ボーンヤードは語らない

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 700
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028404

作品紹介・あらすじ

U国A州の空軍基地にある『飛行機の墓場(ボーンヤード)』で、兵士の変死体が発見された。謎めいた死の状況、浮かび上がる軍用機部品の横流し疑惑。ジョン少佐は、士官候補生時代のある後悔の念から、フラッグスタッフ署の刑事・マリアと漣へ非公式に事件解決への協力を依頼する。マリアたちは快諾するが、その陰には、ふたりの抱えるそれぞれの過去――若き日に対峙した事件への、苦い後悔があった。高校生の漣が遭遇した、雪密室の殺人。少女時代のマリアが挑んだ、ハイスクールの生徒たちを襲った悲劇。そして、過去の後悔から刑事となったマリアと漣がバディを組んだ、”始まりの事件”とは? 大人気シリーズ第4弾は、主要キャラクターたちの過去を描いた初の短編集!

感想・レビュー・書評

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  • マリアと蓮の過去の因縁の事件トリックも奇抜で面白い。マリアと蓮が刑事になった理由、親友や友人を救えなかった贖罪からであった。次の事件に期待

  • 短編集なのに本格ミステリーの完成度が高すぎます! マリア&漣シリーズ第4弾 #ボーンヤードは語らない

    ジェリーフィッシュ事件後のジョン少佐をメインとした物語他、マリアと漣の個々の事件、二人がバディを組むきっかけになった事件など4編の作品がはいったマリア&漣シリーズ第4弾。

    出来が良すぎっ

    ズバリ、最近のド本格ミステリーの短編集では一番と思えるほど完成度が高い。
    短編で本格を書こうとすると謎の深みが微妙だったり、背景描写が弱かったり、展開が単調だったりしがちなのですが、本作はどれも長編にできるような存在感があるものばかり。

    しかも各々の作品がしっかりと本格ミステリーで、解決されたときの納得感も激高です。そしてマリア、漣、ジョンも相変わらず人を惹き付けるキャラで描かれており、新喜劇を見ているようでニヤニヤが止まりません。

    また各短編のタイトルもエッジが効いていて楽しいですね。読んでみれば、どれも意味が分かります。

    ■ボーンヤードは語らない ★4
    軍隊の士官であるはずのジョン少佐なんですが、堅物な性格ぶりが何ともカワイイ!
    マリア&漣のカラミも最高!

    ■赤鉛筆は要らない ★5
    漣の性格と切れ味が垣間見える本作。足跡は件は唸った、スゴイ。

    ■レッドデビルは知らない ★5+
    完璧、100点。マリアの深層心理がガツンと描かれる超傑作。

    ■スケープシープは笑わない ★4
    切なくも事件解決に気丈に突き進む二人の心意気がかっこいい!

    もともと本シリーズのファンなので若干贔屓目ではありますが、それを抜きにしても★5レベルの完成度がある本格ミステリー短編集だと思います。まだ未読の方は、是非1作目のジェリーフィッシュから読んでみて欲しい。おすすめです!

  • 借りてきてから短編集という事に気がつく。ジョンの勤務地での変死や蓮の学生時代の古典推理小説的な話、今のマリアの原点ともなったと言うべき事件などこのシリーズ好きにはたまらない話ばかり。お気に入りはマリアと蓮顔合わせの物語。

  •  《マリア&漣》シリーズの第4巻で初の短編集、著者サイン本を入手。シリーズに登場するニッセン少佐、マリアそして漣が登場する。

     そして、これまでの長編とは趣を異にする。特にマリアと漣が、それぞれ高校生の時に遭遇した事件は、その後の彼らの運命を決定づけるものだった。「今度こそ傷ついた誰かを救えるように、あたしたちは警察官になったと」と。

     また最後の書下ろしは、「ジュリーフィッシュは凍らない」の直前の事件となっている。これは、これまでの長編と同じテイストかな。

  • マリア&漣シリーズ短編集。「ジェリーフィッシュ〜」直後のジョンが勤務地の空軍で起きた遺体の謎を二人に相談する表題作は、前提提示あったっけ?とちょっともやっとしたけど、後のマリアと漣のそれぞれの高校時代の話と二人のコンビを組んでの初事件はそれぞれシンプルながら綺麗にトリックが決まっているし、DVや人種差別が引き起こした事件の決着の付け方でより二人の人物像が明確になったので嬉しい。シリーズ番外編はこうでないと。漣の高校時代の雪密室「赤鉛筆はいらない」が一番好み。マリアの過去の事件の犯人、胸糞悪いのでこの後の話の何処かで因果応報な最期を迎えて欲しいんだけど。あ、ルームメイトのセリーヌがいい感じだったので再登場も希望。

  • このシリーズ初の短編集であり、マリアと蓮の学生時代のエピソードとあって期待が高まったのだけど、
    うーん…
    彼らは昔から変わらず、こういう雰囲気だったんだな。
    2人の性格や行動に、過去と現在で大きな違いはなく。
    過去の出来事をきっかけに、何かがすごく変わってたりすると意外性があって良かったんだけど。。
    もうあと少しだけ、深く!キャラクターの内面を深掘りしてくれたら、このシリーズをもっと楽しめそうな気がする。
    次作に期待!

  • 2021/10/27読了
    #市川憂人作品

    マリア蓮シリーズ第4弾。短編集。
    実質の第0弾か?
    2人が組むまでの過去の物語。
    マリアと蓮の魅力が詰まっている。
    長編ならではの重厚感はないが
    面白かった。


  • ジェリーフィッシュは凍らない
    ブルーローズは眠らない
    グラスバードは還らない

    シリーズ第四作目にして、
    マリアと漣、そしてジョンが出会う前の物語。

    ・ボーンヤードは語らない
    ・赤鉛筆は要らない
    ・レッドデビルは知らない
    ・スケープシープは笑わない

    型にはまらない、赤毛の悪魔マリアが
    どうして刑事になったのか、その過去が明らかに。

    そして、新着冷静な漣や軍人然としたジョンが
    マリアと出会う前の物語。

    ドロドロしたミステリーではなく、
    最後解決した後に、人の心の物悲しさや
    悲哀が感じられるミステリー。

    第5弾があれば、またぜひ読みたいです。

  • これまでのマリア&漣シリーズで1番良かった。

    赤鉛筆は要らない
    最後の九条の手紙でのどんでん返しが気持ち良くも、明かされた断罪の記録が切なさをはらんでて好き。読み終えた後にタイトルを見て「そういうことか〜」ってなるのがまた気持ちいい。異性の先輩から今日は泊まって行きなさいと驚きの提案をされるも、先輩の心情を察してスマートに対応する九条はさすが男前だ。

    レッドデビルは知らない
    これまた切ない。そしてヴィンセントはクソ野郎過ぎて、ホント地獄に落ちてもらいたい。ハズナとジャックが恋仲だったと警察から明かされた時は信じられなくて最後の最後まで懐疑的だったけど、結局真実だったのか。。。マリアにも秘密にしてたなんて、マリアはちょっと寂しかっただろうな。結局タイトルのレッドデビルは知らないってそういうこと?

    そしてスケープシープは笑わないに続く。。。作家さんってほんと上手くストーリー考えられるよなぁと感心する。おかげで読書体験を楽しませてもらってます!次の最新作も楽しみだ。

  • ジェリーフィッシュの前日譚がラストにくるマリアと漣の過去のお話。一作目はジェリーフィッシュの後かな。
    マリアと漣の過去に遭遇した犯罪はどちらもやりきれなく、だからこそ2人が刑事を目指した理由がよくわかる。
    ミステリーとしては科学的なトリックというよりアリバイや密室などわりとガチガチな感じが面白かった。

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著者プロフィール

1976年、神奈川県生まれ。東京大学卒。2016年『ジェリーフィッシュは凍らない』で、第26回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。他の著書に『ブルーローズは眠らない』、『グラスバードは還らない』(以上東京創元社)、『神とさざなみの密室』(新潮社)など。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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