にごりの月に誘われ

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 151
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028572

作品紹介・あらすじ

IT企業の会長・釜田芳人から自叙伝の代筆の依頼を受けた、フリーライター・上阪傑。余命半年だという釜田とは、以前支払いトラブルがあったのに再度依頼してくるのは何故なのか? 取材を進めるにつれ、これまで明かしてこなかった創業エピソードの連続に驚く、と同時にこの依頼の裏に何があるのか疑念は深まっていく――。吉川英治文学新人賞作家が描く、渾身のミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • IT大企業の創業者・釜田芳人が、余命六か月という時に自叙伝のゴースト依頼を上坂傑にするというところから物語は、始まる。
    以前にも三冊の著作を代筆した際に金銭でのトラブルがあり、断るつもりが…
    結局、病床にある釜田を訪ね、1日1時間という約束で仕事を受ける。
    取材を進めていくにつれ、驚きの真実が続々と出てくる。

    前半は、少々ありがちなこと…(今ならではのITに力を入れて、起業家になるまでのいきさつ等)
    なんて思いながらも中盤以降にはぐいぐいと引き込まれてしまう。
    ちょっと予想できなかった真実に驚愕する。
    個人的には、上坂傑に好感がもてなかったのが残念だった。

  • 途中までは何がどうなるのか疑問ばかりでした。
    ミステリーでも無いし企業小説でも無いみたいでした。
    疑問ばかりを感じました。
    でも途中から解答らしき物が見えて来ました。
    これが解答なのかと思ったら違ったんですね。
    良い意味で裏切られました。
    タイトルが意味深ですね。

  • 厚顔なカリスマ経営者と、売れないノンフィクション作家のテンション低いやり取りから、次第にギアを上げてきてどこを目指しているのか分からない話に夢中になっている自分が居ました。
    誰にでも若いころが有り、紆余曲折有りながら、知らないうちに人生も終局に近づいてあら不思議、いったい自分は何の為に色々なものを犠牲にしてここまで歩んできたのか。そう思う事もあると思います。
    そして誰かに自分の育てたものを託して、そこから新たな芽を伸ばして続いて行って欲しい。そう思う事がきっと普通なんだと思います。
    なるほどなるほどと読んで行って最後に梯子を外される感じ。何とも言えない読後感です。

  • 余命僅かなカリスマIT経営者からの謎深い自叙伝の代筆依頼に係るミステリ小説。
    二転三転の展開に引き込まれて、夜更かしをして一気に読みきった。
    ミステリとしてとても面白かったけど、後味は悪いような良いような何ともいえない感じである。

  • 過去、支払いでもめたIT企業の会長・釜田芳人から、フリーライターの上阪傑は、自叙伝の代筆を頼まれる。
    余命半年と言われる釜田は、自分の会社を存続させるために、創業からの未公開エピソードを上阪に語る。
    語りながら、別の話をパソコンで筆談する…
    弁護士、自分の息子などに別室から盗聴されていた為。

    最初に江古田で小さな会社を立ち上げたときの、病気で東工大を中退した親友。一番人間的にも、エンジニアとしても尊敬できる親友の息子に自分の会社を続けてほしい。
    その願いの裏には…

    帯にあるほど、驚愕のミステリー、というほどでもなかったけど、楽しめたかな。

  • 他の人の評価はイマイチだけれど、あまりないタイプのミステリーで良かったと思う。本を読む楽しさを久々に感じたストーリーだった。どんな人に出会いどんな言葉を頂くか、そんなことも感じた。釜田氏のゴーストライター上阪傑を中心に進む物語

  • 103企業の存続と親子のお話し。頭のいい人は色々考えてかえって墓穴を掘るんやなあ。この作者は心情や背景も丁寧に描いていて複雑な関係もスッキリと読めて嬉しい。次作にも期待です。

  • 文系ミステリ。なぜこの人物はこんな依頼をしたのか、を最後まで考えさせられることになる。トリックに凝った理系ミステリは文章力に難があることも多いが、本作は読みやすかった。
    途中では各「〇〇の章」が文字通り、作中作に収録されている章で、後継の正当化のために読者まで騙されているのではなどと疑ったりもしたが大外れ。故人の評価も含めていい感じに落着したので読後感もよかった。

  • そこまでやらなくても…

  • シナリオは悪くないですね。ゴーストライターを主人公として、余命わずかな経営者の隠された過去を掘り起こしながら書籍にする。経営者が多くを語らないので、自分で調査をしながら。
    そして現れる隠された事実。
    最後にこの経営者の息子が反乱を起こすのかと期待したらあっさりと合意してしまったあたりはちょっと物足りなかったですね。

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著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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