グラスバードは還らない (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488406233

作品紹介・あらすじ

マリアと漣は大規模な希少動植物密売ルートの捜査中、得意取引先に不動産王ヒューがいることを掴む。彼には所有タワー最上階の邸宅で、秘蔵の硝子鳥(グラスバード)や希少動物を飼っているという噂があった。タワーを訪れた二人だったが、タワー内の爆破テロに巻き込まれてしまう! 同じ頃、ヒューの所有するガラス製造会社の社員や関係者四人は、知らぬ間に拘束され、窓のない迷宮に閉じ込められたことに気づく。「答えはお前たちが知っているはずだ」というヒューの伝言に怯える中、突然壁が透明になり、血溜まりに横たわる社員の姿が!? 好評シリーズ第三弾!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第3弾

    〈タワー〉と〈グラスバード〉の章が交互に書かれている。一つは爆弾によるビルの爆破事件。もう一つはグラスバードや不思議なガラスの部屋での殺人事件。
    どのように話が交わってくるのだろうと思っていたら、マリアが爆破の炎と煙に追われ、非常階段から最上階に逃れるために重く閉ざされた扉を叩くと反対側から誰かの声と扉の隙間から徐々に血溜まりが広がり、、、あっ繋がった!!扉を挟んでどちらも大変!!
    ただし、真相はそんなもんじゃないほど、二転三転するのだけど。
    ラストは少し切なく感じました。

    それと、マリアの危機にあらわれたジョンに、おぉーー!ってなった。

  • グラスバードの正体からまさかの展開に、死体を入れ替えるトリックを壊された予想外の殺人。これによって事件は複雑になっていった。最後までトリックが分からず騙された

  • マリアと蓮シリーズ第三弾。いつもながら物理的な所は理解できずともサバイバル部分からは集中して読んだ。今回はマリアのピンチもあって二人の掛け合いがいつもより微笑ましく、ジョン登場シーンに魅了。トリックはドラえもんみたい。

    • 111108さん
      あちらの世界では1980年代にはクラゲ飛行船が空を飛んでるんですよー。
      それを見上げるまだ◯歳の頃の私‥妄想膨らみます笑
      あちらの世界では1980年代にはクラゲ飛行船が空を飛んでるんですよー。
      それを見上げるまだ◯歳の頃の私‥妄想膨らみます笑
      2023/12/04
    • ちぃさん
      こんにちは。
      わたしもこのシリーズの装丁がとても好きです。
      文庫本と単行本のデザイン、少し変わってるんですね。凝ってますね〜。
      こんにちは。
      わたしもこのシリーズの装丁がとても好きです。
      文庫本と単行本のデザイン、少し変わってるんですね。凝ってますね〜。
      2023/12/05
    • 111108さん
      ちぃさん、こんばんは。
      そうそう、単行本と文庫本の絵の微妙な差がまたいいですよね!どっちが話に合うかな?どっちが好きかな?とか、ひとりで遊ん...
      ちぃさん、こんばんは。
      そうそう、単行本と文庫本の絵の微妙な差がまたいいですよね!どっちが話に合うかな?どっちが好きかな?とか、ひとりで遊んでます♪
      2023/12/05
  • ジェリーフィッシュ、ブルーローズに続く3作目で、本作でもマリアと蓮が登場する。これまでもガラスに纏わる内容だったので、今回はそのまんまの題名だろう。でも「還らない」というのは題名からは予想できないが・・・。ブルーローズのアイリーン、軍人のジョンも登場するので、それも読む楽しみである。したがって、順に読むべきである。

    10年前に遡り爆破事件が起こる場面から始まる。
    おそらくこれが重要な意味を持つのだろう。
    インタールードも重要である。

    マリアと漣は、希少動植物密売ルートの捜査で浮かんできた不動産王ヒューを調べ始める。ヒューの住まいはサンドフォードタワー最上階の邸宅で、秘蔵のグラスバードや希少動物を飼っているという噂があった。そして、そこに閉じ込められた者たちが次々と殺害される。
    さて、犯人は誰か?その動機は?方法や機会は?と推理していくが・・・。私の推理はいつもながら、ことごとく外れる。それがこの作品の良い点でもある。後半から終盤はスリリングでそれも読みどころである。マリアを寝起きのモデルと表現しているのは、イメージ通りで適切な表現だと微笑んだ。

    グラスバードとは何なのか?も最後にわかる。そして、最後は・・・、切ない。
    市川憂人さんらしくパラレルで物語は進んでいくのも構成とマッチしていた。更に過去の作品で立体的に描かれているので、4次元ミステリーと言っても良さそうだ。無理のある設定もあるが、新機軸という側面で楽しめた。

  • 不可知の生物 グラスバードをめぐって発生する高層ビルテロと連続殺人事件。マリア&漣が文字通り駆け回る特殊設定ミステリーの傑作。

    希少動植物密売の捜査をしていた主人公たちが、高層ビルでテロに巻き込まれてしまう!一方、研究者たちが不思議なガラスの迷宮に閉じ込められてしまい、一人ずつ殺されていく…

    ジェリーフィッシュから続く特殊設定ミステリーの連作、マリア&漣シリーズの第三弾。いやー待ってました!
    今回はガラスの鳥ですか~、これまた期待が膨らみますね。しかも作中に前作までの特殊技術も出てきたりして、ファンにはたまりませんね。

    相変わらずミステリーは二転三転、トリックも複雑で手が込みすぎて、こんなのわかんねーよっ
    しかし、これが最高なんすよね、超精密に組み立てられた謎解きは、本格ミステリーファンをうならせます。そしてなんといってもトリックの中枢であるグラスバード。さてその真相とは…

    しかも今回は謎解きだけでなく、ハラハラドキドキのアクションシーンもたっぷりあり、読み進む手がとまりませんよ。登場キャラクターもマリア&漣は相変わらずキュートだが、頼りになるジョンもかっこよすぎ!

    シリーズが進むにしたがってどんどん面白くなる、本当にすごい作品です。圧倒的に★5 特殊設定、本格ミステリー好きには是非お勧めしたい一冊です!

  • マリア&漣シリーズの第3弾!
    いつも通り場面を切り替えながら、話を進め罠に嵌められている、と気付いたときには遅かった。
    グラスバードとは……
    スリル満載で読み応えあり!


  • 舞台は高層ビル72階。
    所有者の不動産王ヒューは娘と二人で住む。
    ここにはメイドのパメラが常駐し、ヒューと
    娘のローサの身の回りを一手に担っていた。

    ヒューは別会社でも大きな事業を行い、
    その会社ではガラスの透過性を利用した
    商品開発が進められていた。

    ジェリーフィッシュ、ブルーローズと同じく、
    科学的な説明と論理、商品化への試行錯誤、
    読者としての私は知識が皆無の科学だが、
    読んでいてその発想には興味が湧くし、
    惹きつけられるのは今回も同様でした。

    大富豪ヒューの趣味として集められた幾多の
    珍しいモノ、その中でもグラスバード(硝子鳥)
    は別格。
    一眼見れば魅了され、手に入れたい欲求に
    囚われ、狂わされる。
    グラスバードのエレナとの出会いが、
    一人の男と関わる人たちの運命を変えていく。

    高層ビルでの爆発に巻き込まれるマリアが
    パニック状態、脱出不可能な高層の牢屋の中、
    逃げ出せるのか。

    並行して語られる、異様な環境にいる人たち、
    こちらも逃げ出せるのか。

    逃げ場の見つからない殺人の謎を解くのは
    マリアの閃きがヒントになるのだけど、
    前後のない突飛な思いつきは警察というより、
    探偵を連想させる。

    ミステリーで逃げ場のない設定での殺人は、
    おそらく王道のはずなのに、読んでラストまで
    しっかり引き込まれる私は、最も騙されやすい
    タイプの読み手なんだといつも思う。

    ダメだな、成長しないな、と思う反面。
    最後まで毎回まんまと楽しめて得だな〜
    とも思って自分を慰める。

    ジェリーフィッシュ、ブルーローズに引き続き、
    市川憂人さんの物語をしっかりたっぷり、
    堪能させてもらいました。


  • マリア&漣シリーズ、3冊目。
    世間は3年振りに行動制限無しのGWで賑わっているようだが、どこへも行かず散歩と読書三昧の日々。
    前2作読んで好きなシリーズだが、今回も変わらず面白く読めた。

    <タワー>と名付けられた章と<グラスバード>と名付けられた章で交互に進む。
    <タワー>では、希少動植物の密売ルートを追うマリアと漣がU国有数の実業家ヒューの所有するタワーに侵入しようするところで爆破テロに巻き込まれてしまう。
    一方、<グラスバード>では、ヒューが所有するガラス製造会社の関係者が窓のないガラス張りの迷宮に軟禁され、そこから惨劇が始まる。
    片やビルが倒壊するタイムリミットが迫る中での爆発からの脱出劇、片や色のついたガラスの壁が透明になる度に死体が増えていく謎解きの展開、それぞれ楽しめる。

    真相を追ってマリアが色々思い付き、漣やボブがことごとく潰していく流れはいつも通り。マリアが真犯人を追い詰めるのと並行し、前に戻ってその場面を確認するのもいつものことだが、今回は真相が明かされる中で二転三転するので楽しさも増す。
    ただ、今回は説明される筋の運びに多少の荒っぽさを感じるし、硝子鳥の書き振りも、ああいう「ブランケット」を使うのも、犯人が複数いるのも、この本がアンフェアだという方の指摘もよく分かる。
    とは言え、このシリーズ、一作目も結構運と成り行き任せだったし、二作目も博士の正体にちょっとズルいと思うところがあったし、それを承知で作者が創った世界を楽しめればいいんじゃないかと思う気持ちのほうが大。
    硝子鳥の正体がすぐに分かったという人が多いけれど、私はいつまで経っても謎解きは初級者で、その分かえって作者の思惑通りに楽しめるのかも。

  • マリア&漣シリーズの第三弾。
    爆弾テロ事件とクローズドサークルの2つが平行して起きる複雑な謎に迫る内容である。犯人に関してはなんとなく「この人かな」という予想があり、それは当たっていたわけだが、その後の真実には気づくことが難しかった。そして『グラスバード』の正体は意外だった上に、それによって起きる醜くも悲しい争いにはとても哀れだという感情を抱いた。



    そしてラストシーンがタイトルそのものを示しているのでまだ読んでいない人は、この感想を出来るだけ読まないようにする事をおすすめします。

  • マリアと漣シリーズ3作目。
    前作まで同様、殺人パートと推理パートが交互に展開される。
    殺人パートは1作目のSF的要素が戻ってきた。映画CUBEみたいなサイコホラー感があり、ちょっと苦手。。グラスバードの正体は途中からなんとなく分かってしまった。
    推理パートはアクションぽい雰囲気もあり、マリアが活躍して面白かった!事件の真相に辿り着くまで2転3転、飽きさせない展開だった。登場人物の過去や背景も薄っぺらくなくて良い。
    マリアと漣のパートナーとしての関係性がとても好ましい。あとジョンがんばれ。人間関係の行方も気になり、今後も追いかけていきたいシリーズ。

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著者プロフィール

1976年、神奈川県生まれ。東京大学卒。2016年『ジェリーフィッシュは凍らない』で、第26回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。他の著書に『ブルーローズは眠らない』、『グラスバードは還らない』(以上東京創元社)、『神とさざなみの密室』(新潮社)など。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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