- Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488218157
作品紹介・あらすじ
ウィトビアでの歴史的な教会会議を前に、アイオナ派の有力な修道院長が殺害された。調査にあたるのはアイオナ派の若き美貌の修道女"キルデアのフィデルマ"。対立するローマ派から選ばれたサクソン人の修道士とともに、事件を調べ始める。フィデルマの名を世に知らしめることになる大事件と、後に良き相棒となるエイダルフとの出会いを描いた、ファン待望の長編第一作遂に登場。
感想・レビュー・書評
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修道女フィデルマシリーズ第1作長編。古代アイルランドの風情を味わいながらミステリーを楽しめるということで、世界中にファンも多いとのことだが、本作はアイルランドが舞台でなくブリテン(現イギリス?)のサクソン人王国での宗教会議が背景にあり、宗教論争もわかりにくいという訳者の配慮から日本刊行が第5作~3作から始まったとのこと。(本作を読む限り少し余計な配慮でないかい???)
キリスト教のローマ派とアイオナ派のどちらをノーサンブリア王国では採用するかという宗教会議開催の中で発生した殺人事件について、修道女フェデルマと相棒の修道士エイダルフが犯人を追うという個人的にはぞくぞくする状況設定です。(笑)未読の方はお楽しみもあるので、話の経過はここまでにします・・・。(笑)
実は自分としては最初に目星を付けた人物が犯人だったので、きっちり状況を組み立てれば意外と犯人に辿りつけるという、ある意味読者に優しい構成かもしれません。(笑)宗教論争もなかなか面白かった。訳註を読む限り、歴史的事実を再現した中でのミステリーなんですね。なかなか物語の進行も良かったので、一気読みしてしまいました。
そういえば、フィデルマはアイルランド王国の先王の娘にして、上級弁護士という設定だったと思いますが、今回は王女という話は出てこなかったような・・・。アイルランドでなかったせいか、あるいは後から付け加えられたキャラ設定だったのでしょうか?知的で気丈な中にも割とうっかりやポカの様子もみられたので、まだまだ発展途上の性格設定なのかもしれません。
今回の最後のシーンからいくと、第2作はまたまたこのコンビにてローマでの活躍が見られる感じですね。第2作の刊行が待ち遠しい限りです。というか、既刊の第3~5作を読もう!(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
名前が覚えられない( ;∀;)地名もよくわからない。
でも何とか読めた。
シリーズものだから、もうちょっと読んでみよう。 -
長編第一作。やっとフィデルマとエイダルフの出会いを読むことができました。まさか、こんな少女マンガのような出会いだったとは(*^_^*)
やっぱり、この作品から順番に翻訳して欲しかったな。
犯人は割とすぐにわかっちゃったのが残念。でも、おすましフィデルマがこの巻ではけっこう、かわいいです。-
「こんな少女マンガのような」
ブクログのレビューで読んでみたいと思った作品。邦訳の発行順に読もうと思っていたのですが、これから読もうかな、、...「こんな少女マンガのような」
ブクログのレビューで読んでみたいと思った作品。邦訳の発行順に読もうと思っていたのですが、これから読もうかな、、、2012/08/24
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若くて聡明で結構すぐカッとなるフィデルマが、魅力的! 世界観も素晴らしい。
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最初名前が覚えられなくて混乱したけど、コンビ組んだあたりからどんどん面白くなった。フィデルマとエイダルフ可愛い。
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修道女フィデルマシリーズの原作では第一作。
日本では第五作から翻訳出版されたのも納得。
少々日本人には難解な宗教と歴史の世界設定が随所でちりばめられているからです。
好きな人には、逆に堪らないかも?
これから続くシリーズの第一作なので、
背景や人物を細かく書いておきたかったのかもしれません。
推理ものとしては、犯人はわかりやすい話だと思いました。 -
「修道女フィデルマの叡智」「蜘蛛の巣」に続いて、フィデルマとエイダルフの出会いが読みたくて、日本での翻訳順を脇に置いて手に取った。
才長けてるけれど生真面目が過ぎて俗世から浮いてるんじゃないかと心配するほど我が道を行くフィデルマにとって、そこそこには世間を知ってそうで妥協や譲歩も時には上手にこなすらしいエイダルフは、彼女の才能をより自由に引き出してくれる護り手なのかもしれないですね。多くのことを知りたい学びたいという彼の知への欲求も、個人的に好みに思うところです。
このシリーズ、どんどん読んで行きたいです。
そして、ふたりの出会いのシーンが、とても可愛いらしく!(^^)
フィデルマもエイダルフも、読み進むにつれ、どんどん可愛く思えてきて――本当に、読んでて楽しいです。 -
7世紀アイルランドの修道女フィデルマのシリーズ。
第一長篇がついに登場!
若々しく、さわやかな美人で、鋭い知性に恵まれている。
修道女にして、高位の法律家。
中世のアイルランドでは、意外にも開明的な法律が整っていて、女性に教育の機会が与えられ、男性と同等の資格も得られた。
高位の法律家は、王の前で自分から話すことが出来た。
サクソン人の国ノーサンバランドにきたフィデルマ。
ノーサンバランド王国の王はオズウィー。
現王妃とその息子、前妻の子である長子アルフリスとの間の勢力争いも影を落としていた。
有名なウィトビアの教会会議(シノド)が行われた時期。
キリスト教の儀式などのやり方について、各国で違いがあり、どちらを取るかが論争になったのだ。
ウィトビア修道院の院長はヒルダ。男女の修道士が共に暮らす修道院だった。当時は修道士が結婚することも、子供を育てることも可能だったのですね。
ただ院長だけは結婚しなかったらしい。
アイルランドはアイオナ派ともいう。
フィデルマはアイオナ派として立つわけではなく、法律家として助言が必要な場合のために呼ばれていた。
会議初日、アイオナ派として弁論に立つはずだった女性修道院長エイターンが殺されているのが発見される。
反対派の謀略か、それとも…?
フィデルマとは旧知で、前日に院長を辞めることを聞かされていた…
修道士エイダルフともこの作品で初対面。
ローマ派のカンタベリー大司教に随行してきたのだ。
公平さを期すため、王の命令で、共に調査に当たることになる。
全く違う育ちと経験をしているサクソン人だが、どこか通じ合う物を感じる二人。
横暴なサクソン人に嫌悪を感じる勝ち気なフィデルマも、ためらいながら心を開き始める。
1994年の作品。
修道士が次々に危険な目に合うあたりは、薔薇の名前を思わせますね。 -
修道士フィデルマシリーズ1作目。
このシリーズを初めて読んだが、非常に楽しかった。中世ブリテン島の政治的な背景、宗教的な背景が織り交ぜられつつ、事件の伏線と上手く絡められていた。
随所で乙女なフィデルマちゃんに萌えつつ、温和なエイダルフに好感度↑。
当時の風俗、情景描写も細かくて視覚的なイメージもありありと浮かび、中世修道院モノが好きな人は楽しめること請け合い。
「死をもちて赦されん」というタイトルの意味も読了後に納得。なかなか深読みができるセンス良いタイトルですね。 -
7世紀のウィトビア。ローマ派とアイオナ派どちらを信仰するかを議題にしたカトリックの教会会議が開かれ、そこで弁舌するハズだったアイオナ派の修道院長が殺されているのが見つかる。一件の殺人事件が宗教戦争、クーデターを引き起こす火種になり兼ねないという状況が緊迫感を持たせます。
登場人物に似たような名前が多く(高校時代の世界史の授業を思い出す……)やや混乱しますが、伏線の張りなどについては申し分なし。正統派のミステリで存分に楽しめました。
頑固なフィデルマちゃんの発言には始終はらはらさせられっぱなしでしたが、最後が可愛いから許す!――いや、赦す!!