- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488218218
作品紹介・あらすじ
イムラックの大修道院で大切に保管していた聖遺物が紛失。保管担当の修道士が失踪した。そんなとき、国王と族長襲撃事件の調査にフィデルマが修道院にやってきた。救いの神とばかりに院長は調査を依頼する。聖遺物はモアン王国の宝。襲撃者のひとりが元修道士であったこともあり、ふたつの事件の結びつきを感じたフィデルマは院長の依頼を引き受ける。王国の平和と威信がかかった難事件を、フィデルマは解決することができるのか? 解説=若林踏
感想・レビュー・書評
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今巻は、シリーズの中でも最大の政治的陰謀。
それに加えて、アイルランドに古くからある精霊信仰の根強さが重要なテーマになっていて、読みごたえがあった。
ここらへん、日本人には理解しやすいが、この手の土着の信仰を「異端」として排除するのがローマカトリックの真骨頂なので、エイダルフが戸惑うのも当然だけど、今巻ではそういう小さな齟齬が二人の間にちらほら見えて、コンビネーションがいまいち、というのももどかしかった。
最後は両人とも、背中がかゆくなるほど鈍すぎだし!お互いに、もっとストレートに話そうよ!と、大きなお世話を焼きたくなる。
超人的なまでに何でもできる完璧かつ独善的なヒロイン、フィデルマも、自分の色恋沙汰はニガテなのね、と思うと、少しかわいらしい(笑)けど、このコンビが見られなくなるのはイヤだ。
今後のモアン王国の立て直し方とか、犯人の処罰とか、せっかく法廷劇の形式になっているのだから、最後まできちんと決着をつけるところまで書いてほしかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このシリーズの最高に面白いところは、馴染みのない古代アイルランドと、当時のキリスト教についてうまく解説しつつ、その「ほとんど異世界」である舞台にすんなり読者を連れて行ってくれるところだと思う。
作者は本職のアイランド歴史学者だそうだけれども、だからといって、蘊蓄が語られすぎることもなく、登場するキャラクターもフィデルマと、ワトスン役のエイダルフ修道士はじめ、魅力的なキャラクターばかりだ。
今回もモアン王国を襲った未曾有の危機に際して、ほとんど孤軍奮闘するフィデルマとエイダルフ、筋立ては複雑で、読者もミスリードされまくる。
しかし、あえて難を言えば、いくつかの仕掛けはわりと最初の内に見えてしまうということと、ラストはせっかく法廷劇のしつらえであるのに、実際にはすぐさまいつもの、フィデルマによる「名探偵みんな集めてさてと言い」になってしまうところ。
現国の弁護人ソラムがあくの強いキャラクターであるだけに、法廷劇らしい部分がとても短かったのは残念だ。
そして、「真犯人」がどのように処断されたのかについても曖昧なまま。これは読みようによっては竜頭蛇尾とも感じられる。 -
族長襲撃事件の証拠を追って、イムラックの大修道院にやって来た修道女フィデルマ。
元修道士が関わっているようなのだ。
兄である国王コルグーにかかった疑いを晴らすためだった。
ところが、そこでは大変な事態に‥?!
イムラックの大修道院では、貴重な聖遺物が紛失。
保管を担当していた修道士が失踪してしまったという。
調査を依頼されたにフィデルマは、妙な事実に気づく。
修道院のある町は襲撃を受けて大荒れとなり、人々の心のよりどころが失われそうになる。
王国の平和と威信を取り戻そうと奮闘するフィデルマ。
王の妹で、頭が切れる超秀才で高位の資格を持ち、しかも活発な美人というフィデルマですが、大の男が束になってもかなわない難題を解決する役立ちぶりは立派。
アイルランド史の教授でもあった作者にとっては、愛弟子のような感覚で自慢したいのかな。
当時のアイルランドでは、実は修道女でも結婚できるんですね。
捜査のときのよき相棒だったサクソン人の修道士エイダルフとの仲は‥?
今回、さらっと離れてしまいそうですが~
怖いものなしのようなフィデルマの口にできない思いと恋愛下手、これが実は弱みかも。
いやまた出会うのは間違いないと思うけど、どこでどんなふうにか?
気が揉めますね(笑) -
この巻を境に、フィデルマとエイダルフの関係に変化が生じる。今後のフィデルマに関しては、既訳の短編集でちょろりとお目にかかれるが、原作はもう20巻を越えてしまっているので、和訳の刊行ももうちょっとペースが上がると嬉しいな。
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あーもう、本筋とは関係ないんだけど、最後の最後で、エイダルフのボンクラさにがっかり。我らがフィデルマも、そこはっきり言えや!っと言いたくなる察してちゃんぶり。
本筋はモアン王国の存亡がかかった大事件で、誰もが怪しく謎だらけ。
それにしてもこのシリーズ洞窟が良く出てきますな。アイルランドには洞窟が多いのか、単に洞窟を利用した建物が多いのか。 -
(上巻より続く)
最後の法廷シーンはいつも通りの見せ場だが、
兄のコルグー王が途中で激昂する場面が、
なんとも残念な感じ。
だまされやすいところがあるかもしれないけど、
良い王だと思っていたのに。
フィデルマのことを信じられない器の小さい男に
描かれてしまったのが残念。
フィデルマが結婚を意識してたとは意外。
エイダルフとの仲はどうなるのか。 -
誰がこの国を混乱させようとしているのか。暗殺は誰の思惑なのか。
様々な物証が彼女に伝える真実とは。
私としてはフィデルマとエイダルフ二人の幸せを願っています。