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- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488070885
作品紹介・あらすじ
ある炭鉱町に、ひとりの男がやって来る。水の循環の研究者だというその男は、小川の水を調べ、廃坑になった炭鉱や町の歴史に興味を持ち、骨董屋の女性アンナの心を奪いもする。まもなく、共同墓地の墓石が破壊され、図書館の本に酸をかけられる異様な事件が続き殺人事件まで起きる。そして住人たちが次々に正体不明の病に侵されていく。伝染病か、飲料水に投げ込まれた毒か? マコーマックらしさ全開の不気味な奇想小説!
感想・レビュー・書評
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二つの時間が別々のものであっても、二つのよく似た存在をどんな手立てを使っても結びつけようとするのが人間の性分。真実とは自分の見たいと思っているもののことだと繰り返し仄めかしてくる作品だった。作中人物の語りは状況に対して極端に口数が少ないのに、世界に対して言葉が余り続けている印象。主観的な言語で客観を俯瞰する視点で騙る人生と、曖昧で理不尽な因果の気配だけがある。真実という言葉を口にしたとき、その言葉が持つ虚構の猛毒で舌が腐り始めるのなら、霧に覆われた小さな町に立ちこめる臭いと同じの鼻をさす臭いがするのだろう。
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