思いました。
何より主人公達の人柄も好きです。ほんと、ほっこり。
最近このシリーズの第二弾が出たということなので、ぜひそちらも読んでみたいです^_^
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今度の舞台は、移動図書館。
サラリーマンをリタイアしたテルさんと、元気溌剌な司書ウメちゃんが良いコンビです。
テルさんの奥様の聡子さんがこれまた、とってもいい味出してます。
小さな謎解きのコージーミステリーというのをはじめて知りました。
バスがめぐる町の5つのお話、どれもふんわり優しくて、本が大好き!が溢れています。
軽いタッチで短編なのであっという間に読み終わってしまいますが、あちこち深いなーと感じるとこもあって、こういう本はやっぱり好きです。 -
移動図書館を描いた連作短編集。定年退職後、移動図書館の運転手を始めたテルさんと、若いけどしっかり者の司書のウメちゃんが、移動図書館の出張先「ステーション」で起こる日常の謎を明かしていくというもの。そんなに難しい話でもなく、どこかほんわりとした印象。
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「めぐりん」という言葉に親しみを覚え、地元図書館の特集コーナーにてつい手にとった本書。
このめぐりんは、移動図書館。
約3000冊の本を載せ、種川市内をめぐっている。
場所や時間などに応じ、少しずつ違う本を積み、定年後の再就職運転士、久志と司書の菜緖子の2人でぐるりと市内をめぐる。
物語自体は日常の謎。
本の話と謎解き。
うーん、我が図書館、やってくれるじゃないの。
物語は5篇。
好きな物語は、「気立てが良くて賢くて」。
訪問先を減らすため、その検討にあがる住宅街は、多分に漏れず、高齢化が進んでいる。
造成当時は、声の大きい人もいて、安住の地を奪われまいと必死だった。
近くにできるはずの保育園も迷惑施設として猛反対。
せめてめぐりんを使わせて、と保育園から頼まれても梨の礫。
子供たちの野外活動も規制、規制。
それなのに、どのツラ下げて、めぐりんが来てくれなくなってしまうから、めぐりんを使ってくれませんか、なんて言えるだろうか…。
さて、めぐりんはこの住宅街をこれからも回るのか。
保育園児は来てくれるのか。
心に残る言葉は、「今までを変えるのは、今までにない人材」91頁。
優しく、温かい物語の数々に心が暖かくなる。
冬の、ひだまりのように。 -
▼「いっぱい借りて、いっぱい買って、いっぱい読む、これですよ。私も買ってますから。本屋さん大好きですし」(p.122、「ランチタイム・フェイバリット」)
移動図書館めぐりん号で本を借りるようになり、小説を読むようになった野庭さん。「時間ができたときに町の書店に入り、棚や平台を眺めるのが楽しみになった」と言う野庭さんに、司書のウメちゃんはすかさず本を買うようにすすめる。
そのココロは、「気に入った本を買って手元に置いたり、贔屓する作家の新刊をいち早く購入することで、誰でも出版界に貢献できる。誰かが支えなくては、新しい本は作れなくなる。図書館の棚も痩せ細ってしまう」(p.121)からだ。
私の読書は、主に「図書館で借りること」と「本屋で買うこと」で支えられている(それ以外に、人からまわってきたり、もらったりが時々)。図書館が近くになかった頃には買いまくっていたこともあるが、本の置き場に困り、片づけられず、「たしか買って持ってたはずの本」が探し出せなくなったりして、図書館にシフト気味。
とはいえ、買わないようにしていても、本を結構買っている。確定申告のときに本の領収書をひっくりかえしていて思う。この頃は、読んだ本を人にまわしてしまうようにして(それが滞り気味ではあるが)、また時々買っている。
ジャンルや造りや値段などによって本といっても様々なのだろうが、著者(作者)が、たとえば自身のブログなどで「図書館で借りて読みましたと言われるとガッカリ」とか「買えよ!」とか表明しているのを見ることがある。
もちろん、本そして本をつくっていく環境に対してできる一つの貢献は「買い支える」ことなのは分かる。でも「図書館で借りて読んだ」ことにガッカリするのは、ちょっと待ってほしいと思う。
私の場合は、図書館で借りて読み、また借りて読み、そしてやはり本を買うこともあるし、図書館で借りて読んで、よかったので「これが!」と人に勧めることもあるし、自分で買って読んだあと、図書館にないのに気づくと「これは図書館にあってほしい(他の人にも読む機会があってほしい)」と図書館へリクエストすることもあるし、図書館へリクエストして入るのを待っていたが、待ちきれずに買って読むこともある。
「本を読むこと」「本を買うこと」「本を借りること」はぐるぐるとつながっていると思うから、ウメちゃんの「いっぱい借りて、いっぱい買って、いっぱい読む」は、うれしかった。
大崎梢の小説は、本屋モノ、書店営業モノ、出版社モノなど本にまつわる話がかなりある。そっちもまた読みたいなあと思い出す。
(2018/5/24了→6/6再読)
大崎梢『本バスめぐりん。』
https://amzn.to/2luqo6v
過去ログ
『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』
(http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-4802.html)
大崎梢『クローバー・レイン』
(http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-4505.html)
大崎梢『プリティが多すぎる』
(http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-4445.html)
大崎梢『背表紙は歌う』
(http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-3573.html)
大崎梢『平台がおまちかね』
(http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-357.html) -
定年退職した男性が、知り合いの紹介により、移動図書館の運転手となる。畑違いの仕事に最初は戸惑いを隠せなかったが、相方の女性司書とともに、移動図書館での仕事や利用者さんとの関わりや利用者さんに関わる謎を解いていく内に、思いやりある周囲の方々、司書に支えられ、仕事に誇りを持てるようになった姿が良い。定年間近に世代の違う人との関わりについて悩んだりしたが、エンジニア時代に培った対人スキルと、司書の心温まる一言、移動図書館の認知度を高めたいという思い、利用者さんとの本などの話で交流を深めるのが良い。
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本屋さんを舞台にした成風堂シリーズの著者の最新作は移動図書館!
人生の酸いも甘いも噛み分けた?テルさんと、元気いっぱいの司書ウメちゃんのコンビが、移動図書館で体験する謎を解く!
本を介して人と出会ったり、めぐりんに置かれた紙袋の謎や、「モモ」を見てなぜ女の子は泣いたのか・・。土地も違えば利用する人も違う移動図書館の醍醐味を味わえます。正に一期一会な物語です。
また、テルさんは年齢を重ねただけではなく、サラリーマンの世界を体験しているからこそ、謎の裏に隠れた人間の心や苦しさ(失業したり、妊婦が会社で働くことの辛さ)を見れるのだろうな。違った世界に飛び込むのはとっても不安だけど、新しい価値観を持てるのが良いところ。色んな人がいるっていうことを知るのはだいじですね。