忘れられた花園〈下〉 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488202064

作品紹介・あらすじ

祖母から英国コーンウォールの崖の上にあるコテージを相続した孫娘カサンドラは、祖母ネルの書き残したノートと謎めいた古いお伽噺集を手に英国に渡る。ネルはなぜ遠い地にコテージを買ったのか? ネルはいったい誰だったのか? 今はホテルとなった豪壮なブラックハースト荘、その敷地のはずれ、茨の迷路の先にあるコテージの手入れを進めるうちに、カサンドラは封印された庭園を見出す。そしてブラックハースト荘の秘密とは……? 解説=川出正樹

感想・レビュー・書評

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  • 過去と現在を行ったり来たり、ゆるゆると過去を辿るのかと思いきや、色んな伏線はられていて、更にそれらが実にキレイに回収されていくので気持ち良い。いやまぁ分かってしまえばそれまでなんだけど、単にこうでした、ではつまらん訳で、語り部の上手さってことなんだろうなぁ。
    けっこう登場人物は多い気もするけど、自分としては関係性を理解できるのにギリギリってところで、それも良かった。
    いやしかし英国の貴族はたいがい碌でもない感じで描かれることが多くてどんどん脳内で偏見が育っていくよ。

  • (上巻より)

    22歳の時に、自分の子供ではないと父親に告げられ、
    婚約を解消し、それまでの人生に背を向けたネル。
    そのネルが、自分の出生を探しに訪れた秘密の花園にいた少年に、
    ネルの足取りを追ってきた孫がめぐり合う。
    ちょっとご都合過ぎると思いながらも、良かった。

    自分や祖母の過去を追う謎解き自体も面白かったが、
    挿入されたおとぎ話が美しい。
    その美しさがこの物語の核だろう。

  • オーストラリア出身でイギリス在住の作家「ケイト・モートン」の長篇ミステリ作品『忘れられた花園〈上〉〈下〉(原題:The Forgotten Garden)』を読みました。
    「ダフネ・デュ・モーリア」の後継者… 21世紀の「ダフネ・デュ・モーリア」… 等々のキャッチコピーが気になり、読んでみることにした作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    1913年オーストラリアの港にたったひとり取り残されていた少女。
    名前もわからない少女をある夫婦が「ネル」と名付けて育て上げる。
    そして2005年、祖母「ネル」を看取った孫娘「カサンドラ」は、祖母が英国、コーンウォールにコテージを遺してくれたという思いも寄らぬ事実を知らされる。
    なぜそのコテージは「カサンドラ」に遺されたのか? 
    「ネル」とはいったい誰だったのか? 
    茨の迷路の先に封印された花園のあるコテージに隠された秘密とは?

    〈下〉
    祖母から英国コーンウォールの崖の上にあるコテージを相続した孫娘「カサンドラ」は、祖母「ネル」の書き残したノートと謎めいた古いお伽噺集を手に英国に渡る。
    「ネル」はなぜ遠い地にコテージを買ったのか? 
    「ネル」はいったい誰だったのか? 
    今はホテルとなった豪壮なブラックハースト荘、その敷地のはずれ、茨の迷路の先にあるコテージの手入れを進めるうちに、「カサンドラ」は封印された庭園を見出す。
    そしてブラックハースト荘の秘密とは……? 
    解説=「川出正樹」

    *第3回翻訳ミステリー大賞受賞作
    *第1位 第3回 AXNミステリー「闘うベストテン」(2011年)
    *第7位『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇
    *第8位〈週刊文春〉2011ミステリーベスト10 海外部門
    *第9位『このミステリーがすごい!2012年版』海外編

    ●数々の書評から

    魔力に満ちた一冊――ニューキャッスル・ヘラルド
    最後の最後に明かされる真実。驚愕の真相とはまさにこのこと――カーカス・レビュー
    読者を別世界に誘う壮大で豪奢な作品――NYデイリー・ニュース
    「モートン」は読者を時に驚かし、時に当惑させ、そして徹底して楽しませてくれる――スター・テレグラム
    あざやかな筆致、堪能すること間違いなしの作品――デイリー・エクスプレス
    「ダフネ・デュ・モーリア」の完璧なまでの後継者――ル・フィガロ
    -----------------------

    2008年(平成20年)に発表された作品で、「ケイト・モートン」の長篇第2作目にあたる作品です、、、

    舞台はオーストラリアそしてイギリスのロンドンやコーンウォール、時代は1800年代終盤から2005年と、舞台と時代を行きつ戻りつしながら、空間的にも時間的にも大きな広がりをの中で、自らの、そして祖母の出自の謎を解き明かす物語… 面白かったです。


    第1次世界大戦前夜の1913年、オーストラリアの港で、ロンドンから着いた船の乗客が去ったあと、たったひとり取り残されていた少女を港の職員が見つけ、自宅に連れ帰ることに… 小さな白いトランクと少女、トランクの中身はわずかな身の回り品と、お伽噺集『少年少女のための魔法のお伽話集』が一冊、、、

    名前も思い出せないらしいこの少女を連れ帰った職員は、妻とふたりで彼女を「ネル」と名づけて育てることに… その後、妹たちが生まれ、長女として明るく育った「ネル」が21歳になった夜、父親は彼女に真実を告げる。

    「ネル」は、自分が何者であるのかがわからないという驚愕から、心を閉ざし、人が変わったようになってしまう… 時は流れ2005年、祖母「ネル」を看取った孫娘「カサンドラ」に、祖母の友人が驚くべき知らせを持ってくる。

    「ネル」が彼女にイギリスのコーンウォールにある小さなコテージを遺してくれたというのだ… なぜ、祖母はそんなコテージを持っていたのか? いつ手に入れたのか? 祖母の遺したノートと、かたみの古びたお伽噺集を手に、彼女はコーンウォールを訪れる、、、

    コテージは、今はホテルとなった豪壮な館・ブラックハースト荘の敷地のはずれ、崖の上にあった… そして、そこには茨の迷路と、閉ざされ忘れられた花園が……。

    「カサンドラ」の祖母「ネル」はいったい誰だったのか? 「ネル」はブラックハースト荘とどんなつながりがあったのか? 幾重にも重なる謎を解き明かすことはできるのか!?


    1880年代から1913年に至る時間内では名門「マウントラチェット家」にまつわる物語が、主に一族の女主人と娘、そして当主の姪「イライザ」の視点から描かれ、1975年前後の時間内では「ネル」によるロンドンとコーンウォールでのルーツ探しが描かれ、2005年前後の時間内では「ネル」の死後、白トランクは孫「カサンドラ」へと受け継がれ、彼女は祖母の謎を解くべく渡英して謎を解き明かそうという姿が描かれ… という3つの物語が、1つの物語として編み込まれていく展開が愉しめました、、、

    「ネル」が辿り着いた真実… 「カサンドラ」が辿り着いた真実… それは、ちょっとだけ違う部分もあるのですが、読む側は全ての真実が理解できる展開となっており、モヤモヤ感がなくスッキリとした読後感が味わえました。

    凶悪な殺人事件やトリックを活用した盗難事件は起きず、自分のルーツを探るという地味なテーマにも関わらず、最初から最後まで読者の興味を惹きつける展開でしたねー

    「ネル」は誰と誰の子どもだったのか?

    「ネル」の本当の名前は?

    誰が何の目的で「ネル」を屋敷から連れ出したのか?

    なぜ、その人物は「ネル」をオーストラリア行きの船に乗せたあと消えてしまったのか?

    なぜ、その後、誰も「ネル」を捜しにこなかったのか?

    全ての謎が解けたときのスッキリ感は、何とも言えませんでしたね… ホントに面白かったです。

  • 再読!
    三つの時代を行ったり来たり。
    闇のロンドン市中やコーンウォールの蔦に囲まれたお屋敷や庭、既視感たっぷりなのに何度ページを捲っても新しい。

    私にとって一生モノの本です。

  • 祖母は誰なのか、なぜひとりで船の中にいたのか?すべてが明らかになる下巻。
    祖母の境遇に涙し、ある人物に腹を立てながら、一気に読みました。
    ラストの過去エピソードは、どれも胸がつまり、ひとつずつ噛みしめながら読み進めました。

  • このミス海外編2012年版9位、本屋大賞翻訳小説部門2012年3位。
    長い、長すぎる。
    800頁ぐらいの長編。祖母の出生の秘密の調査が主題。
    祖母は孫ができたころに一度、自分の秘密を調べてあり程度真実に行きついたもののをれを誰にも伝えてない。祖母が死ぬときにヒントを孫に残し、そのヒントをもとに孫が独自に調査する話。
    何十年、何百年も昔のことを調べるのだから展開はが遅くまどろっこしい。ミレニアムの最初の方のもどかしさがずっと続く。
    綺麗な女性がいっぱい出てくるのは良いのだが。。。

  • 下巻になると、ネルの出生の謎もいろいろわかってくるので、ページをめくる手が早くなります。

    現時点での2005年、ネルがオーストラリアに着いた2013年、21才の誕生日の1930年、ネルが孫と暮らし始める1975年、ロンドン1900年、ブラックハースト荘1900年、ブラックハースト荘1907年、と行きつ戻りつしつつ物語は進む。

    早川海外ミステリハンドブック2015:時代を作る・作った新世代ミステリ

    2008発表
    2011.2。25初版 2011.10.20第5版 図書館

  • 秘密を先に読んだけど、建て付けとテイストは共通している。祖母が道半ばだった自分探しの旅を孫が引き継ぐ話で、20世紀初頭のパートは、ダウントン・アビーを想起する情景たっぷり。3つの時代の独立したストーリーが交互に語られ、それぞれが上手に絡み合い、読んでいても違和感ない。挿入される童話も効果的で素晴らしい物語だった。ラストサプライズは秘密のような爽快感はないが、物語としてはこの作品の方が優れていると思った。だけど、訳者あとがきはいただけない。注意書きはあるけど、ここまでネタばらしする意味がどこにあるのだろう?

  • それにしても、

    ■………不妊症のローズが旦那をけしかけてイライザに赤ちゃんを作らせようとする。旦那とイライザは同意して言われるまま夜な夜なセックスする。イライザが出産すると、ローズは赤ちゃんを自分のものにしてイライザを屋敷に近づけなくする。イライザはお腹を痛めた赤ちゃんをローズに喜んで差し出しておいたうえで、コテージに引きこもって創作童話に本腰を入れる。
    ……ってこの展開、どうよ? 
    ■………ローズのおとんとおかんの人間性、これどうよ?
    ■………「老婆の眼玉」っていう童話も、どうよ?
    ■………この作者が「デュ・モーリアの後継」って、一体それどうよ!?

  • 時を超えた秘密。
    ドロッとした昼ドラ感もありつつ、ミステリーを貫いてくれた。劇的なトリックがあるわけではないが読みごたえがあった。
    とても長く濃密な時間を過ごさせてもらった。
    100年近く前の家族の謎をひ孫が解き明かしていく。
    その答えは秘密の花園に。
    なんという恍惚感。魅力的な物語でした。

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著者プロフィール

1976年、南オーストラリア州ベリに三人姉妹の長女として生まれる。クイーンズランド大学で舞台芸術と英文学を修めた。現在は夫と三人の息子とともにロンドン在住。2006年に『リヴァトン館』で作家デビュー
『湖畔荘 下 創元推理文庫』より

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