- Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488255022
作品紹介・あらすじ
第二次大戦下、首相官邸でチャーチル首相の秘書として勤務することになったマギー・ホープ。才気煥発な彼女が体当たりでいくつもの陰謀に挑んでいく、魅力のシリーズ開幕編。
感想・レビュー・書評
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マギーをヒロインにしたシリーズ1作目。
広い意味ではミステリで、ヒロイン物ですが~コージーというより、戦時下のスパイ冒険ものです。
1940年のロンドン。
イギリス人だがアメリカ育ちのマギー・ホープは赤毛で小柄。
大学卒業後さらにマサチューセッツ工科大学に進むはずだったのを延期して、1年前、祖母の遺産の屋敷を売るためにロンドンにやってきた。
古い屋敷が売れないうちに戦争が始まり、屋敷を修理することにして部屋を人に貸したために、国際色豊かなハウスメイトが何人も出来ます。
危機に際しても、若者達の行動は、恋愛含めてにぎやかです。
チャーチルが首相になり、マギーには秘書の仕事が舞い込んだ。
かって秘書官としては不採用だったマギーは、タイピストの女の子としてしか扱われないことに憤慨し、かなり変人なチャーチルの強引さにも頭に来る。
だがチャーチルは人間的でさすがに面白い傑物。
その名演説にも惹かれていくのでした。
仕事を紹介してくれた友人デイヴィッドは秘書官。
彼はゲイであることは世間に隠しています。まだ時代が時代ですからね。
仲間のジョンは気難しい男で、マギーとは何かと反発し合うことになりますが‥?
アメリカで叔母に育てられたマギーには、実は隠された事情が‥
真面目で真っ直ぐなマギーが、思いがけない試練をどう乗り切って行くか。
戦時中の事件と絡めながら、生い立ちとも向き合っていきます。
マギー本人の恋愛はあるけど予想より少なめ。
複雑な状況がほどほどに書き込まれ、スリリングで~この続きが知りたくなりますね。
‥って実は2作目を先に読んじゃったんですが~2作目のほうがエンタメ度高いかも☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルからも解るように、第二次世界大戦下の英国モノ。
コージーちっくな表紙ではありますが、意外と内容はシリアスだったりします。
アメリカ育ちのイギリス人・マギーは、チャーチル首相のタイピストとして働くことになります。
ナチスドイツによる侵攻が迫るだけでなく、アイルランドの武闘派・IRAによるテロ行動など、様々な陰謀が渦巻く中にマギーも巻き込まれていきますが・・。
前半は、マギーとルームメイト達との暮らしぶりや、チャーチルのタイピストとしてのお仕事モノ的な部分と、一方でテロリストの不気味な動きが並行して描かれていていますが、話が進むうちに、スパイやテロといった国家レベルの陰謀と、マギーの死んだと思われていた父親の秘密や彼女の個人的な問題とが絡み合って展開し、しかもそこに恋・友情・LGBT等々・・・と、何だかメガ盛り状態です。
後半で、マギーが“広告の暗号”に気づく辺りから上記の要素が一気に動きだして、話の展開が加速していくのが面白く、手に汗握りながら読ませて頂きました。
加えて、戦時下のロンドンの様子もリアルに描かれているのも興味深かったです。
ラストではマギーが思わぬ転職のオファーを受けていましたが、本作はシリーズ化されているので、マギーのその後の活躍を次作で読めるということなのかな。是非チェックしてみたいですね~。 -
ナチスドイツの空襲が迫るロンドン。
イギリス人でアメリカ育ちのマギーは祖母の屋敷でハウスメイド達と暮らしていた。
アメリカに帰ってマサチューセッツ工科大で学びたいものの、イギリスにも愛着が出てきていた。
そんな時にチャーチル首相のタイピスト職の声がかかる。
ロンドンで暗躍する怪しい人々。
マギーの家族の秘密。
次から次へと出てくる謎とピンチ。
マギーは持ち前の負けん気と聡明さで立ち向かうが。
ナチスの影が迫り、食料も乏しく、動物園や市街地も閑散とするロンドン。
それでも、マギーの友人たちは軽口を言い合ったり、愚痴を言い合ったりしながら過ごしている。
色気たっぷりの親友ページ、恋人とラブラブなチャック、妖精のような双子、バレリーナのサラ。
男性陣も個性豊か。
職場の上司も厳しいながらも魅力的。
不安も不満も募るけれど、イギリスの人々の逞しさが悲惨な状況にも明るさを見いだす。
場面が度々変わるので、それについて行くのが大変だった。横文字の名前もあれ?誰だっけ?と何度も思ったし。
展開が早くてドンドン読めるけど。
もっとマギーの理系力が活躍してもいいのにと歯がゆい。結局、暴力が中心で知力の活躍の場があまりないのが残念。
マギーの知的な描写より、サラのバレリーナの描写の方がリアルだったなー。 -
「エドワード8世」時代(宝塚でいえば)の歴史フィクション。割りに硬派なスパイもので、お話の伏線がしっかりしていて、久々に続編を読み進んで面白いシリーズに出会えました。
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表紙の絵柄に騙されないように!
全然コージーミステリではありません。
主人公マギーの生い立ちや生死不明の父親、IRAのテロリストだけでも相当ハードなのに、第二次世界大戦中、空襲まっただ中のロンドンで、相当ハードなスパイ物?。
最初からそういうつもりで読めば面白いとも思うけど、期待していたテイストが違いすぎて、読後疲れた。
自信満々なわりに自分勝手なマギーの性格にあまり共感できなかったけど、脇を固めるキャラはかなりいい。
特にチャーチル首相は史実にもあるが、本当困ったちゃん、という感じで、奥さまの絶妙なフォローがすばらしい。最初はマギーにボロクソ悪口言われてた上司や諜報部の長官など、実は年輩の方々の方が生き生きと描かれていて魅力的だった。いちおうマギーと恋人ぽくなるジョンは人物描写がイマイチで、登場場面は多いのになんだか影が薄い。
著者はポール・サイモンの「暗号解読」を参考図書にしたらしく、解説文はおもしろいのに、マギーが暗号を解いているシーンは具体性も臨場感もない。おそらく著者は「リケジョ」ではないだろうし、リケジョの性格や行動パターンもリサーチしなかったのだろう、それでマギーのキャラが中途半端なんだなぁ……と残念。
全体的にこの作品は、主人公や重要登場人物ほど魅力が伝わりにくくて、そこが最大のネックだと思った。 -
タイトルはチャーチルの秘書だけど、一緒に働く場面はほとんど無く、主人公・マギーの生い立ちに纏わる謎と、第二次大戦下の陰謀に巻き込まれるミステリーチックなスパイ物でした。才能があってもまだ女性の社会進出に大きな障害があった時代のマギーの苛立ちは良く分かります。前半はストーリーの進む方向性が良く掴めずあまり乗れませんでしたが、後半怒涛の展開が面白かったです。転職先で数学の才能は生かされるのでしょうか?
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第二次大戦下のロンドンを舞台に、才気煥発なアメリカ(育ちの)娘、マギーが活躍するスパイ物。
というと、表紙デザインもあいまって、ラノベ的な雰囲気かと思ってしまいますが、いやいやどうして、なかなかに本格的な作品です。空襲のロンドンにテロリストに暗号にスパイに・・・本当に盛りだくさん。
盛りだくさん過ぎて、一気読みしてしまうのですが、読み終わってみると、マギーさんスイスイ活躍しすぎでは?感でいっぱいになります。紆余曲折する暇がないほど、いろんな要素がてんこもり。だから、案外一直線な作品です。
ただね。この主人公があんまり好きになれないんだなぁ。まだ男女間に社会的格差のある時代に、有能な女の子が、それもアメリカからイギリスへやってきて、不満があるのはわかります。でも、私が!私は!っていう自己主張の強さと暴走気味の行動力と、有能設定とモテ設定と、万能感と。
なんか鼻につくというか、ちょっと盛りすぎじゃないでしょうかね?
もちろん、マギーはとても素敵な子ではあるんですが、ちょっとばかりぺしょんと凹ませてやりたくなったりするのです。
それでも次作は・・・ちょっとばかり、気になります。文句言いながらも、私もマギーの魅力にやられたクチ、ということになるのでしょうか。 -
表紙や帯からもっと軽いノリかと思いましたが意外にきっちり。聡明な女性主人公、家族の秘密、スリーパー、テロリスト、裏切り。歴史フィクションとスパイ物が好き、でもあんまり重厚なのはちょっと・・・という方におすすめ。
"Mr. Churchill's Secretary" by Susan Elia MacNeal -
第二次大戦時のイギリスで、チャーチル首相の秘書となったマギーの活躍を描く。
ナチスの侵攻、IRAの破壊活動、マギーの家族の謎など盛りだくさんな内容、スピーディーな展開で一気読みの面白さだった。戦時下のサスペンスでもあるが、男尊女卑の社会に憤りつつ仕事をこなし、シェアメイトたちとの共同生活を楽しむ元気な女の子の物語という印象が強い。