- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488406059
作品紹介・あらすじ
学長の私的なコレクションを収めた第三閲覧室で死体が発見される。事件の背景にあるのは大学内の複雑な人間関係か、それとも膨大な数の稀覯本か?図書館運営主任が疑われるなか、彼の無実を確信する古書店主が事件の調査に乗り出す。現場周辺で目撃された謎の女性、奇妙なダイイング・メッセージなど、事件には不可解な点が散見され…紀田ミステリを代表する長編本格推理。
感想・レビュー・書評
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タイトル買い。「第三閲覧室」って響きがなんかイイ。第一とか第二じゃダメ。絶対。
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大学図書館で起きた変死事件を巡る長編推理小説。
学長人事の駆け引きや幻の稀覯本の真贋など、事件の背景は細かく描かれるが、これは図書館ミステリというよりも、書誌学ミステリと言えよう。
著者の緻密で膨大な書誌的見識が物語のバックボーンとはされてはいるものの、それが厚過ぎることで却って、推理小説としては構成が歪になっている印象を受けた。
事件の枠組みは解明されても、動機が薄くて卑小だったり、探偵役が明確でなかったり、嫌疑を掛けられた運営主任の本筋と無関係なプロローグ的日常の描写があまりに冗長であったり、それでいてその悲劇的な現状に何の先行きも打開も提示せずに寸詰まりのぶつ切り状態の扱いで、正直なところ、推理物としての完成度は中途半端で拍子抜けを食らった。
本格ミステリとしての精練を追求するよりも、如何に多くの書誌学的情報を盛り込めるかを重視しているような作品づくりを匂わせたことで、読後感が物足りないものとなってしまったのが残念なところである。 -
大学の図書館と古書稀覯書にまつわる長編ミステリ。ミステリ的仕掛けはオーソドックスですが、古書に関しての記述が面白く楽しみました。ただ、事件が起こるまでやたらと詳細に記述があるのに、後半解決に至る部分で駆け足になっている感があるのは、ちと残念。しかし古書に囚われてしまった人々の執念怨念は凄まじいですな。くわばらくわばら。