孔雀の羽根 (創元推理文庫 119-4)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488119041

感想・レビュー・書評

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  • 繰り返される奇妙な殺人事件現場の謎を解くミステリ。密室の謎はもちろんとして、予告状に十客のティーカップという不可思議な謎がなんとも魅力的です。謎めいた秘密結社の影、というのもまあ面白そうではあるけれど、ティーカップの理由がただそれだけだったらいまいちかなあ、と思っていましたが。かなり論理的な要素だったので満足。
    例によりどの人を見ても怪しく思えてしまう……というわけで犯人は当てられなかったし。密室の謎もひたすら驚嘆するばかり、というより、これを見抜けというのはなかなかの難問では。

  • マスターズ警部のもとに届いた1通の招待状。ある空き家に10脚のティーカップが出現するーーそれは未解決に終わった密室殺人事件で届けられた手紙にそっくりであった。指定された家の屋根裏部屋には過去に事件と同じように10脚のティーカップが並べられていた。家と屋根裏部屋のドアを警官たちが監視する中、2発の銃声が。被害者は頭と背中を至近距離から撃たれて殺されていた、しかしその部屋に出入りしたのは被害者だけだった。

    伏線がどこにあったのか注釈付きの親切設計な解答編。

  • H・M卿シリーズです。
    トリックも凝っていますし、雰囲気も素晴しいです。
    2年前に起きた殺人事件と同じように、殺人の予告状がロンドン警視庁宛てに届きます。
    警察が厳重に監視する中、空き家に1人の男が入っていき、その直後に2発の銃声が鳴響きます。
    姿なき犯人の謎や十客のティカップの謎等、物語に引き込まれます。
    最終章に32の手掛かりがあるのも好ましいです。

  • カーター・ディクソン名義の作品を読むのは初めて。
    印象的な事件の割にストーリーは今ひとつ盛り上がりに欠けた気がする。
    それだけ謎解きがメインだったということだろう。
    実際トリックが暴かれた時になるほどーと感心したほど。
    (粗はあるけど)良くも悪くもカーらしい密室犯罪だと思いました。
    あと、H.M卿が地味に感じたのですが、それはこの作品だから?
    それとも他の作品でもこんな感じなの?

  • ちょっと冗長なところが難点。
    無駄な論争が多すぎません?
    冷たい女のわめきは読むのに疲れました。

    ただし、トリックだけは優秀。
    そういう風にはなかなか思いつきませんもんね。
    そう、あるものの別視点での使い方。
    なるほどなぁ、と感じました。

    H・M卿は出てきますが
    影が薄いです。
    サディスティックなのは相変わらずだけれども
    大人しめ。

  • 趣向、トリック、雰囲気すべてが高いレベルでまとまってる。どこまでもかっちり作りこんであって感動した。手掛かりを最後に32個挙げていくところなんかすばらしいことこの上ない。不満というか疑問点もないわけではないけど、十分に楽しかった。

  • 謎は今回も非常に魅力的で、カー独特のオカルト色は希薄だったが、相変わらず右往左往するストーリー展開に眩まされ、しばし五里霧中に陥った。

    読後、しばらくして色々考えると色んな瑕疵があることに気付く。それらを今から思いつくまま書いてみよう。

    今回のトリックは火薬がこびりついた死体から至近距離から撃たれたことによる犯行だということを利用した、離れた場所での殺人で、死体に火薬がこびりついた理由がまた強引。銃の空砲でもその衝撃で火傷するとは知らなかったが、これらの現象が奇抜すぎて偶然を多発しすぎだと思った。

    そして今回の事件の発端というのはそもそもキーティングなる若者がミセス・ダーウェントに遺産を相続すると遺言状に書いたことによるのだが、これもよくよく考えると不自然な感じがする。
    第一、独身男性が遺言状なんて書くだろうか?
    殺人の動機として考えられてはいるが、現実味がないように思う(それとも西洋では遺言状を若い時から書くのは普通の事なのか?)。
    それに加えて今回のサプライズの肝の部分とも云える、独身の時に作成した遺言状が結婚したときに効力を失うという話は本当のことなのだろうか?

    あと、カー版「人間椅子」(!?)には笑った。ある意味、伏線はあったけど、まさか本当にサプライズに使うとは思わなかった。

    前回の『パンチとジュディ』で推察した、カーなりの読者への挑戦状ではなかったのかについてはその推察が当たっていた事を本作において、更に補強することが出来た。

    章の題名に、「この章には、重要な記録が読者の前に提供される」なんて付いているのは初めてだし、しかも最終章に至っては32もの手掛かりについてそれぞれが文中で表現されているページ数まで記載する懲りよう。これはもう読者が云々というよりも、カーの向上心・サービス精神によるところだろう。

    しかし本作の事件を推理して当てられる読者がいるのかは不明。私個人としてはまず無理!カー、懲りすぎ!!

  • H・Mシリーズ

    2年前ダードリー殺人事件が起きた屋敷で殺人が起きるとの予告状。当時残された十客のティーカップが再び現れる。屋敷を張り込む刑事。現れ屋敷を買い取ったヴァンス・キーティング。密室で銃撃されたヴァンスの死体。ヴァンスが遺産を残した人妻。殺人ゲームに興じる人々。床に残った焼け跡。至近距離から撃たれたと思われる被害者。被害者が仕掛けた罠。知りすぎた従者の死。2年前の殺人事件の真相。

     2010年5月12日再読

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著者プロフィール

Carter Dickson (1906-1977)
本名ジョン・ディクスン・カー。エラリー・クイーン、アガサ・クリスティーらとともにパズラー黄金時代を代表する作家のひとり。アメリカ合衆国のペンシルベニア州に生まれる。1930年、カー名義の『夜歩く』で彗星のようにデビュー。怪事件の連続と複雑な話を読ませる筆力で地歩を築く。1932年にイギリスに渡り、第二次世界大戦の勃発で一時帰国するも、再び渡英、その後空襲で家を失い、1947年にアメリカに帰国した。カー、ディクスンの二つの名義を使って、アンリ・バンコラン、ギデオン・フェル博士、ヘンリー・メリヴェール卿(H・M卿)らの名探偵を主人公に、密室、人間消失、足跡のない殺人など、不可能興味満点の本格ミステリを次々に発表、「不可能犯罪の巨匠」「密室のカー」と言われた。晩年には歴史ミステリの執筆も手掛け、このジャンルの先駆者ともされる。代表作に、「密室講義」でも知られる『三つの棺』(35)、『火刑法廷』(37)、『ユダの窓』(38)、『ビロードの悪魔』(51)などがある。

「2023年 『五つの箱の死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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