湖畔荘 下 (創元推理文庫 M モ 8-6)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488202101

作品紹介・あらすじ

古い屋敷で起きた赤ん坊消失事件。屋敷の持ち主は、ロンドン在住のミステリー作家アリス・エダヴェインだった。当時、屋敷にはアリス等三人の娘がいて、消えた赤ん坊は乳飲み子の、待望の男の子だった。刑事セイディは事件の謎を解こうと、作家に連絡を取る。過去と現在の秘密を炙り出すモートンの見事な技。複雑に絡み合う愛と悲しみがもたらすものは? 最後の最後で読者を驚かすのは偶然か、必然か? モートン・ミステリの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 上下巻をぶっ通しで読む贅沢を久々にでき嬉しい。謎を解くうちに一番感情移入したアリス、行動を痛々しく感じてたセイディ、旧時代のお姫様感あったエリナと三者三様の葛藤が心に迫り夢中で読んだ。多少綺麗すぎるかもしれない結末にも納得。

  • 1933年 夏至祭の最中、屋敷から忽然と消えた男児失踪事件。
    事件は未解決のままであり、その男児の姉であるアリスは現在(2003年)大御所ミステリー作家となっていた。

    諸事情により謹慎、休暇中となった故郷でこの事件に自らの境遇を重ねて、調べることにした刑事セイディ

    「事件」についての秘密を抱え、守り通そうとするアリス

    そして「真相」の中で駆け抜けたアリスの母エリナ

    アリス・エダウェイン 1933年
    セイディ 2003年
    アリス・エダウェイン 2003年
    エリナ・ドシール 1911年

    と、各年代を行き来しつつ謎が明かされていくのは圧巻…そして、ものすごく心にじんわり来る…良い話を読んだ。
    「こういう真相だろう」という考えも少しずつ覆されていき、謎が溶けていく快感もあるのですがほっこりしすぎて読み終わるのが惜しく感じました。

  • 祝文庫化!

    ケイト・モートン『湖畔荘』(今回の執筆者:青木純子) | 翻訳ミステリー大賞シンジケート
    http://honyakumystery.jp/3625

    現在と過去、三つの時制の中 待ち受ける驚くべき結末 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/538168

    湖畔荘〈下〉 - ケイト・モートン/青木純子 訳|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488202101

  •  ロンドンで刑事をしていたセイディはある事件で失策を犯し、祖父の住むコンウェールで謹慎することに。

     そこには打ち捨てられた屋敷があり、ここでかつて男児の行方不明事件が起こり、未解決のままになっていた。

     この事件に興味を引かれたセイディは現在の屋敷の持ち主であるアリス・ウェダインへ手紙を書き、連絡を待つ。その一方で自ら事件捜査を始めていた。


     一方、ミステリ作家となっていたアリスにとって弟の行方不明の事件はすでに終わったことであり、彼女の手紙を無視していたのだが……。

     70年前、果たして湖畔荘で何が起きたのか?

     長い時を経て真実が明らかになるときがやってくる。

     今年、最初に読んだのがこの作品で本当によかったと思います。

     消えた赤ん坊の謎。そして、その事件に関与したものは誰なのか、そして彼の生死は?

     読みながら、いろいろと考えながら、こうではないか、あーではないかと考えるのはとても楽しかったです。

     セイディのような女性もアリスのような女性も大好きですが、私がこの物語でもっとも惹かれたのはアリス、デボラ、ケイトリン、そしてセオの4人の母であるエリナが好きです。

     第一次世界大戦で心に傷を負った夫アンソニーと折り合いの悪い母親を抱えながらも、必死で家族が幸せに至る道を探す彼女は勇敢でありながらも辛い日々を送っている。

     そこへ差し出された手を取りたくなるのも人間らしくてとてもいいなぁと思いながら読んでいました。

     以前読ませていただいたブロ友さんの感想に家族の物語とありました。

     確かにこれは家族の物語で、過去へ向かうのではなく未来へ向かうために必要な物語なのだろうと私は思っています。

     そしてエリナのような女性にあこがれます。強くて、でも弱い。けれども、その弱さに立ち向かうことが出来る女性。

     彼女がいればこそのこの物語は翻訳された青木純子さんや解説を書かれている大矢博子さんが書かれているように尊いのだと思うのです。

     昨年は重たい一冊から始まりましたが、今回は素敵な物語から始まりました。(大事なことなので繰り返しましたww)

     今年もたくさん素敵な本に出合えますように♪

     はぁ、楽しい時間だった(*^^*)

  •  上巻から下巻のあたま位まで、なかなか話にのめり込む事が出来ず、また、人間関係の把握が難しく、途中から相関図をメモしながら読み進めました。下巻からはスルスル読めました。

     アリスの気の強さやコンスタンスの意地の悪さには読んでいて嫌気がさしました。それでも最後は気持ち良くまとめられていたので、読み終えて良かったと思いました。

     テンポの早い作品が好きなので、なかなか前に進まないまどろっこしさを感じました。

  • この作品を。
    ネタバレなしで、面白さを伝えるって、めちゃくちゃ難しいと思うのですが。(でもレビュー読んでたら、ミステリーの手法として、ホントに上手く伝えている方がいて、そちらを読んで欲しい、笑)

    そんなわけで、結末に関する言いたいことは、自分の読書メモにごそっと残しておいて、所感だけを。

    マジで、私的には傑作でした。

    とりあえず上巻終わりまで、もうこれ以上、セイディに何も暴いて欲しくなかったんですよね。
    アンタ、やらかして謹慎中なんだから、時効になった失踪事件に首突っ込んでんなよ、と。

    それくらい、コーンウォールの物語は、不思議の国のアリスの見る夢のような美しさと愛らしさがたっぷり込められていて。
    そこに、ズカズカ踏み込んで欲しくなかった。
    本当は、家族一人一人に相応の苦しみがあったとしても。

    なのに、下巻でね、ふと思うんですよ。
    これ、ケイト•モートンが書いたんだよな?って。
    その瞬間、自分とセイディが重なって「ピカーン」と閃くわけです。そうか、真実はそこにあるのか!

    すっかり転がされ続けるのも、楽しい経験。
    ふわーっとした感想で申し訳ないですが、そうまでして隠したくなる面白さなので、オススメです。

  • 推理小説風の文学、という印象でした。
    文学は読まないので実際はわかりませんが。
    推理小説にしてはアッパーな感じ。

    人生と時間に想いを馳せたくなりました。
    人間っていいよね

  • 文庫落ちにて再読。
    やっぱええな。

  • ミステリ。
    上下巻合わせて700ページ超えの大作。
    流石に長くて、途中でやや飽きかけたが、この結末は素晴らしい。とても感動。
    「偶然」をここまで効果的に扱うミステリも珍しいのでは?
    「なぜ子供が消えたのか」が作品の中心となる謎だが、「なぜ優秀な乳母が解雇されたか」「なぜ使用人が死んだか」といった細かい謎も、見事に繋がる解決シーンは寒気を感じるほど面白かった。
    更には「なぜセイディが主人公なのか」という謎すらあるらしい。確かにこの物語は、セイディが主人公でないと成り立たない。
    とにかく傑作。この著者は他の作品も読もう。

  • ちょっと何も起きないパートが長くて中盤は退屈。アリスの協力を得られてからは怒涛の展開の連続で、「そうあってほしい」と誰もが願うようなラストへ向かう。ベイリー事件の真相だけ心が痛むけど、清々しくなる結末。各々が秘密にしていたから拗れただけ、というのは家族あるあるかも。欲を言えばもっと後日談を読みたかった。シャーロットとのことが端折られるなんて…。

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著者プロフィール

1976年、南オーストラリア州ベリに三人姉妹の長女として生まれる。クイーンズランド大学で舞台芸術と英文学を修めた。現在は夫と三人の息子とともにロンドン在住。2006年に『リヴァトン館』で作家デビュー
『湖畔荘 下 創元推理文庫』より

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