8つの完璧な殺人 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488173098

作品紹介・あらすじ

ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは10年前、犯罪小説史上もっとも利口で、もっとも巧妙で、もっとも成功確実な“完璧な殺人”が登場する8作を選んで、店のブログにリストを掲載した。『赤い館の秘密』、『ABC殺人事件』、『見知らぬ乗客』……。捜査官によると、それら8つの作品の手口に似た殺人事件が続いているという。犯人は彼のリストに従っているのか? ミステリーへの愛がふんだんに込められた、謎と企みに満ちた傑作!

感想・レビュー・書評

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  • ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは以前”完璧な殺人”が登場する犯罪小説8作を選んでブログにリストを掲載していた。
    ミルン『赤い館の秘密』クリスティ『ABC殺人事件』、ハイミス『見知らぬ乗客』…。捜査官は、それら8つの作品の手口に似た殺人事件が続いているというが…。
    ミステリーを心から愛する著者が贈る傑作!
    ー文庫うらすじより。



    『そしてミランダを殺す』、『ケイトが恐れるすべて』などで一躍ミステリ界に躍り出たピーター・スワンソンの作品です。前2作はとても心理的に怖い作品だと思いましたが、この小説はそれほど怖くはありませんでした。

    ブログのリスト通りに殺人事件が起こっていきます。
    8つの小説の中で私が既読だったのは『ABC殺人事件』『アクロイド殺害事件(アクロイド殺し)』のみでした。

    一番重要と思われるのは『アクロイド殺し』です。8つの作品を未読の方はネタバレがありますので気をつけてくださいと書かれていますが、『アクロイド殺し』は読んでから読んだ方が面白いと思います。

    あまり怖くなかったかわりにオマージュ作品としては傑作なのかもしれません。
    この本、ビブリオミステリーだと思って私は読み始めたのですが、やっぱり本当に殺人が何件もあると、いつものビブリオミステリーとは勝手が違って残虐だなあと思いました。

  • 「完璧な殺人8選」というブログ通りに事件発生… ミステリを愛するが故のミステリ #8つの完璧な殺人

    ■あらすじ
    「完璧なる殺人8選」という書評ブログ記事。小説に書かれてる殺害方法で実際の事件が発生する。古書店を営むブログ作成者とFBI刑事が捜査を始めるのだが、店主は被害者のひとりに覚えがあって…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ミステリー好きであればあるほど面白い!

    これまたスゴイ本ですね、サスペンスの名手がやってくれました。いつも鋭角な角度でプロットを切り刻んでくるスワンソンが、この「ミステリー」というテーマでどう料理するのかが気になってたんですよね~

    エンタメとしてもミステリーとしてもよくできているんですが、実は中盤辺りから、この物語は「アレ」がやりたいんじゃないのか…?と予想がついてくるんです。

    違うのだろうか? そうだすると、どう整理して結末を持っていくのだろうか… なーんて、少しドキドキして読んでました。さて結果は…言わないでおきますが、皆さんも読んみるとなんとなく私の言いたいことは分かるはず。

    さて物語の中身としては、思った以上にダークなんです。FBIの女性刑事がひた向きで可愛いし、ビブリオものだからゆるめのお話かなーと思っていると、とんでもない。
    名作を懐かしむだけでは事は収まらず、次々に犯罪が発生するし、動機も人間関係も闇の奥底が深すぎるんですよ。そして一番強烈なのはやっぱり犯人で…ひぇぇぇ ぜひお楽しみください。

    なお本書の最序盤にも書かれていますが、名作のネタバレが前提の物語になっています。あまりに有名な2作品(ミステリ好きなら誰でも知ってる、タイトルすら有名な作品)だけは、読んでおくようにしたほうが後悔がありませんよ。

    ■ぜっさん推しポイント
    本作の大好きな点としてもうひとつ。本全体からミステリーや読書に対する恵愛が端々から伝わってくるんです。〇〇8選とか、〇〇ベスト10なんて、まさにミステリーや読書マニアがやるようなこと。私みたいな素人でも頭を巡らしたりしてNoteに書き綴っちゃったりするので、思わず愛着がわいちゃうんですよね。

    また本書に好きな一節があるんです。
    本書引用:読書はタイムトラベルだ。様々な時代のその人へ連れ戻すことができる。

    おすすめ推理小説のブログ記事をみて『十角館の殺人』を初めて手に取った私は、まだ独身で生活も安定していませんでした。冬になると隙間風が入った実家の自室に引きこもり、これからの人生を変えてしまうミステリー体験をすることになるのです。

    あれから二十年… 変わったことも、変わらないこともありました。ただ今日、また新しい読書体験ができたよと、家族に話せるようになったことが一番の変わったことだと思ったのです。

  • 「そしてミランダを殺す」の著書ピーター・グライムズスワンソンの新作であるということで、読んでみた。8つの実際のミステリーの模倣犯だろうかと思いつつ読み進めた。この中のアガサクリスティーは読んだことがあるが、その他「見知らぬ乗客」を読んだことがなく、今度読みたいと思う。

  • <完璧なる殺人8選>を模倣した殺人事件が...。
    クリスティとハイスミスへのオマージュですね。
    ミランダもケイトもアリスもダスティンも複数の視点で話が進むが、今回はマルコムの視点のみで話が進んで…。いつもと同じく緊迫感がどんどん増していきます。
    最近、古典へのオマージュが多いですが、名作はいつまでも魅力的なのでしょうね。

  • 題名にもなっている”8つの完璧な殺人”は
    実際に存在する作家のミステリー小説。
    なのでこの作品内ではその内容や結末が語られるので、
    それを知りたくない!という方にはこの本はお勧めできない。

    わたしの場合、原作を知っていたのは数冊だったのだけど、それよりもこの本を読みたい、という気持ちの方が強かったので、読むことを選んだ。
    でも、意外や意外。
    知ってしまったあと、逆にその未読の原作が気になり
    読みたくなってる。
    作者のピーター・スワンソンは、もしかして
    そういう読者が出て来ることも計算済みだったりして。。

    お話の方はのっけから引っ掛かりを感じる作りになっていたり(8つの完璧な殺人、というタイトルの前に、
    もう一つタイトルがある…)、主人公の店主のモノローグがなんとも不安を誘う感じで、何を信じて良いのかわからないまま、クライマックスへ。
    そんな中、主人公の書店の男女2人の店員が終始マイペースなのが心地よく、女の子の方は大好きな「ポー&ティリー」シリーズのティリーを彷彿させ、めちゃくちゃ和んだ。

  • Book Review: EIGHT PERFECT MURDERS by Peter Swanson — Crime by the Book
    http://crimebythebook.com/blog/2020/2/29/book-review-eight-perfect-murders-by-peter-swanson

    Web東京創元社マガジン : ピーター・スワンソン
    http://www.webmysteries.jp/tag/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3

    8つの完璧な殺人 - ピーター・スワンソン/務台夏子 訳|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488173098

  • 書店を営む主人公のマルコムが、書店の宣伝の為にブログにアップした『8つの完璧な殺人』というリスト。
    完全犯罪を謳うそのリストと、実際の事件の関係性に興味を持ったFBI捜査官がマルコムを訪ねてくるところから物語が動き出す。

    疑問点や不審なところが次々と出てくるし、展開の予想も立てやすかった。
    『8つの完璧な殺人』リストに載っていない小説が登場するのだが、その小説がこの物語の本質のような気がした。

    8つの小説のうち、『見知らぬ乗客』以外は未読だったので、他の作品も読んでいれば更に楽しめたかもしれないなと思った。

  • 少し自分の肌に合わなかったかも。

    色々腑に落ちない表現や展開があり、自分の中でしっくりこないことが多かった気がする。
    話の流れもフラフラしていて、気がついたらなんとなくオチがつけられた感がある。

    集中できる環境で読めなかったため、そんな感想になるのかもしれないが、相性があまりよくなかったんだろうと思う。

  • 回想録とあるように、一人称の叙述で、「信頼できない語り手」を想起させる。

    引き算していけば、犯人の見当はついてしまうのだが、その人についてはほとんど語られていないので、ちょっともやもやする。
    主人公も共感できるキャラではないし…

    ただ、ミステリ好きとしては、作中に名前が挙げられている作品にはやはり興味を引かれてしまう。

  • ミステリー専門店の店主マルコムのもとにFBI捜査官グウェンが訪れる。最近起きている何件かの殺人事件が、マルコムが以前ブログに載せた「完全なる殺人8選」の内容通りに起きている、というのだ。

    さらにマルコムの店の常連~しかも難癖をつける客だった女性が殺され、マルコムは自分を知っている者が小説なぞり殺人の犯人ではないかと疑い出す。そして読み進めるうちに、マルコムにもグウェンにも隠された過去があることがわかる。ここらへんの過去はうまくつながり過ぎ、という気もしないではない。

    8つの有名なミステリ小説のほかに文章にまざって実にたくさんのミステリが登場する。3割くらいしか読んでない気がするが、題名をみているだけで楽しい。特に鍵となる「見知らぬ乗客」は小説は読んでないが映画を見ているので映画の場面などを想像しながら読んだ。でもこの小説では現在が舞台なのでメールやネットページなどがふんだんに登場する。しかしマルコムの性格って・・ 

    「赤い館の秘密」A・A・ミルン
    「殺意」フランシス・アイルズ(アントニイ・バークリー)
    「ABC殺人事件」アガサ・クリスティ
    「殺人保険」ジェイムズ・M・ケイン
    「見知らぬ乗客」(小説および1951年の映画)パトリシア・ハイスミス
    「The Drowner」邦訳なし ジョン・D・マクドナルド
    「死の罠」(戯曲、邦訳なし および1982年の映画「デストラップ死の罠」)アイラ・レヴィン
    「シークレット・ヒストリー」(別題「黙約」)ドナ・タート
    「アクロイド殺人事件」アガサ・クリスティ


    2020発表
    2023.8.10初版 2023.9.29第3版 図書館

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