ピーター卿の事件溥―シャーロック・ホームズのライヴァルたち (創元推理文庫)
- 東京創元社 (1979年3月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488183011
感想・レビュー・書評
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セイヤーズ初体験である。
本作は当初 “シャーロック・ホームズのライヴァルたち”と銘打った東京創元社の企画物の1つで独自で編んだ短編集であったらしい。それが長年に渡って繰り広げられ、そして今も継続中のセイヤーズ完訳の第一歩となるとは不思議なものである。
正直な感想を云えば、驚きました。
島田荘司氏が本格の定義として提唱している「冒頭の怪奇的・幻想的な謎、そして後半の論理的解明」を正に実践しており、こんな本格が過去、西洋にあったのかと再認識させられた次第。ドッペルゲンガーに悪霊憑き、そして首のない馬車とゴシック風味満載である。色々読みこなした現代においてはそれらの結末は想像の範疇で瞠目させられるものではないにしろ、これほどのものがまだあったことが素直に嬉しい。
全体的に好印象だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり不思議な謎が提示されるが、真相の一部に関しては予想しやすい話が多い。
しかしながら、それぞれ工夫があって、面白い。
「鏡の映像」
これだけ「世にも不思議な物語」の真相は、これしかないだろう。
「ピーター・ウィムジー卿の奇怪な失踪」
話が急に切り替わるところがある。そこがちょっとわかりにくい。
「盗まれた胃袋」
胃袋を遺産として残した男の謎。
「完全アリバイ」
アリバイトリックの方法に関しては概ね予想どおり。
「銅の指を持つ男の悲惨な話」
マリアの身体的特徴がうまく真相に活かされている。
「幽霊に憑かれた巡査」
このようなトリックで、本当に人をだますことができるのか、疑問ではあるが。
「不和の種、小さな村のメロドラマ」
ピーター卿はある人物に利用されそうになるが、……。 -
おもしろい!
特に最後の『不和の種、小さな村のメロドラマ』がよかった。 -
ピーター卿の活躍する短編集です。
全7編が収録されています。
ハリエットが出ている話はありますが、バンターの出番がないのが残念でした。
「幽霊に憑かれた巡査」が特に気に入りました。 -
ピーター卿の活躍する短編集。何気ないことからはじまる謎解きが多く、短編ならではのお楽しみ。
巻末にウィムジー卿の経歴紹介と、セイヤーズについての解説が添えられていてそれもまた楽しい。 (2002-01-19)
[鏡の映像] 夢遊病で意識のないうちに何をしているのかと悩む男の話を聞いてやったピーター卿。とうとう殺人の罪に問われることになった男だが、その話からピーター卿は驚きの事実を指摘する・・・。
今となってはミステリィの中では使い古されたネタと言ってもいいかな(笑)
[ピーター・ウィムジー卿の奇怪な失踪] またもある男の話から、残虐な企みを知るピーター卿。芝居がかった演出で、捕らわれの女性を救出する…。真相はあまりに残虐。
収録作品 [鏡の映像] [ピーター・ウィムジー卿の奇怪な失踪] [盗まれた胃袋] [完全アリバイ] [銅の指を持つ男の悲惨な話] [幽霊に憑かれた巡査] [不和の種、小さな村のメロドラマ] -
短編集。ハリエットさんちょい出番あり。バンター出番なし。
この短編集内でのハリエットさんの立ち位置を知ってしまうと今後のお楽しみ半減なので、この短編集を初読みするのは他の長編を先に読んでからの方が良いのかなぁ。たぶんそうだろうなぁ。
訳者が上手なのか、原文が上手いのか、ピーター卿モノは海外古典の中では非常に読みやすい。
英語力がアップしたらいつか原書でトライしたい作家です。 -
高校生?のはず(大学生かも…。
「ホームズの次はピーター卿だ! かっこいい!」と思ったのもつかの間、
短編2作目で、既婚者だと知ってがっくりした思い出が。 -
①
ガーキンがね、かわいいです。
ピーター卿とハリエットのその後、なんてのも、いいです。
でも、この本買った頃は、はっきり言ってどーでもよかった。ずるずるとシリーズを読んでいくうちに、「「雲なす証言」あたりではまったんだったか、「ナイン・テイラーズ」あたりではまったんだったか。
イギリスに、はまるあまり、ヒストリカル・ロマンスにまで手を出して・・・。そうか、ここら辺が転落の第一歩だったか。 -
『奇怪な失踪』が好きです。
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『銅の指を~』が一押しかな。手軽に読めます。番外編の雰囲気が色濃いですね。