- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488028091
作品紹介・あらすじ
浪人生のくるみは「病み垢」で死にたいとツイートすることでストレスを発散していた。ある日、フォロワーからネット上の自助グループ〈銀色の国〉に誘われる。巧妙な仕掛けに毎日ログインするうちに、くるみは〈銀色の国〉にのめりこんでいく。一方、NPO法人で自殺防止に奔走する晃佑のもとに、思い出深い相談者が自殺したと悲報が届く。調査の末、晃佑はある恐ろしい事実に辿り着く。横溝正史ミステリ大賞受賞作家が放つ、衝撃のミステリ!
感想・レビュー・書評
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人の気持ちは複雑だ。相手がこういう状態だから、こういう言葉を投げかけなければ解決するというような、便利な公式はない。対話に失敗したときの無力感は、晃佑を引き潮のように迷いの沖につれていってしまう。(P.28)
人の話を〈傾聴〉するには、話の裏を読み本音を探ることが必須だ。普通の人間はなかなか自分の気持ちを把握しきれないものだし、できても伝える表現力を持っていない。
だが、〈傾聴〉しているから齟齬が起きているのではないか。
表面的な情報以外を考えているから、話が噛み合わないのではないか。(P.128)
大切にしていたものを捨てさせられたのだとしたら、感情のしこりが残っても仕方ない。しこりは成長して彼の中で腫瘍になってしまったのだろうか。(P.139)
日常という名の方程式が、翔太という変数の登場で思いもよらない数値を叩きだしている。(P.139)
死にたい。
洪水のように死にたさが高まった。立っていられなくて、ベッドに倒れ込む。死にたい。死にたい。希死念慮が鼠の群れのように頭の中を走り回る。
どうしてみんな嘘をつくんだろう。
勝手にカウンセラーを呼ばれたときもそうだ。お前が心配なんだ。そういう善意を盾にすれば、騙し討ちをしてもいいと思っている。尾行していないと嘘をついて、ずかずかと土足で踏み込んでくる。(P.147)
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自殺をテーマした作品
自死が隣り合わせになる瞬間なんて感じる事なんて出来ない。洗脳の怖さを思い知った。
闇には逃げて逃げて逃げまくれ。 -
最近のゲームの、グラフィックのすごさには、現実以上の陶酔感が呼び起こされる。
オープンワールドというのだろうか、作り込まれた街並み、昼と夜で変わる色合いの中を走り回っていると、この世界にいたいなぁとふと思ってしまう。
『銀色の国』。
もしも、自分が現実世界にほとほと嫌気がさしていて、鮮やかな景色と、自分の気持ちを汲んでくれるキャラクターたちがいる国に招かれたなら。
自殺にまで至らない、と言い切れただろうか。
作中には、ブルーホエールという有名な自殺教唆ゲームも登場するものの、私がゾッとしたのは、このゲームの作り手が用いたある洗脳方法だった。
北九州で起きた、一家が消された無残な事件を知っているだろうか。まさにその〈王様〉の姿が蘇る。
人間の気持ちなんて、いともたやすく操られてしまうものなんだろうか。
洗脳ではなく自分の意思だと言い切る登場人物たちを見ていると、どんなアプローチがあるのかなと考えてしまう。
虚構を上手く現実に引っ張ってくる小説だった。 -
現実にありそうで、結構怖い。
読みやすくて一気に読んでしまった。 -
プロローグが面白かった
結末が予想できちゃってたので
欲を言えばもう少し驚きがほしかったな