黒のクイーン (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488160067

作品紹介・あらすじ

首と手を切りおとされ、ビロードにくるまれた死体。古都プラハでおきた連続殺人事件に、ウィーンの探偵ホガートが挑む。『夏を殺す少女』の著者が仕掛ける驚愕の真相とは?

感想・レビュー・書評

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  • 保険調査専門探偵のホガートは絵画消失事件の調査員が行方不明になった事件を調べるためにチェコに向かう。
    だがそこで、猟奇連続殺人事件に巻き込まれてしまう。

    ホガートが事件のヒントを掴むのが簡単すぎじゃね?とか、犯人像がありきたりじゃね?とか思うものの、ミステリ部分の仕掛けがおおっ!っと思わせるもので、概ね満足。
    脇を固めるキャラクタが生き生きしてるのもいい。
    ただ頻繁にホガートをボガートに空目して、何と無くトレンチコートなイメージがつきまとう読書でありましたw

  • (No.14-6) ミステリです。

    内容紹介を、表紙裏から転載します。
    『ウィーンに住むフリーランスの保険調査専門探偵ペーター・ホガートは、大手保険会社支社長からある依頼を受けた。
    ウィーンの美術館がプラハの展覧会に貸し出した絵画が消失。調査に派遣した絵画専門の調査員は、消失した絵画は刷りかえられた偽物だったとの報告を残し行方不明になった。その調査員を見つけ出して欲しいというのだ。
    プラハに飛んだホガートは、一人の女探偵(イヴォナ・マルコヴィチ)に出会う。彼女が調査しているプラハの連続殺人事件の話を聞くうち、ホガートはとんでもない事実に気付く。

    「夏を殺す少女」で衝撃的なデビューを飾った、オーストリア・ミステリーの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?』

    「夏を殺す少女」が面白かったので、これも読みました。前作と違って、ミステリというよりハードボイルドだと思います。ハードボイルドって久し振りに読んだわ。

    ホガートが私生活が寂しく一匹狼であることはハードボイルドの基本なのですが、理由がちょっと弱いかも。まだはっきり付き合ってもいなかった恋人にあっさり去られたから、私生活が寂しいというのは。
    でも以前仕事で大失態をしてしまいそれが気持ちの上で尾を引いていて、二度とそういうことはしないぞと思いながらもどんどん事件に深入りしていく様子は、おおやっぱりハードボイルド!

    イヴォナも厳しい過去を背負っていて、それが何なのかなかなか明かされないのですが、その影を感じることでホガートは惹かれていきます。

    舞台はほとんどがプラハ。私はプラハに対しては何となく暗い重苦しいイメージがあるのですが、この小説もそんな感じでした。

    そして・・・・、警察はかなり無能ですね。もっとしっかり捜査してればここまでのことにはならなかったのに。
    まあ、警察が有能だったら探偵ではなく刑事が主人公の小説になっちゃうかな。

    犯人がぼやっと分かり始めたころから物語が加速し、探偵たちと読者は同じ情報を共有するので「ああ、そうなんだ!」と一緒に驚けました。

    これ、映画化したら面白いだろうなあ。読みながら映像が目に浮かんできました。ラストに向けてハラハラドキドキの展開です。

    大変面白かったです。これはシリーズになっていてすでに2作目は本国で出版されているとか。
    早く翻訳出版して欲しいです。

  • オーストリアの作家「アンドレアス・グルーバー」の長篇ミステリ作品『黒のクイーン(原題:Schwarze Dame)』を読みました。

    『夏を殺す少女』に続き、「アンドレアス・グルーバー」作品です。

    -----story-------------
    保険調査専門探偵「ホガート」は顧客からある依頼を受けた。
    プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失、調査に派遣した絵画専門の調査員は行方不明になった。
    調査員の安否と保険詐欺のことを調べて欲しいというのだ。
    プラハに飛んだ「ホガート」は、そこで猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。
    首と手を切りおとしビロードにくるんだ死体の謎。
    『夏を殺す少女』で衝撃のデビューを飾った、オーストリア・ミステリの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?  
    訳者あとがき=「酒寄進一」
    -----------------------

    2007年(平成19年)に刊行された作品… 翻訳されたのは『夏を殺す少女』の方が先ですが、実際に刊行されたのは本作品の方が4年早いようですね、、、

    『夏を殺す少女』は、二人の主人公の視点からの描き方、視点の切り替えタイミングが絶妙だったし、スピード感もあって、素晴らしい作品だったので、それに比較すると物足りなさがあるのは事実ですが… 事件を解決に導こうとする男女二人の探偵の魅力は劣っていなかったし、複数犯による猟奇的な殺人事件の真相も意外で、ミステリ作品を手掛けることになった初期(もしかしたら初?)の作品としては評価できるんじゃないかと思いましたね。


    ウィーンに住むフリーランスの保険調査専門探偵「ペーター・ホガート」は、大手国際保険会社支社長「ヘルムート・ラスト」からある依頼を受けた… ウィーンの美術館がプラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失、調査に派遣した絵画専門の調査員で「ラスト」の姪「アレクサンドラ・シェリング」は、焼失した絵画はすり替えられた偽物だったとの報告を残し行方不明になった、、、

    その「シェリング」を見つけだしてほしいというのだ… プラハに飛んだ「ホガート」は、ひとりの女探偵「イヴォナ・マルコヴィチ」に出会う、、、

    彼女が調査しているプラハの連続殺人事件(ビロード殺人事件)の話を聞くうち、「ホガート」は被害者のうちの一人が「シェリング」ではないかと疑い、「イヴォナ」や彼女の弟「オンドレイ」、その相棒「イジー」等と事件の真相を追う… 「ホガート」は、遺体に残された手掛かり等から、二人の犯人がプラハの街をチェスボードに見立ててチェスのプレイを再現しながら犯行を続けていると推理し、伝説的なチェスプレイヤー「ヒエロニムス・ヴェセリー」の力を借りながら、次に狙われる人を推理していく。
     
    そして、ビロード殺人事件の最初に被害者「ハナ・ザイツォーヴァ」の周辺を洗い直すうちに、「ザイツォーヴァ家」の忌まわしい事実を知り、「ザイツォーヴァ家」の次男「ミーハ・ザイッチ」が事件に関わっているにではないかと疑いをもつ… もう一人の容疑者として魚市場の鮮魚店店主「アントニン・ロメグ」が浮上、犯行は「ミーハ」と「ロメグ」によるものなのか!?絵画のすり替え事件は解決できるのか!?

    終盤、「ホガート」と「イヴォナ」が犯人を追い詰め、人質をとった犯人と対峙… そして、「ホガート」と「イヴォナ」が正しいと信じる行動に出て、事件を解決に導く展開は一気読みでしたね、、、

    「ホガート」を主人公とした物語は、本国では続篇が刊行されているようですが、日本語に翻訳されていないようなんですよね… 翻訳される日を心待ちにしています。


    以下、主な登場人物です。

    《ウィーン》

    「ペーター・ホガート」
     フリーランスの保険調査専門探偵

    「ヘルムート・ラスト」
     保険会社メディーン&ロイドのウィーン支社長

    「コールシュミット」
     保険会社メディーン&ロイドの外勤課課長

    「ヴァルター・ゼードラック」
     保険会社メディーン&ロイドの保安課課員

    「アレクサンドラ・シェリング」
     保険会社メディーン&ロイド専属の美術品の保険調査専門探偵

    「クルト」
     ホガートの弟

    「エーファ」
     ホガートのもと恋人


    《プラハ》

    「ウラディーミル・グレコ」
     暗黒街のボス。別名"プラハの王"

    「アンナ」
     グレコの娘

    「ディミトリ」
     グレコのボディガード

    「トマーシュ」
     グレコのボディガード

    「イヴォナ・マルコヴィチ」
     私立探偵

    「オンドレイ」
     イヴォナの弟

    「イジー」
     オンドレイの相棒

    「ヤロスラフ・ザイッチ」
     ドイツ大使館の参事官

    「ハナ・ザイツォーヴァ」
     サイッチの妻。ビロード殺人事件の最初の被害者

    「ロマン・コジツェ」
     ザイッチの長男

    「ミーハ・ザイッチ」
     ザイッチの次男

    「ヒエロニムス・ヴェセリー」
     伝説的なチェスプレイヤー

    「エヴジェン」
     ヴェセリーの妻

    「ヤン・プリーコパ」
     国立美術館の展示品の監視員

    「アントニン・ロメグ」
     魚市場の鮮魚店店主

    「ヤン・モラク」
     殺人課の主任捜査官

    「トマーシュ・ノヴァチェク」
     殺人課の警部

    「スヴァテク」
     殺人課の刑事

  • 名画の焼失事件が徐々に連続殺人事件とリンクしていく展開はよくできている。様々なキャラが絡み事件の謎が広がっていくプロット、プラハという東欧の陰影のある街の描写も魅力がありラストまで一気に読める。
    ただ、名画焼失の方が物足りないし、キャラやそこに付随するドラマも少し大仰な作り物っぽいところは残念。

  • 「夏を殺す少女」の作者の作品。
    上記に比べるとテンポなど悪い印象。
    推理についてもちょっとご都合主義な感じが。
    一番残念だったのはタイトル。
    原作はどうかわからないが、このタイトルでなんとなく展開がわかってしまった。
    3部作とのことで次作の邦訳に期待。

  •  夏を殺す少女のグルーバーによるウィーンの保険調査探偵ホガートもの。舞台はプラハで有名絵画にまつわる保険金詐欺事件の調査から連続猟奇殺人事件に巻き込まれる。私立探偵イヴォナと知り合って警察とは独自に動き回り事件を解決するのだが、筋書きは雑というかご都合主義的で、三流ドラマを見せられているようだ。てっとり早くでっち上げたようにしか見えない。才能はあるのだろうからもう少しまじめにていねいに作品を仕上げてはどうだろうかね。救いがあるとすればホガートがちょっと軽すぎるきらいはあるがまずまずの造形なのとプラハの魅力的な街の様子だな。

  • 舞台のプラハが魅力的であるがそこに登場する人物はチェコ人というよりドイツ人のように思える。でもこの作者をもう少し読みたいとは思わせてくれる。

  • 保険調査専門探偵ホガートは顧客からある依頼を受けた。プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失し、調査に派遣した調査員が行方不明になった件を調べてほしいというのだ。プラハに飛んだホガートは、死体の首と手を切りおとしビロードにくるむ、猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。『夏を殺す少女』で衝撃のデビューを飾った、オーストリア・ミステリの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?

    ミステリとしては、初めての作品のようだ。構成はそれほど技巧を凝らしてあるわけではなく、ひたすら直線的に物語が進む。結末が見え見えだったので、星三つ。

  • 『夏を殺す少女』と犯人の属性が同じ・・・またそのパターン?
    ちなみに、主人公とヒロインも何となく似ている。
    推理をほとんどしてない。流れに沿っているだけ。
    動機などもなんかこじつけっぽい。
    せっかくのプラハの舞台はあまり生きていない。
    面白くなくはないけど、なんかモヤモヤ。
    あと、プラハの警察って本当にこんなにショボいの?

  • 歴史が色濃い影を落とす魅惑の街プラハ。
    その街を舞台に美術や映画、チェスが絡んだ事件を追う主人公たち。
    人物造形はなかなか魅力的で舞台設定はかなり好みなのだが、どれも今ひとつ中途半端な印象が拭えない。面白くない訳ではないのに、要素ひとつひとつが掘り下げ方が足りないまま無理に繋ぎ合わせた大味なエンターテイメントミステリといったところ。事件の真相も想定内で捻りはない。
    3部作ということなので今後に期待したい。

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