善人たちの夜 (創元推理文庫 M て 1-10 天藤真推理小説全集 10)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (550ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488408107

作品紹介・あらすじ

新居購入の資金不足ゆえ結婚に踏み切れないみどりと修三。そんな折り修三の後輩弥太郎から奇妙な依頼が。危篤の父親を安心させるため数日間にせの嫁を演じてくれないか、もちろんお礼も弾むから。相談の末、修三を親戚の者として、にせ花嫁に扮したみどりと弥太郎は病床の父親が待つ郷里の村へと向かったが…。著者の創作過程が窺える未定稿200枚を巻末に収録してお届けする。

感想・レビュー・書評

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  • 1980年発行ってことで、大変時代を感じる話。新居を建てるため、偽装結婚をするという。字も小さいし、2段組だし、長編だし、長い、と思って読んでたけど、意外と会話だけでトントン進むとこもあるし、面白かった。最後が秀逸。女はしたたかだ。修三がどんどん悪い男になるのがいかにもありそう。万紀も。ほんと嫌な奴だ。しかし、田舎の大金持ちは大変だよね。初夜の様子を親戚に聞かれなきゃなんて。いやー、恐ろしい。

  • ミステリというよりもシチュエーション・コメディと云った方が妥当のような至極真っ当な物語。
    危篤の床に就く親父のために偽装結婚を画策した所、思惑から外れて事は意外な方向に向かい、やがてそれぞれの本性が見え隠れしだし、最後は・・・と、何処に意外性を求めたらいいのか解らない物語で設定に凝る天藤氏にしては本当にオーソドックス。
    寧ろストーリーは単なる意匠で、描きたかったのは田舎の大地主の息子との結婚生活奮闘記のような日々苦闘する主人公二人の姿と非の打ちようがないほどの善人の弥左衛門とそれらを取り巻く気のおけない親戚どもの様子だろう。作者自身これを愉しんで書いているような節も散見する。
    まあ、善がある所には悪有りきでこの役目を恋人の修三と友人の万紀の2人が演じ、下衆の勘繰りの繰り返しで泥沼に陥る様が丹念に描かれている。
    ただ、ここに私の不満があるわけで、恋人を一種理不尽な形でレンタルした修三の心境は同情に値するのに利己主義の化身のような万紀に吹聴されてあれこれ画策する姿はどうにも歯がゆく、結果、みどりを失う彼の姿は哀れである。
    この人物にもっと温かい結末を与えられなかったのだろうか?
    これが私の立場なら・・・もっと取り乱して何を仕出かすか解らないくらい、可哀想だと思うのだが。

  • イメージ参照(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/archives/4419186.html)
    (完全収録版)

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