うまや怪談 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 94
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488410148

作品紹介・あらすじ

福の助は二つ目ながら、若手真打ちが主に出演する落語会にお呼びがかかり、予告した演目を変えられないこの会で『厩火事』をかけることに。一方、亮子が勤める学校で妙ちきりんな事件が発生。さらに落語会当日に亮子の父から違う噺を演ってくれと頼まれて…。果たして福の助はこの事態を切り抜け、事件を解決できるのか?落語を演じて謎を解く!本格落語ミステリ集、第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • 『#うまや怪談』

    ほぼ日書評 Day337

    落語安楽椅子探偵モノの第3作。1作目で軽くネガティブに論じた「犯罪臭」がすっかり消し去られ、ちょっとした人と人、男女の間の諍いや間違いはあるものの、すっかり自然な謎解きシリーズになっている。
    自作では、リハビリ中の元師匠の活躍が見られそうな伏線もあり、楽しみだ!

    https://amzn.to/3qapYSe

  •  寿笑亭福の助という落語家が主人公の日常の謎系ミステリの第三弾。相変わらず,落語についてのウンチクが満載の作品。第1弾,第2弾と同様,3作品が収録されているが,ここの作品の長さは,やや短め。二つのエピソードを関連付けて解決に導くというこれまでの手法で書かれているのは「うまや怪談」のみ。「宮古川四丁目」などは短い作品で,ミステリ的な要素はあまりなくなっている。安定した面白さはあるが,やや息切れ気味かな…という気はする。★3かな。

    ○ ねずみととらとねこ
     福の助が,二つ目の競演会(コンクール)に参加する話。またも,福大夫が罠を仕掛ける。福の助が「ねずみ」を演じることとを,探り,子供を使ってオチを先に言わせるが,福の助は馬春からの謎めいたアドバイスを活かし,切り抜ける話。

    ○ うまや怪談
     亮子の兄の縁談の話と,亮子の職場でのトラブルの二つのエピソードについての話。「うまや怪談」という落語をそのまま演じると,亮子の兄の結婚相手の父の機嫌を損ねるというピンチを,亮子の職場のトラブルと合わせて解決する話。

    ○ 宮古川四丁目
     馬春の機嫌を損ねてしまった福の助が,馬春に,しゃれたプレゼントをして機嫌を取る話。雅美という三味線の演者が,馬春の愛人であったことが,かつての馬春が「宮古川」で特殊なサゲを演じた理由であったことなどが語られる。

  • シリーズでなぜか読み抜けてた一冊。第三作目。三話。落語とよく絡めてくるなあと感心。(今回はちょっと後味悪い話しもあるが)馬春師匠…と思いつつも、ラストではやったー!w

  • いつも円満解決とは限らないけど面白いです。
    読んだ後に、もとの落語を聞きたくなる。

    収録作品
    ねずみととらとねこ
    うまや怪談
    宮戸川四丁目
    あとがき
    解説(鈴々舎わか馬)

  • シリーズ三作目。最初のねずみととらとねこが、スッキリしているかな。チョッと理に落ちている気もする。木彫りの鼠が喋っても、ファンタジーでも良いじゃないか。まあ、土壇場の窮余の策としては秀逸。最後のミステリー解明部分も納得。

    表題作は、亮子の兄の結婚に、高校の同僚のストーカー騒ぎと、どうするんだと思うほど色々な問題が進行する。最後はいつものように高座の落語で解決する。面白いんだけど、厩火事の下である必然があるのかな。厩火事の上の夫婦像とは違う様な気がする。

    いつものように馬春師匠の3つのヒントから解決というパターンがなく、比較的無理がなかったと思う。福の助が独力で難問解決して馬春師匠が拗ねてしまうという最後の話は内容は面白いんだけど、誰もが云うように艶福家の馬春師匠、それはないんじゃないのと思う。まあ、今後の展開は更に期待できそう。

  • 前2冊に比べると、なんだかな〜。まぁ、人の好みはいろいろだから、ということになりますね。
    多分、私の好みに響き足りなかったところは、メインのキャラクターが書ききれないような気がしたところでしょう。脇役のキャラクターはしっかりしてるし、面白いんだけど、主要人物の書かれ方が弱くなっちゃったような気がして。
    次作ではどうなってるのかな〜?そこに期待です。

  • 神田紅梅亭寄席物帳シリーズ、3作目。

    馬春師匠の安楽椅子探偵ぶりが楽しみの一つでもあるこのシリーズ。しかしながら、今回は師匠の活躍はちょい薄め。しかも、浮気話まで出てくる始末。芸人の奥さんならこれくらい、っていう世界なのかもしれないけど、奥さんが素敵なだけに、ちょっとぉ、って言いたくなる。なので、一話目が一番好みでした。師匠のヒントの出し方も、兄弟子の陰謀に対する福の助の切り返しも見事です。

    次作ではとうとう師匠が復帰??楽しみです。

  • 2012/11/1 Amazonより届く。

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著者プロフィール

愛川晶
一九五七年福島市生まれ。九四年『化身』で第五回鮎川哲也賞を受賞。トリッキーな本格ミステリーを基調としながら、サイコサスペンス、ユーモアミステリー、人情ミステリーと幅広く活躍。主な作品に『六月六日生まれの天使』『ヘルたん』『再雇用されたら一カ月で地獄に堕とされました』。落語ミステリーでは、『道具屋殺人事件』『芝浜謎噺』など「神田紅梅亭寄席物帳」シリーズ、『神楽坂謎ばなし』など「神楽坂倶楽部」シリーズ、『高座のホームズ』など「昭和稲荷町らくご探偵」シリーズがある。『太神楽 寄席とともに歩む日本の芸能の原点』(鏡味仙三郎著)では編者を務めた。

「2023年 『落語刑事サダキチ 泥棒と所帯をもった女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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