本能寺遊戯 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 79
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488412142

作品紹介・あらすじ

扇ヶ谷姫之、朝比奈亜沙日、そしてロシアからの留学生アナスタシア・ベズグラヤは日本史好きの高校2年生。普段からあれやこれやと歴史談義を続ける仲良し3人組。それが嵩じて、歴史雑誌『ジパング・ナビ!』の公募企画に投稿、入選を狙う――。日本史上の新説・珍説で、有名歴史小説家のサイン本など豪華商品をゲットするのだ! 本能寺の変を裏で操っていたという黒幕の存在、ヤマトタケルと剣の謎、春日局をめぐる大奥の真実など、女子高生“歴女”3人組の新解釈。第2回ミステリーズ!新人賞受賞作家が軽やかな筆致で贈る、連作ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生の歴史愛好家の扇ケ谷姫之と歴女の朝比奈亜沙日と交換留学生で日本史ゲーム・アニメオタクのアナスタシア・ベズグラヤの3人が、歴女向け雑誌の懸賞原稿募集のテーマについて、ああでもないこうでもないとやり合う話だ。突飛な発想も出てくるが、結構まともに歴史資料を駆使して本格的な論じ方をする。おいおい、どこが高校生なんだ!とんでもない奴らだぜ。知らない日本史上の人物がてんこ盛りで、いやはや凄い。勉強になりました。「本能寺の変」「ヤマトタケル」「春日局」「道鏡事件」

  • 正統派歴史押し、根拠のない異説は認めない派の姫之。
    武将、剣豪大好き派の亜沙日。
    日本のアニメ、ファンタジー、歴ゲー大好きな交換留学生、ロシア人のアナスタシア。
    3人の女子高校生が、歴史の謎について、喧々囂々、意見を戦わせる物語。
    彼女たちは『ジパング・ナビ』という、歴史マニアのための雑誌の「歴史の新説」の原稿募集に応募することになるが…

    「漂流巌流島」に続く、歴史ミステリー連作短編集。
    喫茶店のテーブルにふけを落とすむさくるしい男どもが歴史を語るより、きれいなセーラー服の女子高校生3人が語る方が楽しいに決まっている(笑)
    歴史好きといってもタイプが三人三様なのがまた面白い。

    最後の方で編集者が語っている、
    『史実や資料を事細かに検証してあっても、読者は読んでいるうちに飽きてしまう』
    『はっと目を引くようなインパクトがないといけない、上げられる歴史上の人物の名前が地味だと喰いつかない』
    みたいな意味の言葉の数々は、実は作者が実際に編集者に言われてるんじゃないかな~
    …などと勘繰りながら読むのも面白い。

  • 先月から奈良時代をみっちり勉強している
    だから八幡宮神託事件のくだりがよ~く理解できた
    何事も勉強ですね

  • これはこれで。道鏡ひさしぶりに聞いた。

  • 鯨統一郎の「邪馬台国はどこですか」に連なる歴史ミステリ。
    史実と俗説を並べ謎を謎で無くす。いかに世の中に俗説がまかり通っているかが解る。エンターテイメントと言ってしまえばそれまでだが、自分の知識も俗説が多いと感じた。地味な真実よりも派手な創作を好むのは仕方ないが、調べる事をもっと重視していきたい。

  • 自分はゲームやアニメからハマった歴女ではない、とはっきり言えるのだけれども、正統派の歴史好きにも当てはまらなかったんだな…と考えさせられました。
    私の知識なんて、教科書+創作物だったんだ…。

    小説という形をとっているけれど、昨今のブームに浮かれる歴女やTVに影響を受けて騒ぐ人々に対して作者が言いたいことを書きなぐった感じがあります。ヒメはきっと作者の投影でしょう。
    そんな書き出しだけど、歴史上の重大事件についての新説を考えてみるというストーリー。とは言っても、謎やら歴史ミステリーではなく、史実上の状況や当時の書物から引用しての考察なので、説にあまり無理がなくて、読んでいて面白かった。古事記や日本書紀の時代とか、天皇の系譜あたりは学生のころも苦手だったので、考えながら読むのは大変でしたが。ただ、今の年齢になって改めて歴史というものを考えたせいか、もう一度、それらを最初から見直してみたい気もする。

    面白かったので、他の事件などもヒメの解説や亜沙日の説を聞いてみたいなぁ。

  • 歴史の謎に対する討論で成される連作短編集。
    あらすじから想像したのと違い、ひとりの登場人物による独壇場な要素が強かった。
    知識量としては同等レベルを与え、もっとディベード的な面があればよかったと思う。
    そしてまた想像以上に、マニアックに過ぎた。苦痛ではなかったが。
    3-

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著者プロフィール

1975年京都府生まれ。立命館大学卒。2005年、綾辻行人・有栖川有栖両氏に絶賛され、短編「漂流巌流島」で第2回ミステリーズ!新人賞を受賞しデビュー。文芸社からは『浮世絵師の遊戯 新説 東洲斎写楽』、『近江屋 一八六七年』を刊行。その他の著書に『名刀月影伝』(KADOKAWA)、『妖曲羅生門 御堂関白陰陽記』(光文社)、『京都東山 美術館と夜のアート』(東京創元社)などがある。

「2021年 『【文芸社文庫】 新説 東洲斎写楽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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