マーダー・ミステリ・ブッククラブ (創元推理文庫 Mラ 13-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488241056

作品紹介・あらすじ

ミステリ好き、クリスティ好きなアリシアとリネットの姉妹が出した読書会メンバー募集の告知に応えてきたのは、古着ショップのオーナー、医師、主婦、図書館司書に博物館勤務員といった面々。ところが二回目の読書会で早くもトラブルが。主婦のバーバラがあらわれなかったのだ。家にも帰っておらず、事件に巻き込まれた可能性も。アリシアは読書会のメンバーの協力のもと捜し始めるが……。マーダー・ブッククラブ・シリーズ開幕。

感想・レビュー・書評

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  • 「クリスティ愛好家の読書会誕生」の帯につられ。発起人アリシアとリネット姉妹の他読書会の面々がメンバー失踪というリアルなミステリーに足を突っ込む。アリシアの執念にやや辟易したがメンバー達のその後が気になる気楽なコージーミステリー。

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    マーダー・ミステリ・ブッククラブ - C・A・ラーマー/高橋恭美子 訳|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488241056

  • いやー、楽しかった!
    本作は私のようなライトなクリスティーファン(すべてを読みつくしていないけれど、ある程度の作品はだいたいわかる)が一番楽しめるのではないだろうか。

    大好きなミステリーを仲間と思いっきり語りたい、とブッククラブメンバーを募ったアリシアとリネット姉妹。うれしいことに、アリシアの大好きなクリスティー好きが集まり、第一回のブッククラブは無事終了。しかし、第二回のブッククラブを主婦のバーバラがドタキャンし、そのまま行方をくらました。彼女の夫も娘も彼女を心配する様子はなく、不審に思ったブッククラブのメンバーは、彼女の失踪の謎をつきとめるべく動き出す。

    クリスティーのコアなファンなら途中で真相に気づいてしまうのかもしれないが、私はまだまだクリスティー制覇半ばなので、きちんと最後までワクワクしながら読むことができた。読んでいない作品のネタバレがあったらどうしよう、と心配したがそれも問題なし。でも、クリスティーを全く読んだことのない人にとっては面白さが半分しか伝わらないと思う。

    ブッククラブのメンバーはなかなか個性的な面々だ。毒薬を使ったミステリーに興味があるという医者のアンダーソン、クリスティー作品に出てくるファッションに興味があるという古着屋ショップオーナーのクレア。ポアロが好きで博物館に勤めるゲイのペリー。クリスティーに一番精通している図書館員のミッシー。シェフの卵であるリネットのおいしい料理を堪能しながら、それぞれが思い思いに事件を推理し、各自の得意分野を生かして探偵よろしく調査する様子は、事件の深刻さはさておきとても楽しそうだ。

    アリシアが恋をするアンダーソンはナイスガイ過ぎて女性の願望が入り過ぎているようにも思うが、作品全体がクリスティーの健全さを残しつつ、よりからっと明るい雰囲気で読みやすい。作者のクリスティー愛があふれているのも高ポイントだ。クリスティーはやっぱり古今東西誰からも愛されるのだ、となぜか誇らしく感じる。

    次回作『危険な蒸気船オリエント号』は、『オリエント急行殺人事件』と『ナイルに死す』のストーリーがからんでくるのだろうか。読むのが楽しみである。

  • コージーな雰囲気と、アガサクリスティの英国調がほどよい雰囲気で入り混じってて楽しかった。
    あちらこちらに感じるアガサへのオマージュとダイレクトな表現。コージーならではの料理とロマンスもあるし、現代の技術やLGBTも混じるので読みやすい。
    かなり早い段階でタネはわかるので、もう少し隠す努力して欲しい気もする。犯人の心情をチラ見せするのは不要かな。
    ブッククラブのメンバーがそれぞれ捜査して、集まってみんなで推理するのは設定が面白いんだけど、毎回みんな集まるところがちょっと疑問符。今ならグループLINEみたいなツールや、オンラインで集合する方がしっくりくるかな。アガサクリスティの世界観壊れるけど。

  • 舞台はシドニー。クリスティ好きのアリシア。ミステリーを語りつくしたい、とミステリーに特化した読書会を募った。アリシアの妹も含め6人が集まった。もちろん読書会のテーマ本は「白昼の悪魔」、次が「スタイルズ荘の怪事件」とスムーズに進むかに見えた。が、第2回目でメンバーの一人バーバラが欠席。バーバラは政界進出を狙う夫と娘、家政婦と豪邸に住む主婦であるが、どうやら家出して帰らないらしい。そしてバーバラの家族にも異変が・・ そして少し離れた駅にバーバラの愛車BMWが乗り捨てられていた。・・ははーん、わかりましたよー、ここで。 メンバーたちはバーバラ捜しに奔走し、家族の秘密も解き明かすのだが、バーバラ捜しがてこずっている。 クリスティの伝記が頭に入っていればね・・

    一番クリスティを読んでいたのはバーバラだったのだろう。読書会への参加動機も「ミステリのおかげで”人生における数多くの悲しくみじめな瞬間”にも正気を失わずにすんでいる ・・クリスティは暗闇に落ち込んだときの光明であり、自分がひとりぼっちだと気づいても最後には幸せな気分にさせてくれます。クリスティは日々わたしを救ってくれて、彼女がいなければわたしは明日という日をどう乗りきればよいのかもわかりません」というのだ。・・私もこれと同じだなあ。最後に光明が・・というところがクリスティだ。

    オーストラリアが舞台、ということかどうか、カラっと軽い雰囲気が漂う。クリスティがらみの事柄が出てくると、ふむふむとニヤニヤしながら読み進めた。


    著者:C.A.ラーマー(女性) カバー説明:パプアニューギニア生まれ。国際ジャーナリストで編集者で作家。現在はオーストラリア東海岸のバイロンベイに住む。
    マーダー・ミステリー・ブッククラブシリーズ、
     次回翻訳は豪華客船が舞台という。「蒸気船のオリエント号」を忠実に複製した船にクラブメンバーは乗船
    ゴーストライター・ミステリーシリーズ、
    Posthumous Mysteryシリーズ、
    Sleuths of Last Resortシリーズ がある。

    2021発表
    2022.8.10初版 図書館

  • 雑誌編集者のアリシアは友人の後釜として参加した文学のブッククラブの厳格さにうんざりして、気負わず好きなミステリーを語れるブッククラブを妹のリネットと開催することに。
    ハンサムな開業医、お洒落で美人な古着屋のオーナー、陽気な博物館学芸員、おしゃべりな図書館員、そして専業主婦。
    専業主婦の彼女の希望で第1回目はバーバラの自宅で開催することに。「白昼の悪魔」を取り上げた会は盛況で、心躍らせて第2回目の会に集ったメンバーだったが、何故かバーバラが姿を現さず、そのまま彼女は行方不明に。
    バーバラの行方を気にもとめない彼女の夫と娘に不信感を募らせたアリシアはバーバラの行方を探すことにするが。

    仕事を放り出してあちこちに顔を出すアリシアにヒヤヒヤしつつ、ブッククラブの面々の活躍にニヤリ。
    こんな素人さん達がいたら、警察も迷惑よねーと思いながらも2時間ドラマのように楽しんだ。
    ところどころに散りばめられたクリスティの本と、シドニーの風景がまた盛り上げる。
    登場人物たちが個性的で彼彼女の背景も気になる。
    続編は客船だって。読んでみたい!

  •  2022/12/17。読書会を舞台にしたミステリー作品をテーマにした読書会にぼくは参加していた。立体構造や無限ループのように思えてしまう現実と小説の間。こんな体験も悪くない。ましてや翻訳を担当した高橋恭美子さんは、そもそもわが翻訳ミステリー札幌読書会のレギュラーメンバーだ。なので本書の訳者あとがきでも、われらが札幌読書会のことをちらっと宣伝してくれている。読書会と作品との立体構造。下層と現実との交錯。やはり珍しいよね。

     ちなみに札幌読書会には、十勝一泊読書会も含めて、コロナ前から参加していたブッククラブなのだけれど、しばらくはZOOMでのオンライン読書会が主流となっていたため、リアル読書会はぼくにとって本当に久しぶりで充実しました。

     さて本題の作品についてだが、本作は、俗にコージー・ミステリーと呼ばれるジャンル。しかし、さて、コージーって何? 恥ずかしながら、ぼくはその質問からさせて頂こうと思った。事前にウィキペディアにはこうある。『イギリスで第二次世界大戦時に発祥した小説形式で、当時アメリカで流行していたハードボイルド形式の小説の反義語として用いられた』 えええ? ハードボイルド・マニアのぼくがそんな真逆のものを読んでいいのか? 答:いいんです。別にハードボイルドファンだからと言って自分がハードボイルドに生きる必要はない。たとえハメット作品の読後など、ニヒルな表情を無理やり作って、肩で風を切り汚れた街を颯爽と歩くことはあったとしても。

     さらにこうある。『探偵役が警察官、私立探偵などの職業的捜査官ではなく素人であること。容疑者が極めて狭い範囲のコミュニティに属している。暴力表現を極力排除していること』

     世話人兼我が班司会者の方も同様の説明をより丁寧にしてくださった。そのQ&Aに続いて、ぼくは本書で気づいたことを発表する。スマホのメモ帳アプリに質問すべきことを入れてある。いつもはこんなことはしないのだが、今回は翻訳者ホームで参加するのでしっかりと準備をしていったのである。

     ヒロインの姉妹は、コージーが似合う素敵な女性たち。しかし、彼女たちの父と兄は『型破りなCIAエージェントや行方不明にの核爆弾がひちつは出てくるような現代的なサスペンスの方を好んだ』(p25) ぼくはまるで自分のことを言われているように思った。

     『いっそのことハーラン・コーベンのサスペンスもので手を打ってもいい』(p29) なぜこの作家はぼくのことがわかってしまうのだろう。

     他、いくつかあるが、気づいたこと、質問などを各自が挙げて、後でまとめて班長が大きな紙にまとめ各班の発表とする形式。これが読書会を舞台にしたミステリー本の読書会なのであった。わかりにくいかな?

     閑話休題。さて、本書はアガサ・クリスティーが大好きなヒロインであるアリシアが、純文学読書会に出席するや否や、気取った読書会に嫌気がさして、一日と持たず退会、改めて自分でミステリーのブッククラブを新たに作り開催する。新聞広告で集まった個性的なメンバーだったが、そのうち一人がやがて失踪してしまう。

     美味しい食べ物を囲んで開催した読書会。そこで失踪した主婦の謎を素人探偵たちが探る。コージーの定義。

     面白いのはストーリーテリングが巧みなので、冒険小説やハードボイルドの読者であるぼくにとっても、本書は面白く、さくさく読み進めてしまった。問題のある家庭がいくつか出てきたり、男女間の何通りかのラブロマンスが疑惑の砦を作り上げては真実を妖しくも隠蔽してしまう構造と言い、むしろ新鮮さを感じるくらい小気味良い読み物なので驚かされる。何となく英国の裕福な社会を思わせるが、本書の舞台はオーストラリア、というところも個性のうち。つまり、オージー・コージーなのだよね。

     登場人物が多いので最初は混乱するが、読み進むうちにそれぞれのキャラが立ってくるから、意外と脳内整理もしやすく問題はない。むしろこのシリーズは個性ある読書会メンバーたちに惹かれ、今後も読みたい、またこのメンバーたちと再会したいと思えてしまう。彼ら彼女らの今後のストーリー展開によっては際立つであろう個性や活躍がとても気になってくるほどである。

     ちなみに次作はもう出版されています。札幌読書会の夜には翻訳者からの一冊だけプレゼントじゃんけんコーナーがあったのだが、ぼくは既にAmazonに発注してしまっているので遠慮させて頂いた。次作では豪華客船内でのブッククラブの活躍が見られるのだそうである。我が家に届き次第すぐに読もうと思う。本の世界でも現実世界でもブッククラブ・メンバーというのは個性的で楽しい存在である。札幌読書会のメンバーの方々も、すぐにまたお会いしたくなるような貴重で魅力的な人たちなのです。

  • ブッククラブというのは、私達が知っている「読書会」のことでした。読み始めるまで分からなかったけれど。
    さて、その読書会の集いはわくわくドキドキだけではなく、不穏な空気を漂わせる人間もいたということ、これは楽しい小説!
    そしてお節介で謎解き大好きなメンバーが次々巻き込まれ、本当の殺人事件までも解明しようとして~。コージーミステリーのジャンルだけどアガサ・クリスティの芳醇な香りに満たされた一冊。
    訳者先生のあとがきがより、読書会を身近に感じさせて下さいました。

  • 舞台はオーストラリアのシドニー。マーダー・ミステリ・ブッククラブのメンバーが素人探偵になるのだが、みんなクリスティ好きで、ポワロの台詞を引用したりするのは楽しい。主人公のアリシア、妹のリネット含めてメンバーには独身が多くてロマンス要素もあり、素人探偵らしいドタバタ感もある。こういうのをコージー・ミステリっていうんだろうな。
    真相は予想がついて、中盤ちょっと中だるみした感じがしたけど、終盤は一気に話が進んですっきり。なかなか面白かった。続編も読みたい。

  • ミステリ好きのアリシアは所属していたブッククラブを我慢できずに飛び出してしまい、新しいブッククラブを作るために新聞に募集をかけた。多種多様なメンバーが集まり楽しく読書会を始めた矢先に、1人のメンバーが失踪して……

    海外ミステリ好きならニヤリとできる作家や作品が作中に溢れているので、それを探すのがとても楽しい。
    冒頭で主人公のアリシアが読んでいる本がアン・クリーヴスで(日本未訳作品)おお!ってなった(笑)
    事件が起きてそれを推理する段階でも「灰色の脳細胞」とか出てきてニヤニヤ。

    謎解き部分はあっさりしているので(状況証拠……というより、もう心理的な感じで突き進んでいる印象)私は作中に溢れているミステリ愛を楽しんだ。

    ただ、タイトルは変える前の方がラストがしっくりくるなぁ、と個人的に残念に思う。あ、原書の話です。

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